その他

2014年11月25日 火曜日

最近話題の感染症 川名明彦教授

2014年11月18日 横浜市健康福祉総合センター
演題「最近話題の感染症 ~エボラ出血熱、新型インフルエンザなど~」
演者:防衛医科大学高校 感染症・呼吸器内科教授 川名明彦先生
内容及び補足「
インフルエンザ
インフルエンザの流行をいち早く見極める方法として、『調剤薬局の処方箋サーベイランス』というサイトをチェックする方法がある。
現在9792の薬局が参加しており、昨日の処方箋の発行部数がチェックできる。
つまり昨日までの抗インフルエンザ薬の処方の数の変化が日にち単位で確認できる。
http://syndromic-surveillance.net/yakkyoku/
ちなみに講義があった11月18日は670くらいの処方箋に急上昇しているのがわかる。


全国77か所の地方衛生研究所と感染研、厚労省結核感染症課を結ぶ感染症発生動向調査事業により得られた国内の流行状況、及び、約7600株の国内分離ウイルスについての解析、住民の抗体保有状況調査の成績、周辺諸国から得られたウイルス株に対する解析結果およびWHO世界インフルエンザ環指対応システムを介した世界各地の感染情報などに基づいて、次年度シーズンの流行予測を行い、これに対するいくつかのワクチン株候補を選定し、三回にわたる所内外のインフルエンザ専門家を中心とする検討会議で、ワクチン株を選定している。
現在アメリカでは、A型2種類、B型2種類で予防接種を行っているが、日本では、A2種B1種である。
昨年はA/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09
 A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)
 B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)
であったが、 A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)株が培養の経過で抗原性が異なってくること、ワクチン接種後の誘導されたヒト血清抗体が細胞分離の流行株との交差反応性に顕著に低いこともあり、変更が必要だと判断した。細胞分離のA/ビクトリア/361/2011類似株であり、卵での増殖後も流行株との抗原性の差異が小さく、ワクチン株として適切であるとWHOが判断したA/テキサス/50/2012株とすることになった。
したがって、2014年度に摂取するインフルエンザワクチンは、
A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/テキサス/50/2012(X-223) (H3N2)
B/マサチュセッツ/2/2012(BX-51B)(山形系統)
ということになる。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/2066-idsc/related/584-atpcs002.html

鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザH5N1の流行状況を見てみると668人のうち393人の死亡者が出て、死亡率58.8%であった。

http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/EN_GIP_20141002CumulativeNumberH5N1cases.pdf
一方、平成25年3月31日に中国政府が3名の感染を公表したH7N9鳥インフルエンザは、厚生労働省のHPからの情報では、平成26年3月25日現在で感染が確定したもの394名、死亡者3月18日で確定したもののうち118名であった。

http://www.cas.go.jp/jp/influenza/tori_inf/siryou140325.pdf
講義においての数値は以下のもので、中国で438人、台湾で4人、香港10人、合計453名死亡者175名、死亡率38.6%であった。


デング熱
2013年まではすべて輸入症例であったが、2014年8月26日に埼玉の10代で海外渡航歴のない女性でデング熱が陽性となり、その後数名同様の症例がみられ、疫学調査から代々木公園にいたことが共通点として見られ、その後、次々と報告され10月10日時点で158人となった。

http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/dengue.htm
2013年8月に日本を旅行したドイツ人が帰国後にデング熱を発症しており、長野、山梨、広島、京都、東京を旅行した際に感染したものと考えられると、ドイツで報告されたが、当初は、専門家も否定的に考えていたが、今年の症例の数を見てみると、不顕性感染症例や、デング熱症例で診断つかなかった症例から、ヒトスジシマカを媒介して、うつされた可能性もあると考えられるようになった。
その半数近くが代々木公園に行っており、残りのかなりの人が代々木公園周辺へ行っている。8月25日には新宿中央公園での感染例が見つかり、大掛かりな蚊の駆除が行われることとなった。
参考資料HPは10月31日のもので、160人になっている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141031-01.pdf
デングウイルス感染症がみられるのは、媒介する蚊が存在する、下図で赤や黄色で塗られている熱帯、亜熱帯地域であるが、地球温暖化の平均気温上昇とともに、媒介する蚊の生息域が拡大してきている。

ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介され、血清型により4型に分類される。
感染した際の血清型に対しては終生免疫が付くが、他の方に関しては数か月で消失し、他の血清型による2度目の感染時に重篤化する確率が高くなるといわれている。
また、症状が全く見られない不顕性感染が50~80%に見られることも、感染拡大予防の妨げとなっている。
臨床症状
① デング熱:感染後3~7日後、突然の発熱で始まり、頭痛(眼窩痛)、筋肉痛、感染痛を伴うことが多く、食欲不振、腹痛、便秘を伴うことがあり、発熱は二峰性となることが多く、発症後3~4日後に胸部や体幹から始まり四肢や顔面に広がる発疹が出現する。

② デング出血熱:一部の患者に、発熱が終わり、平熱に戻りかけた時に突然、血漿漏出と出血傾向がみられ重篤化することがある。臨床症状としては、不安・興奮状態となり、発汗がみられ、四肢が冷たくなる。胸水や腹水が高率に認められ、肝臓の腫脹、補体の活性化、血小板数の減少、血液凝固時間の延長とともに点状出血がみられる。10~20%に鼻出血や消化管出血も見られる。血漿漏出の程度によりhypovolemic shockとなることがある。
具体的な治療法はなく、ヒトスジシマカを繁殖させないように、水には蓋をし、植木鉢の下に水がたまらないようにし、水たまりには魚を飼い、蚊を家に入れないように防虫対策、殺虫剤の使用などしか対応策はない。

エボラ出血熱:エボラウイルス病
1976年スーダンのヌザラという町の倉庫番の男が急に39度の発熱と頭痛、腹痛を自覚し入院となり、その後、消化器や鼻から激しく出血し死亡した。その男の近くにいた二人も同様に発症し、血液や医療器具を介して広がり、感染者284人、151人の死亡となった。この男の出身地付近のエボラ川から名前がとられ、エボラ出血熱と名付けられた。
エボラウイルスは、80-800nmの細長いRNAウイルスで、形は紐状、U字型、ぜんまい型と多種多様である。

過去に10回アフリカ大陸で突発的に流行した。

2014年11月5日のWHOの発表では、11月2日時点で、ギニア、シエラレオネ、リベリア(10月29日の時点)の3か国で15319人の感染が確認され、うち5444人が死亡した。死亡率は現時点の数値では35.5%となっている。

11月16日付での患者数は15113例、死亡者数が5406例となっている。

現在はギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガル、マリ、アメリカ合衆国、スペインの8か国で感染者が確認されている。
封じ込め作戦が効果を認め、ナイジェリアとセネガルでは終結宣言が出された。
医療従事者において感染が拡大する中で、感染予防の手技が見直されることとなった。


http://www.forth.go.jp/topics/2014/11201518.html

オオコウモリ科のウマヅラコウモリ、フランケオナシケンショウコウモリ、コクビワフルーツコウモリなどが自然宿主とされ、現地の食用コウモリからの感染が報告されている。
患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染減となる。死亡した遺体への接触からも感染している。

潜伏期間は最低2日から最長3週間以上との報告があるが平均7日程度である。
潜伏期間中の感染力はなく、発病後に感染力が発現する。
突発的に、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振から、嘔吐、下痢、腹痛などを呈する。
進行すると、口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など全身から出血、吐血、下血がみられ死亡し、死亡率は50~90%と非常に高い。
検査はPCRを使った検査で陽性の結果が出るまでに、3日程度かかる。

