脳神経系

2015.08.20

頭痛治療のコツ 坂井文彦先生

2015年6月16日 横浜市健康福祉総合センター
演題「頭痛治療のコツ ~生活習慣病包括治療を含んだ現場報告~」
演者:埼玉精神神経センター 埼玉国際頭痛センター センター長 坂井文彦先生
内容及び補足(含質疑応答)「
慢性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛など、頭痛そのものが病気と考える。痛みを取れば治るものではなく、MOHを作りかねない。

参:MOH:medication overuse headaches
薬物乱用頭痛(MOH)の診断基準
1. 頭痛は1ヵ月に15日以上存在し,CおよびDを満たす
2. 8.1「急性の物質使用または曝露による頭痛」に示す以外の薬物を3ヵ月を超えて定期的に乱用している
3. 頭痛は薬物乱用のある間に出現もしくは著明に悪化する
4. 乱用薬物の使用中止後、2ヵ月以内に頭痛が消失、または以前のパターンに戻る
エルゴタミン乱用頭痛: 3 ヵ月以上の期間、定期的に1 ヵ月に10 日以上エルゴタミンを摂取している
トリプタン乱用頭痛:3 ヵ月以上の期間、定期的に1 ヵ月に10 日以上トリプタンを摂取している
鎮痛薬乱用頭痛:3 ヵ月を超えて、1 ヵ月に15 日以上単一の鎮痛薬を服用している
オピオイド乱用頭痛:3 ヵ月を超えて、1 ヵ月に10 日以上オピオイドを服用している
複合薬物乱用頭痛:3 ヵ月を超える期間、1 ヵ月に10 日以上複合薬物を摂取している
薬物乱用頭痛の治療
治療の原則は、以下の3つです。
1. 原因薬物の中止
2. 原因薬物中止後に起こる頭痛(反跳頭痛)に対する治療
3. 予防薬の投与
まずは乱用の原因となった薬物を中止し、その後に起こった頭痛は別の治療薬で対処する。頭痛ダイアリーを記録し、頭痛が起こった日数、薬物使用日数を正確に把握することが重要。
https://www.jhsnet.org/ippan_zutu_kaisetu_05.html

国際頭痛群類第二版の分類は以下のようになっている。片頭痛は一次性頭痛の中に分類されている。

https://www.jhsnet.org/guideline_GL2013.html

片頭痛は国や人種によって頻度に差があり、日本人は8%程度で先進国の中では、それほど多くない。

片頭痛患者は、高血圧性疾患や糖尿病患者よりも多い。

Sakaiらによる調査では、日本人に多い頭痛は緊張型頭痛(反復発作性緊張型頭痛20.6%、慢性緊張型頭痛1.6%)が多く、国際頭痛学会の診断基準すべてを満たす片頭痛の有病率は6.0%、疑診例を含むと8.4%というデータを報告している。

片頭痛の有病率を性別に見てみると、男性が3.6%、女性が12.9%と女性が3.6倍も高率である。緊張型頭痛では男性18.1%に対して女性が26.4%、群発頭痛の男女比は逆に男性に多く男女比は5~6.7:1である。
年代別では、片頭痛、緊張型頭痛とも、男性で20~30歳代、女性で30~40歳代の有病率が高く、群発頭痛も20~40歳代で多いといわれている。

性別、年齢層別片頭痛有病率

前兆のない片頭痛は、男性で2.1%、女性で9.3%、前兆のある片頭痛は男性で1.4%、女性で3.6%という調査結果があり、前兆のない片頭痛が女性に多くみられ、月経との関連が指摘されている。

片頭痛患者の医療機関受診率は、定期的な受診が2.7%、時々通院が12.3%であるが、受診したことがない症例が47割近くもいる。

Cephalalgia. 1997 ; 17 : 15-22.
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/guidance/epi.html

