その他

2014.03.31

PETについて 横浜市立市民病院放射線科 勝俣康史先生

2014年3月27日 ホテルキャメロットジャパン
演題「PETについて」
演者:横浜市立市民病院放射線科 勝俣康史先生
内容「Positorn Emission Tomography(PET)は陽電子放出断層撮影法のことである。
原理は、核内の陽子が中性子に変わる際に放出する陽電子と近くの電子が結合して消滅する際に反対方向に放出する消滅放射線をドーナッツ型の検出器で画像化するものである。

良く使用する核種としては18F-deoxyglucoseがある。FDGはブドウ糖に類似した構造なので糖代謝の盛んながん細胞によく取り込まれる。取り込まれた後に放出する陽電子を体外から測定することができる。

FDGはGlucoseと異なり解糖系に進まないので代謝されず癌細胞に蓄積されることになる。

このFDGの集積が多いことは、
① 糖代謝が活発
悪性腫瘍(特定のものではない)、炎症・若い肉芽組織(良性疾患での集積)、心臓・脳(正常組織での集積)
② 細胞の増殖速度が速い(細胞が未分化)
③ 細胞密度が高い
ことを反映している。
悪性腫瘍でも糖代謝が更新していない臓器(粘液、繊維成分が多い癌:胃癌、大腸癌の一部)や、Glucose 6 phosphataseが豊富にある組織では、取り込まれたFDGの代謝が速い組織で(高分化肝細胞癌)は集積像が得られない。
PETの画像の分解能はあまりよくないので、CT画像と融合させて検査がされるようになってきた。

保険適応の拡大とFDGをデリバリーできるようになったことにより、PET検査を実施でキス施設が近年急激に増加している。
神奈川県でのPET導入状況は下図のような状態である。

検査数も、検診・健診での伸びは2005年までで頭打ちであり、それに比べ保険診療での検査数が順調に増加している。

肺癌、悪性リンパ腫、頭頸部癌で約半数、続いて乳癌、大腸癌、食道癌が多い。

現在の保険適用は以下のとおりである。
悪性腫瘍(早期胃癌を除く)の病気診断または転移・再発の診断を目的として以下の要件を満たす場合に限り保険適用される。
① 他の検査、画像診断により病気診断、転移、再発の診断が確定できない患者
② 他の検査・画像診断で、肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌または転移性肝癌の存在を疑うが病理診断により確定診断がえられない場合
③ 他検査、画像診断で酔眼の存在を疑うが腫瘤形成性膵炎との鑑別が困難な場合

検査の流れは、5時間絶食の後、問診票チェック、検査の説明がなされ、事前の血糖採決を行い血糖高値でないことが確認された後、FDGが静脈注射される。一時間安政大気の後20分ほどかけて撮影が行われ、検査後その施設内で放射線の減衰を30分待ってから帰宅となる。
検査前の注意点としては注射後の安静が必要
① 血糖値が高いと、腫瘍への集積が低下したり、筋肉など周囲組織への集積が増加したり、コントラストが低下したりするため、検査前5時間は絶食、糖質を含んだ飲み物や輸液も禁止することが原則となる。直前にインスリンで血糖値だけを下げても組織内の糖濃度が低下しないので、血糖値が300㎎/dl以上の時には中止になることが多い。
② 運動により筋肉内の糖代謝の更新状態が持続するので激しい前日の運動は禁止
③ 長距離の歩行、ガム、しゃっくり、咳の影響も無視できない
④ FDG投与後の読書やTV観賞で眼筋への集積が増加する
⑤ おしゃべりで高騰への集積
⑥ 姿勢により傍脊柱筋への集積も見られる

正常でのFDGの集積像を示す。

PETが有効でない癌を再度挙げる。
① 胃癌:集積が少ないものがあるし、胃壁に生理的な集積がある
② 肝癌:癌細胞に取り込まれてもすぐに排出される
③ 腎癌、膀胱癌、前立腺癌:FDGが尿路系に排泄されるため分かり難い
④ 骨転移の一部
⑤ 1㎝以下の小さな癌

False Positiveを示す。


False Negativeを示す。


これらの特徴を踏まえたうえで検査を実施すると、かなり有効な画像検査であり、今日においては、癌治療においてなくてはならない検査の一つといえる。
例えばCA19-9が上昇した胃癌術後の一例だが、右下のCTでは病変の描出は困難であるが、PET-CTでは筋肉内への転移巣が容易に読影できる。

PETによる癌検診の
長所:
① 1回の注射で全身のチェックができる
② 癌の種類を特定せずに検索できる
短所
① 検出しにくいがんがある(胃癌、肝癌、腎癌など)
② 悪性度の低いがんも見つけてしまう(甲状腺癌など)
③ 癌と腺腫の区別がつきにくい(結腸、甲状腺など)
④ 炎症と癌の鑑別が困難なことがある
PETによる癌であるが、脳と膀胱が主たる線源となる。近くの甲状腺、生殖腺の癌が実行癌線量に寄与する。対応策としては、引水させて排尿を促すことである。
PETの被爆量が4mSvであり、吸収補正用に約1mSv必要であり、Fusion画像用CT被曝が15mSvで約20mSvの被爆となる。通常の胃透視が4mSv、通常のCT診断用=30mSv、自然界からの被爆が年間2.4mSvである。

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