1995年に今後で感染が起こった際には、回復した元患者の血液を輸血し8人のうち7人が回復をした。しかし、回復した患者の血液中にウイルスが存在する可能性もあり、完全にウイルスが排除されたかどうかの確認も必要と考えられるようになっている。
NEJMにある患者の臨床経過が詳細に掲載されている。
発症後10日目に、輸液として7.8L、11日12日には10Lを超える長が必要とされている。
それにもかかわらず、尿量は11日目には補液量が10Lを超えていても、1Lぐらいしか出ず、良く12日には400mlと減少し、13-14日目に至っては、尿量ゼロである。
15日目にやっと尿が出て、その後尿量がしっかりみられるようになってきた。


17日目になってやっと血漿中のウイルスの消失とともに末梢血白血球数が減少してきている。

しかし、30日目になるまでは尿中にウイルスの排出が続き、汗に至っては、40日目を超えても出続けている点に注意が必要である。

http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1411677

治療薬やワクチンの開発が急務となって各国が力を入れている。
インフルエンザの治療薬として開発されたRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤であるT-705ファビピラビル(アビガン錠)が、エボラ出血熱ウイルスに対する効果をドイツのベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所(ハンブルク)のシュテファン・ギュンター所長らが検討した。
野生型ザイール株に対する致死的な感受性を持つ、I型インターフェロンα及びβ受容体を欠く2種類のノックアウトマウス、IFNAR-/- C57BL/6 及び IFNAR-/- 129/Svマウスに、米国CDCから提供を受けた野生型ザイール株 (ただし、オリジナルの Zaire Mayinga 1976年株とは、わずかに2塩基対が異なっていた)を投与した。
実験群1 : コントロールグループ(対照群)であり、ファビピラビルを投与しない
実験群2 : 感染後6日目から13日目までファビピラビルを投与(1日当たり、体重1㎏当たり 300mg)
実験群3 : 感染後8日目からファビピラビルを投与(1日当たり、体重1㎏当たり 300mg)
の3群に鼻腔からエアロゾルとして吸入させ検討した。
結果は、
実験群1 : 感染から10日以内に全個体死亡
実験群2 : 投与後4日(感染後10日)以内に血液中のウイルス消滅。感染後3週間まで全個体生存、回復
実験群3 : 実験群1より若干死期を遅らせたが、感染後14日目までに全個体死亡
となり、エボラウイルスに有効である可能性が認められ、米国や、フランスで臨床試験が開始されることになった。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/140406/ecb1404062235000-n1.htm
各医療機関に対しての対応のマニュアルとして以下のような取り決めが平成26年8月7日版で出された。
届出基準に基づき、発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、胸痛、腹痛、嘔吐、下痢、食思不振、脱力、原因不明の出血などの症状や所見、渡航歴※1、接触歴※3等からエボラ出血熱が疑われると判断した場合※4、最寄りの保健所への情報提供を行う。
※1 現在流行している地域は西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリア
※2 これまで発生の報告があるアフリカ地域は、上記※1に加え、ウガンダ、スーダン、ガボン、コートジボアール、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国
※3 エボラ出血熱患者やエボラ出血熱疑い患者の血液などの体液等との直接接触や現地のコウモリなどとの直接的な接触
※4 潜伏期間は2~21日間(平均約1週間)。突然の発熱で発症。鑑別を必要とする疾患は、他のウイルス性出血熱、腸チフス、発しんチフス、赤痢、マラリア、
デング熱、黄熱等
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20140807_01.pdf
特定又は第1種感染症指定医療機関以外の医療機関としての対応は、2014年10月224日版の標準的対応フローとしては、
○発熱を呈する患者に過去1か月間の渡航歴を確認し、
○発熱と滞在歴が確認できた場合は、エボラ出血熱疑似症患者として保健所へ届出。検体採取はしない。
との通達が出ている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141110_02.pdf
ちなみに、神奈川県において第一種感染症指定医療機関は、横浜市立市民病院となっている。
詳しい情報を知りたい方は厚生労働省のHPをご一読ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html

投稿者 川村内科診療所

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