田島小中学校148例に対する調査では、頭痛で休学したことがある割合は3割近くあり、保健室を利用する学童は2/3近くに上った。

頭痛の診断に病態の理解が重要である。
片頭痛:慢性頭痛で悩む人の約1/4が片頭痛。
時々起る頭痛で毎日は起こらない。頭痛がない時はケロッとしているが、頭痛が始まると1~3日続き、ひどくなると脈打つような頭痛で、動くとつらい(動くと痛みがまぎれる緊張型頭痛とは対照的)。吐き気やおう吐を伴うことがある。片側が痛むことが多いが、両側痛むこともある。ストレスの最中よりもストレスから解放されたときに頭痛は起こりやすく、前兆や予兆を伴うことが良くあり、働き盛りの女性に多く、月経の前や途中に起こりやすく、10~15歳ころから始まり年齢とともにひどくなる。
片頭痛チェック項目、三つ以上あればほぼ確実:
・ 頭痛は時々おこり、月に1~2回、多いときは週に1~2回程度
・ 1回の頭痛は数時間から1~3日間続き、つらくて寝込むこともある
・頭痛がひどくなると、ズキンズキンと脈打つように痛む
・ 体を動かしたり、いきんだりすると痛みがひどくなる
・ 頭痛が起こったら、静かで、暗く、においのない部屋で横になっていたい
・吐き気がしたり、吐くこともある
・ 頭の片側が痛むことが多いが、両側が痛むこともある
・ 頭痛が起こる直前に、視界にギザギザしたものが拡がるように見えることがある
・ 頭痛が起こる1~2日前に、あくび、イライラ、むくみ、食欲亢進などの予兆が現れることがある
・ ストレスの最中より、解放されてほっしたときに起こりやすい
・月経に関連して起こることが多い
・家族(とくに母親)に頭痛もちがいる

誘発因子:ストレス、天気、ホルモン、食物(グルテン、人工甘味料アスパルテーム、グルタミン酸ナトリウム、チラミン、ココア、赤ワイン、チョコレート、チーズ、イチジク、ヒスタミン、硝酸塩を含む食品[ハム、ベーコン、ホットドッグ、サラミ]、ナッツ類、ピーナッツバター、アボカド、バナナ、シトラス、ニンニク:一部のものは因果関係がないとの報告もある)、月経、光、騒音、食事を抜く、脱水、喫煙あるいは副流煙の吸入、ある種の香水の匂い
予兆:生あくび、情緒不安定、浮腫、空腹感
前兆:閃輝暗点、失語、感覚障害、片麻痺
頭痛随伴症状:拍動性、片側性、悪心・嘔吐、睡眠で寛解、消耗感、利尿

興奮性亢進(セロトニン、ザブスタンスP)→視床下部
予兆は大脳皮質で起こる、頭痛は三叉神経で起こる

片頭痛発生メカニズム:
血管説はGrahamおよびWolffにより提唱された、片頭痛発作の原因は、頭蓋血管の反応性の異常によるとする考え方で、前兆期に脳血管が収縮し、その後さまざまな血管作動性物質の放出に伴い血管の異常な拡張が起こり血管に分布している痛覚神経が刺激された結果、拍動性の頭痛が生じるとする考え方。
しかし、Olesenらにより、片頭痛患者の発作中の局所脳血流測定で、片頭痛発作前兆期に脳血流は低下しているが、この血流減少期にすでに片頭痛発作が始まっていることが示され、血管反応性の異常のみで片頭痛の病態を指摘できないことが示された。
また、この血流低下は20%程度であり、通常の虚血を呈する50%の低下に満たないため、乏血を意味するoligemiaという単語を用いて、この血流低下の状態をspreading oligemiaと表現した。
Leaoが1944年にウサギの大脳表面への物理的な刺激や、高濃度のK+を作用させると脳神経細胞に脱分極が生じる現象を発見し、大脳皮質拡延性抑制(cortical spreading depression:CDS)として報告した。
このCDSは、約2~3mm/分の速さで周囲に伝播し、さらにCSDに伴い脳血流は一過性に上昇し、その後数時間の血流低下を示すことが動物実験において明らかにされた。
CDSとspreading oligemiaは血流低下領域の拡大する速度がほぼ等しいことおよびspreading oligemiaの伝播が、血管の支配領域とは無関係であることから、spreading oligemiaはCSDの結果生じるような大脳皮質神経細胞由来の変化を反映していると考えられた。
前兆のある片頭痛患者に診られる脳血流低下の程度は軽度であり、閃輝暗点などの前兆が出現するためには神経細胞自体の異常がはじめに起こる必要あると考えられ、片頭痛の機序としてCSDが有力な候補とされ、神経説が提唱された。
Hadjikhaniらのfunctional MRIを用いた研究で、視覚性前兆にCSDが関与することが示された。
前兆のない片頭痛においても神経症状を呈さない領域で神経細胞の活動性が変化する(clinically silent aura)ことも、この部位でCSDが生じている可能性が考えられるようになってきた。

