消化器系

2014年5月26日 月曜日

DAA時代におけるC型肝炎の今後の治療戦略 林紀夫先生

3014年5月22日 ホテルプラム
演題「DAA時代におけるC型肝炎の今後の治療戦略」
演者:関西労災病院病院長 林紀夫先生
内容及び補足「
C型肝炎ウイルスは55~65nmの大きさのRNAウイルスで遺伝子系により1a、1b、2a、2bのジェノタイプに分類されている。日本人に多いのは1b型で約70%、2a型が20%、2b型が10%で1a型はごく少数。インターフェロンがよく効くのは1a、1b型である。

日本肝臓病学会編:慢性肝炎の治療ガイド2008より
日本において肝癌死亡数は2009年には3万3000人が死亡し、肺癌、胃がんに次いで第三位を占めている。

その肝癌の原因の8割がC型慢性肝炎からの発症である。

世界的にみてもアメリカで3~4百万人、極東アジアが最も多く6千万人、日本で150万人ぐらいが持続性C型肝炎ウイルス感染者といわれている。

日本でのC型慢性肝炎患者は、症状のないキャリアを含めると150~200万人いると推定されており、40歳以上に多く、針を変えないで予防接種をした時期もあり、医療行為からの感染が背景にあるといわれている。

30歳以上の100人に1〜3人がC型肝炎ウイルスに感染している状況であり、年齢とともにその陽性頻度は高値である。

C型肝炎の自然経過としては、C型肝炎感染者のうち、3割は急性肝炎で自然治癒し7割程度の人が慢性化する。慢性化した人のうち年に0.2%程度多自然治癒するが、20年ほどたつと30%程度の人が肝硬変へと病状が進展し、初感染後30~40年たつと年7%程度の頻度で肝癌を発症することになる。


C型慢性肝炎の治療の変遷を見てみると、1989年にHCVウイルスが発見され、1992年にインターフェロンの治療が開始され、2001年にリバビリンの併用治療、2003年ペグインターフェロンの使用、2004年にリバビリンとの併用が可能となった。これにより約半数の人の肝臓からウイルスを駆除できるようになった。2013年からは、テラプレビルを加えた3剤併用投与により70%の奏効率にまで治療効果が上昇したが、副作用のため1万人程度にしか使用できていなかった。2013年に副作用が比較的少ないソブリアードの併用が可能とない9割弱の奏効率が確保できるようになった。

インターフェロンによりウイルス量が減少するが、治療終了6ヶ月後もウイルスが陰性の場合著効、治療中にウイルスが陰性となるが終了6ヶ月後にウイルスが陽性の場合再燃、治療中一度も陰性にならない場合を無効と判定する。
無効例の中でウイルス量が10の二乗以上の低下を認めたものをPartial resoponder(slow viral response)、それ以下の減少しか認めなかったものをNull responder(NVR)と表現する人もいる。

インターフェロン投与による成績を見てみると、1型高ウイルス量症例では効果が低く、それ以外の症例では治療効果が高い。リバビリンを併用することにより1型の高ウイルス量の症例以外はかなりの臨床効果が期待できるようになってきたが、1型抗ウイルス症例においては満足いく結果が得られていない。

また、ペグ・インターフェロンとリバビリン併用群での治療効果を65歳未満と以上で分けて、著効、再燃、無効で肝癌の累積発癌率を見てみると、明らかな差がみられる。65歳未満では発癌率は極端に定立であるが、65歳以上になると著効例でも発癌が5年経過するとそれなりの頻度でみられる。ウイルスを排除しても、背景にある肝臓の線維化が発癌のリスクを上昇させているのである。

より治療効果を上げるために、第2世代以降のDAAs(Direct-acting Antiviral Agents)による治療研究が行われてきた。
C型肝炎ウイルスのゲノムのプロテアーゼやポリメラーゼの部分に特異的に効果を発揮する抗ウイルス薬が開発されている。NS3-NS4Aに作用するもの、NS5Aに作用するもの、NS5Bに作用するものに分けられている。

ソブリアード(シメプレビルTMC 435)の治療効果を見てみると投与2週目でHCV RNAは測定感度以下になっており、著効率も76.9~92.3%と良好である。

その他の第2世代のDAAsの著効率も80%前後と良好である。

いろいろな薬剤が開発され、それなりの効果が期待できるようになってきたので、いくつかの薬剤の組み合わせが試みられるようになってきた。最近ではインターフェロンを使わない組み合わせも試みられている。

これら組み合わせ治療症例のHCV RNA量の変化を見てみると効果がない症例もあるが、2週間後にウイルスが消失する例もかなりみられる。

Type 1に対してもNS5Aポリメラーゼ阻害剤とNS3プロテアーゼ阻害剤治療例にペグインターフェロンとリバビリンを併用することによりかなり良好な治療結果が得られるようになってきた。


インターフェロンを使わない組み合わせの治療の際に問題となってくるのが、耐性変異の出現である。現在知られている耐性変異は、ほぼ決まっていてNS3プロテアーゼ阻害薬ではD168で、NS5A阻害剤ではY93とL31であり、NS5Bポリメラーゼ阻害剤ではS282である。
これらの耐性変異のことを念頭において、治療スケジュールも今後考えていく必要がある。

これらの新しい治療薬の効果を踏まえ、C型肝炎治療ガイドライン第2版を2013年11月に作成した。






http://www.jsh.or.jp/doc/guidelines/HCV_GL3-F.pdf
http://www.c-kan.net/knowledge/04.xhtml
http://www.tokumen.co.jp/column/kanzo2/09.html

http://www.kanen.ncgm.go.jp/forpatient_hcv.html


投稿者 川村内科診療所

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