循環器系

2013.10.17

心房細動治療のグローバル・スタンダード 山下武志先生

2013年10月5日 ザ・プリンスパークタワー東京
グローバル・スタンダードへ向かうわが国のβ遮断薬療法
演題「心房細動治療のグローバル・スタンダード」
演者:心臓血管研究所 付属病院長 山下武志先生
内容及び補足(含質疑応答)「
Framingham Heart Studyで心不全患者に心房細動患者を発症した人の予後を見てみると、男性で1.6倍、女性で2.7倍に上昇し、二種類のβ遮断薬の心不全治療の効果を比較した臨床試験COMET(Carvedilol or Metoprolol European Trial)では、AFを合併した群の死亡率が被合併群に比べて相対リスクが3倍にも上昇することが示された。

心房細動の波形を元に戻す(洞調律維持:リズムコントロール)治療と心拍数調節(レートコントロール)治療の予後に差がないことが示された。

上図の下段では、レートコントロールの治療薬ごとの継続率を見ている。ジゴキシンの継続率が悪く、β遮断薬の継続率がよいことがわかる。
また、CARAF studyで初発心房細動が一過性で自然停止している899例が平均4.1年の経過観察中、一年以内に約50%の例で再発がみられ、経過観察中に6~7%の症例で脳梗塞の発症を見ており、脳梗塞の危険因子が存在する場合には、抗凝固療法の適応である。Circulation  2001;103:2365-70.

Sequential proportion of ECG-documented (doc’d) and total paroxysmal AF (PAF) at each visit, by sex. *P<0.05; †P<0.01.

CARAF studyにおいてもレートコントロールが徐々に多くなり、その使用薬剤も1990年になってきてジゴキシンが減少し、2000年になってからβ遮断薬が急増してきている。

心不全合併心房細動患者において、日本では古くからレートコントロールと共振作用を期待してジゴキシンが投与されてきたが、残念ながらジゴキシンでの治療による予後改善効果は認められず、β遮断薬においては左室駆出率が45%以上の群においても、45%未満の群においても生存率を改善した。

そこで、どのくらいまでβ遮断薬で心拍数を落とせばよいのかが、問題となってくるが、心房細動のレートコントロールを厳格(目標80以下)にやった場合と、比較的緩く治療した場合(目標110以下)での予後がRACEⅡ試験で検討された。結果は両群間での有意な差は見いだせなかったが、緩徐群においても心拍数は85前後にコントロールされている結果となっていた点には注意が必要である。

日本においては、今まで心房細動の治療に使えるβ遮断薬はインデラルだけであったが、臨床現場においては、アーティストやメインテートが使用されて、おり海外でも臨床データがいろいろと報告される中、日本心電図学会からこれらのβ遮断薬の心房細動症例に対する適応拡大の要請が出された。
メインテートを使った試験がMAIN-AF試験である。心拍数80以上の心房細動症例患者さんに対して、メインテート2.5㎎を投与し、その後心拍数が80未満にならない症例に対して増量する群とそのまま継続群で比較するという試験デザインである。2.5㎎の投与により心拍数は12低下し、さらに2.5㎎の追加(合計5㎎)によりさらに心拍数が5減少するという結果になった。

メインテートの投与により自覚症状は改善し、ホルタ―心電図での発作は62%認めなくなっていた。また、自覚症状改善例と非改善例で比較すると心拍数が有意に低下していた。

心拍数の低下する時間帯は、2.5㎎投与でも5㎎投与でもともに日中で顕著であり、夜間の心拍数が低下しているところでは、投与前とそれほどの違いはなかった。
参考:AF治療のガイドライン

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