三叉神経血管説は血管説に三叉神経の関与を加えた考え方である。
脳底部の主幹動脈から大脳皮質表面の軟膜動脈および硬膜血管には、三叉神経説由来の無髄神経線維が分布しており、頭蓋内の痛覚を中枢へ伝えている。
Moskowitzらは、三叉神経説を電気的または科学的に刺激して、硬膜に無菌性炎症である神経原性炎症を生じさせ、片頭痛発作にこの変化が関与している可能性を指摘し、三叉神経血管説を提唱した。
CDSが大脳に生じ前兆が生じる。その後、何らかの機序により硬膜の血管周囲に存在する三叉神経の軸索に作用し、神経終末からsubstance P(SP)、calcitonin gene-related peptide(CGRP)および、ニューロキニンAなどの神経伝達物質であり、血管作動性物質の神経ペプチドが放出されると考えらえる。その結果、硬膜周辺で、肥満細胞の脱顆粒や血管透過性の亢進、血漿蛋白の流出、血管拡張などの神経原性炎症が惹起され疼痛が生じ、さらに順行性の伝導により、三叉神経脊髄路核にいたり、同部位でのc-fosの産生を促し、悪心、嘔吐、自律神経の活性化、痛みなどを生じる。一方、三叉神経の逆行性の伝導はSPやCGRPの遊里を促進し、血管拡張や炎症をさらに助長すると考えられている。
家族性片麻痺性片頭痛患者において明らかにされた3つの遺伝子異常は、CSD誘発の閾値を低下させることにより片頭痛発作に関与していると考えられている。
P/Q型電位依存性Ca2+チャンネルα1Aサブユニット遺伝子(CACNA1A)のミスセンス変異は、Ca2+チャンネル機能の亢進とそれに伴う細胞内Ca2+の上昇を誘発し、CSD誘発閾値低下や伝播速度上昇を招くと考えられている。
Na+/K+ATPaseα2-subunit(ATP1A2)のミスセンス変異は、Na+/K+ATPaseの機能低下を起こし、細胞外K+濃度の上昇などを促進させ、CSDの出現や神経細胞の脱分極をきたすと考えられている。
2q24のSCA1A(神経型電位依存性ナトリウムチャンネルα1-subunit)遺伝子の変異は、脱分極後のチャンネル不活性化からの回復を促進し、神経細胞の興奮性を上昇していると考えられている。
発痛物質であるカプサイシンは侵害受容体神経に対して感受性を持ち、様々な臓器に作用し痛みを誘発するが、その情報伝達に、侵害刺激受容体であるtransient receptor potential cation channel, subfamily Ⅴ member 1 (TRPV1)受容体を介することが解明された。この情報伝達にはMAPキナーゼのサブファミリーの一つであるERK1/2(extracellular signal-regulated kinase)のリン酸化を介することも示された。
脳硬膜の感覚神経線維の中に、三叉神経節を起源としたTRPV1を含有する神経線維が存在することをSimizuらが報告し(Brain Res 2007;1173:84-91)、カプサイシン刺激で三叉神経節においてERKリン酸化が起こることを示し、脳硬膜のTRPV1受容体が、脳硬膜に生じた侵害刺激の情報伝達に関与することを示し、片頭痛の病態にも関与している可能性を示した。
脊髄神経では、炎症、外傷及び侵害刺激を加えると脊髄後角でmicrogliaおよびastrocyte肥大化が生じ、TRPV1受容体が、このような器質的変化を生じることで片頭痛に関与しているとSimizuらは考えている。

http://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051020103.pdf

片頭痛―視床:神経伝達物質
図AはNoseda Rが提唱した片頭痛の発症機序において、視床に存在する三叉神経血管系の神経と様々な神経伝達物質との関係を示した図である。Bは様々な神経伝達物質の管を示している。

赤:グルタミン酸
硬膜の知覚が三叉神経脊髄路尾状亜核で、二次ニューロンに伝えられ視床に達する際の二次入論の伝達物質である。

茶:ドーパミン
視床下部を介して、欠伸や嘔気などの予兆を引き起こす物質。また、薬物依存、感情、dicision making、薬剤使用過多による頭痛(MOH)にも関与し、ネガティブな考え、怒り、イライラ感のコントロール、認知作業などによる片頭痛に関与すると考えらえている。

緑:セロトニン
視床と大脳皮質間の三叉神経血管系に抑制的に働く。ストレス、不安、抑うつ、睡眠、食欲、学習などと密接にかかわっている。
青:ノルアドレナリン
視床神経、三叉神経血管系神経を興奮させ、高血圧を引き起こす。β1受容体拮抗薬が視床の三叉神経血管系神経を抑制し、片頭痛予防薬として使用されている。

オレンジ:ヒスタミン
ヒスタミンH1受容体を介して血管が拡張し、その結果遅発性の頭痛を引き起こすもとと考えられてきた。一方、ヒスタミンの三叉神経血管系の資料神経への影響は、H1受容体を介して、遅発性脱分極を引き起こし、burstからtonicの状態へ変化させると考えられる。この変化は、覚醒と睡眠に大きな役割をしていて、睡眠によって頭痛が軽快することに重要な役割を果たしていると考えられている。

