脳神経系

2014.04.21

BPPVの病態と治療ストラテジー 山中敏彰准教授

2014年4月17日 ホテルキャメロットジャパン
演題「BPPVの病態と治療ストラテジー」
演者:奈良県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座準教授 山中敏彰先生
内容及び補足「
良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は1921年にBaranyにより報告され、Dix&Hallpikeが1952年にBPPVの名称及び疾患概念を明確にした。
1969年にSchuknechitが側頭骨病理標本からBPPVの病態は耳石器(卵形嚢)から剥離した耳石の後半規管感覚器(クプラ)への付着:クプラ結石cupulolithiasis)であるとした。
1979年にHallらは後半規管内に生じた浮遊耳石(半規管結石:canalolithiasis)説を発表した。
治療方法としては1992年にEpleyが後半規管内の結石を卵形嚢に移動させる方法として提唱した。
Otolaryngol Head Neck Surg 107: 399―404, 1992
BPPVの病態は半規管に存在する結石が管腔に浮遊している管結石症と膨大部クプラに付着しているクプラ結石症に大きく分類される。

両者とも、治療目的は半規管に存在する結石を完全に卵形嚢へ戻すことである。
基本概念を以下に記載する。
① 半規管内で付着・停滞している結石を浮遊させて移動しやすくする。
② 遊離された結石を半規管から卵形嚢へ移送する。
③ 卵形嚢へ返還された結石を平衡斑上に定着させる。
管結石症の場合には②を主体に十分な治療効果が得られるが、クプラ結石症では①が最も重要な治療法となる。

クプラ結石症の場合には耳石を遊離させるためにBrandt-Daroff法やSemont方が有効とされているが、付着が強い場合にはこれらの方法では困難であり、Head tilt-Hopping法を開発した。

頭を左右外側方向に傾斜させながら両足(片足)で跳躍を行う。10回の跳躍を1セッションとして毎日3-5セッションを自宅で行う。直接卵形嚢へ返還されるとめまいと眼振が消失し治癒するが、管脚側に遊離されると管結石症の症状となるので頭位治療を行う。

管結石症の場合は三種類に分けられる。
後半規管型:BPPVの中で最も高頻度に認められ、Epley法やSemont方が実施される。


Equilibrium Res 2006 65:145-55
水平(外側)半規管型:Lempert法がよく知られているが、結石が膨大部に入り込んでクプラ結石症に移行するケースが時に経験されるため、Half-Roll法を開発した。

前半規管型:非常にまれな病型であるので治療法はまだ確立されていないが、自分たちはAC頭位療法を行っている。

卵形嚢に戻した耳石を安定させるために頭位保持法も併用して行っている。

症状が残っている人に対しては薬物療法を行う。
・アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物 300mg/日 分3
・ベタヒスチンメシル酸塩 36mg/日 分3
・トフィソパム 150mg/日 分3 (随伴する自律神経症状に対して)

難治例に対しては、手術療法を選択せざるを得ない場合がある。
閉経後の女性において骨密度とBPPVの繰り返し起こされる症例に関連がある可能性が示唆された。

これらの症例を骨密度別にBPPVの発作頻度を見てみると骨粗鬆症症例において繰り返し発作を起こしている症例が多いことがわかる。

BPPV

一部の症例においては、骨粗鬆症の治療により骨密度が改善した場合、BPPVの再発がみられなくなっている症例があり、今後BPPV再発予防の治療としても、骨粗しょう症治療が一つの治療手段となる可能性がある。

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