その他

2014年5月17日 土曜日

シェーグレン症候群の原因、診断、治療 中村誠司教授

2014年5月11日 ソラシティカンファレンスセンター
演題「シェーグレン症候群の原因、診断、治療」
演者:九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座教授 中村誠司先生
内容及び補足「
シェ―グレン症候群は唾液腺や涙腺などの外分泌線が自己免疫反応により障害され、ドライマウス、ドライアイを主要症状とする疾患である。
厚生労働省の研究班のデータでは1年間に病院などを受療した患者さんが15000~20000人、潜在的な患者さんはもっと多く、アメリカのデータを基に推計すると10~30万人いると考えられている。1994年の調査データでは50歳代にピークがあり、子供から80歳の老人まで発症することもあり、男性:女性=1:14と女性に多くみられる。

平成20年の調査においては60歳代にピークが移っている。

症状は外分泌線障害による乾燥症状その他の全身症状に分けられる。
◆口の乾燥症状  
・口が渇く
・水をよく飲む
・唾液がネバネバする
・長時間の会話がしにくい
・顎の下が繰り返し、あるいはいつも腫れている
・乾いた食物を嚥下しにくい
・食物が呑み込みにくい
・舌が痛い
・舌がざらざらする
・舌が平らになった
・舌がひび割れる
・味がよくわからない
・味が変わった
・入れ歯が合わない
・唇が荒れてひび割れる
・唇の横が切れていたい
・口の中が出血しやすい
・虫歯が増える
◆目の乾燥症状
・目が乾く
・涙が出にくい
・目がゴロゴロする
・目が痛い
・目がかゆい
・目が熱い
・目がまぶしい
・目がかすむ
・目が疲れやすい
・目が赤くなる
・目やにが多い
◆そのほかの乾燥症状
・肌が乾く
・脱毛
・膣の乾燥
・性交時の不快感
・鼻が乾く
・鼻から出血しやすい
・咳が出やすい
・声がかすれる
・胃がもたれる

その他の全身症状・病変
唾液腺・涙腺:再発性腫脹、リンパ上皮性病変
関節:多発性関節痛・関節炎
肺:間質性肺炎、胸膜炎
腎臓:間質性腎炎、腎尿細管性アシドーシス
肝臓:自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変
胃:萎縮性胃炎
膵臓:慢性膵炎
筋:筋炎
神経系:中枢神経障害(疲労感、頭痛、気分の変化など)、末梢神経障害(手足の痺れなど)
血液系:白血球減少症、貧血、高γグロブリン血症
リンパ系:悪性リンパ腫、マクログロブリン血症
甲状腺:慢性甲状腺炎
皮膚:レイノー症状、環状あるいは結節性紅斑、紫斑
がある。
よくみられる症状としては、口腔の乾燥に続いて疲れやすいという症状の頻度が多い。

シェーグレン症候群の発病のパターンはほかの膠原病に合併して生じる続発性シェーグレン症候群と単独で出てくる原発性シェーグレン症候群に分けられています。

最近では原発性シェーグレン症候群のほうが2~3倍と多くなってきている。

シェーグレン症候群と合併する膠原病
疾患名                     国内の推定患者数    シェーグレン症候群と合併する割合
関節リウマチ(RA)      約70万人                       10~24%
SLE                             4万~8万人                     5~11%
強皮症(PSS)             6000人以上                    3~8%
多発性筋炎/皮膚筋炎 約3000人 / 約3000人   3%
混合性結合組織病       約9000人                      2~3%

シェーグレン症候群の診断検査としては以下のものがある。
唾液分泌量の検査(ガムテスト、サクソンテスト)
ガムテスト:無味のガムを10分間噛み、その間に分泌された唾液を小容器に集め測定し、10ml以下になると分泌低下=ガムテスト陽性と判定。

サクソンテスト:乾燥したガーゼを2分間一定の速度で噛み、ガーゼに吸収される唾液の重量を測定して唾液の分泌量を測定。ガーゼの重量の増加が2g以下の場合がサクソンテスト用紙と判定。

涙の分泌量の検査(シルマーテスト):先端を5mm折り曲げた専用の濾紙を下まぶたに挟まるように5分間かけ、涙でぬれた長さを測定。5mm以下の場合シルマーテスト陽性と判定。

試験紙は下記のようなものである。

口唇の生検:下唇を小さく切開してそこにある粟粒大の組織を採取し、顕微鏡で観察

唾液腺組織の消失、リンパ球の浸潤あり。
耳下腺造影検査:頬の内側の粘膜の奥の方にある唾液腺開口部(ステノ氏管)から造影剤を注入し、唾液腺の異常を検出するX線検査

唾液腺シンチ:人体に影響の少ない微量の放射性同位体を注射してその分布を撮影する画像診断法
シェーグレン症候群では唾液腺や口中への放射性物質の移行の遅れや、集積がない等の異常所見が認められる。
シェーグレン症候群の日本の診断基準としては以下のものがあるが、一般臨床医では実施困難な検査があるため、確定診断が困難である。

ヨーロッパの診断基準によれば、自覚症状も診断基準の項目に張っていおり、シルマーテストや血液検査と合わせて確定診断可能であり、こちらの診断基準を用いる方がより実臨床にあっている。

治療としては以下のものがある
● 唾液の補充
人工唾液剤紗リベートの使用。就前に使うと夜間の口腔乾燥がある程度改善する。
● 唾液の分泌促進
唾液分泌を刺激するもの:シュガーレスガムやレモン、梅干など
唾液分泌が促進する行為:耳下腺や顎下腺マッサージ等の刺激
内服薬
従来薬:去痰薬(ビソルボン)、漢方薬
有効とされる漢方薬:柴胡加竜骨牡蛎湯、大柴胡湯、茵蔯蒿湯、猪苓湯、五苓散、柴苓湯、温清飲、桂枝茯苓丸、黄連解毒湯、白虎加人参湯、人参湯、六君子湯、半夏厚朴湯、加味逍遙散、清心蓮子飲、麦門冬湯、人参養栄湯、十全大補湯、柴胡桂枝湯、補中益気湯、柴胡桂枝乾姜湯、抑肝散、四逆散、牛車腎気丸、八味地黄丸、六味丸、滋陰降火湯、四物湯、桂枝加朮附湯
唾液腺細胞を直接刺激して唾液分泌を促す薬剤:セビメリン塩酸塩水和物(サリグレン、エポザック)、ピロカルピン塩酸塩(サラジェン)
サリグレンの作用機序としては、ヒト型ムスカリン受容体M3発現細胞において胃のしとーるリン脂質代謝回転を促進させ、唾液の分泌量を増加させる。

投与後1~3時間で唾液分泌量は最大になり、4時間以上にわたって持続する。シェーグレン症候群刊ジャンにおける血中半減期は5.1±1.6時間(30㎎単回投与)である。長期的にも唾液の分泌量は徐々に増加してくることが示されている。

ただし禁忌疾患が下記のものがある。

副作用としては、消化器症状や、多汗がよくみられるので、投与以前に患者さんに伝えることも重要である。

● 虫歯の予防と治療
唾液量が減少するシェーグレン症候群では、虫歯になりやすくなるため、口腔内をできるだけ清潔に保つ衛生管理が重要。水分補給も大切だが、糖分の入った飲み物やお菓子類は虫歯の原因になるので要注意。
● 口腔カンジタ症
口腔カンジタ症は、口腔内の乾燥によって発病する。含嗽剤によるうがいや抗真菌剤の内服で治療を行う。
参:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms/55/4/55_169/_pdf

投稿者 川村内科診療所

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