循環器系

2013年12月 2日 月曜日

頸動脈エコーを日常診療に 京都大学医学部 桝田出教授

2013年11月25日 ホテルモントレ
演題「頸動脈エコー検査を日常診療に活かす」
演者:京都大学医学部臨床教授 桝田 出 先生
内容及び補足(含質疑応答)「症状のない心臓移植ドナーに対して心臓内超音波内視鏡を行った262名の冠動脈の動脈硬化の有無の検討を見てみると、0.5㎜を動脈硬化があると考えてみると30歳代で60%の人に見られている。13-19歳のグループにおいても20%弱に認められていることは驚愕に値する。

図のAは17歳男性の左前下行枝であり、Bは32歳の女性の動脈硬化巣である。

血管の動脈硬化を検査する方法としては、直接的な血管造影検査、血管内超音波検査、血管内視鏡検査がある。体外から行う検査方法としては、マルチスライスCT、MRI、頸動脈超音波検査がある。
超音波検査は以下の利点がある。

動脈壁の構造は下記画像のようになっている。

超音波で診てみると下のように見え、計測するポイントは、頸動脈球部を除く総頸動脈、内頚動脈および椎骨動脈で行われる。総頸動脈は遠位壁側の頸動脈球部との境界から1㎝中枢側での計測が推奨されている。内頚動脈は血管系がほぼ一定となった末梢側で計測し、椎骨動脈は描出が容易な第3から第6頸椎の椎骨横突起間で行われる。

血管系の計測は内膜間距離(偽外膜間距離)が用いられ、計測の位相は血管の収縮後期(心時相の拡張後期:心電図でP波からQRS波までの時相)での測定を基本としている。

参:早期動脈硬化研究会

虚血性心疾患のイベントの危険度は、外頸動脈に異常がない人を1とすると、壁肥厚を認める人は2.17倍、動脈硬化層を認める人は4.15倍、狭窄を認める人は6.71倍になるとの研究結果がある。

65歳以上の男女を調べた研究では、頸動脈のIMTで5群に分けた際、一番厚さがない第1分位が7年で心血管イベント発生率が5%なのに対して一番壁肥厚を認める第5分位は25%と5倍にもなっている。


舟形町の研究において60歳以上の症例において、糖代謝が正常型の群、耐糖能障害型の群、糖尿病型の群において心血管イベントが起こった比率と死亡比率はそれぞれ、7%、1%:12%、4%:16%、5%であり、糖尿病型になる以前の状態においても、正常型に比較して予後が悪いことが示された。
予後予測因子の組み合わせとしてはIMTとFramingham Risk Scoreの組み合わせた良いと思われる。

多数の臨床研究でLDLの低下が心血管イベントのodds ratios(ORs)を低下させることが示されている。

LDL低下率とIMTの変化も強い相関がみられる。単純計算するとIMTが減少するためには、LDLを25%以上低下させる必要があることになる。


LDL低下による抗動脈硬化作用を積極的な治療と従来療法との比較をしたJART studyではLDL低下で、プラバスタチン投与群が165→117の低下に対し、クレストール投与群は164→84と有意な差を認めており、平均IMT値においても差が出た。

この試験のクレストール投与群のExtension studyの結果が報告された。試験デザインは以下のようになっている。

LDLの値はやや増加傾向を認めたが、90以下を保っている。

Mean-IMTの変化量においては、90未満のLDL値を維持した効果のためか、24か月後において減少傾向を認めている。

動脈硬化巣(プラーク)の性状を表していると考えられているGray Scale Medianの変化を見てみると12か月後には16.93%増加し、24か月後には22.50%まで増加した。GSMの変化と平均IMT値の変化を見てみると、投与開始から12か月後までGSMは有意に変化したが平均IMT値には有意な変化が見られなかった。12~24か月では逆に、GSMに有意な変化は見られなかったが、平均IMT値が退縮する傾向が見られた。このことはLDL低下療法を継続することにより、まずプラークの質的変化が起こり、その後プラークの超的変化が起きている可能性が示唆される。

冠動脈CT検査が最近よく行われているが、検査をしてみると色々な所に病変が見られる。
基本的な考えとして、狭窄が75%を超えないとインターベンソンは行われない、50%前後の病変は至る所にある。
実際に冠動脈イベントが発症した場所の以前の狭窄度がどのくらいだったかを検討した研究がいくつかある。

これを見て分かるように70%以上の狭窄がある部分でのイベントは15%にも満たないのであり、50%以下の狭窄病変でイベントが起こる確率は60%以上にもなる。
LDLがあまり高くない虚血性心疾患を有しない40~69歳の日本人8131名(男性3178名、女性4953名)を平均21.9年追跡したThe Circulatory Risk in Communities Study:CIRCS研究では、LDL-C値が80mg/dLから虚血性心疾患発症および非致死性心筋梗塞が上昇し始め、直線的に増加傾向が見られ、男女差はみとめなかった。
メタボリックシンドロームの因子の数と脂質の状態やLDL粒子サイズやその数を見たものを以下に示す。LDL-Cの値は130-140どまりで、リスク因子の数が増えてもそれほど上昇しないが、男女ともにメタボリックシンドローム因子数が上昇するに従い、small LDL particlesが増加することがわかる。

別の研究によるとLDL粒子サイズはTG/HDL-cと逆相関することが示されている。

平均IMT値は、確かにIHDの危険因子として大事であるが、平均IMT値よりも、最大IMT値の方がより危険なマーカーであり、さらに頸動脈にプラークが存在していること、狭窄が存在することは、より重大な危険因子と考えて治療を行う必要がある。

投稿者 川村内科診療所

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