紫:MCH  Melanine Concentrating Hormone
視床下部から生じるMCH systemはGABAを含有し、エネルギー消費、覚醒、運動、性、自律神経系の修飾/抑制に関与していると考えられる。
食後血糖値の上昇によりMCHニューロンは活性化され、大脳皮質、皮質下、脳幹、脊髄でGABAをリリースし、睡眠を誘導したり、摂食を中止する。
摂食により、片頭痛が改善する機序は、血糖上昇により、視床下部MCHニューロンが活性化され、視床三叉神経血管系を抑制すると考えられている。逆に食事をとらないで片頭痛が惹起される機序は、欠食により、MCH系が抑制され、GABA系が減少し、GABA系の抑制により、硬膜からの三叉神経血管系が興奮するためと考えられる。

黒:オレキシン
オレキシンは外側視床下部より大脳皮質、視床、脳幹、脊髄や他の視床下部に投射している。オレキシンAとオレキシンBがあり、受容体も1と2が存在する。受容体1はオレキシンAに選択的に、受容体2はオレキシンAとBに非選択的に結合し、摂食、覚醒や交感神経系を介する発熱、心拍数、血圧に関与すると考えられている。
MCHとは逆に、血糖が降下するとオレキシン神経は活性化され、摂食、覚醒状態が引き起こされる。食事によって片頭痛が減るのは、MCHによるGABAリリースの減少だけでなく、オレキシンの抑制も関与していると考えられ、欠食による片頭痛の惹起も、血糖低下によるオレキシン神経の活性化も関与していると考えられている。

CGRP:Calcitonin gene-related peptide
血管拡張作用を有する37個のアミノ酸よりなる神経ペプチドで、頭蓋内及び外動脈に対して拡張作用を有し、さらに頸静脈的に投与すると片頭痛用の発作を誘発することが下れており、片頭痛発作時に血中CGRP濃度の上昇が報告されている。
一酸化窒素やTRPV1受容体を介して放出が促進されることもわかってきた。
CGRP受容体が視床VPMに存在し、CGRP受容体拮抗薬が視床三叉神経血管系を抑制することも示され、新たな片頭痛薬として期待されている。

Noseda R:Neurochemical pathways that converge on thalamic trigeminovascular neurons: potential substrate for modulation of migraine by sleep, food intake, stress and anxiety.PLoS One 2014 Aug4;9(8):e103929.doi:10.1371

片頭痛は脳血管の痛みが発生源で、筋緊張型頭痛は首、肩の筋肉が痛みの発生源である。
片頭痛は後頚部の鈍痛から始まることが少なくない。
後頚部の強い締め付け感が続き、その後、同側の目の奥、側頭部あるいは全体に進展・増悪する。
体動、お辞儀、いきみで増悪し、暗い静かな部屋でじっとしていると改善。
増悪すると拍動性となり、1-2日持続し、トリプタン製剤が効果なくなってくる。
三叉神経血管系と頚髄神経筋系のクロストークがあり、中枢性痛みが感作され、脳内に痛み増幅系の経路が記憶されてしまう状態で、Pain Matrixが形成されると考えられている。

参:Pain Matrix
1991年にTalbotらやJonesらのPETによる研究以来、脳内の離れた多くの部位が同時に疼痛認知にかかわっている可能性が明らかになってきた。すなわち第一次感覚皮質(Primary Somatosensory Cortex:S1)、第二次感覚皮質(Secondary Somatosensory Cortex:S2)、島皮質(Insular Cortex:IC)、前帯状皮質(Anterior Cingulate Cortex:ACC)、前頭皮質(Prefrontal Cortex:PFC)などである。
これらの部位は”Pain Matrix”と総称される。
MeIazckらが分類した、疼痛の三要素をそれぞれ担う形で疼痛という現象を成立させていると考えられている。
感覚弁別要素sensory-discriminateiv component:痛みの位置、強さ、性質:S1,S2及びIC
情動動機要素affective-motional component:痛みの不快感、いやさ:ACC
認知評価要素cognitive-evaluative component:痛みの評価:PFC
S1,S2及びIC:外側視床核からの投射を受けlateral nociceptive systemを、ACC,PFCは内側視床核からの投射を受けmedical nociceptive systemを構成する。

疼痛関連脳活動のネットワーク”Pain Matrix”の典型例

トリプタン系薬剤の作用
脳血管に作用し、広がりすぎた脳の血管を元に戻し、三叉神経からの神経ペプチドの放出を抑え、三叉神経が受けた刺激の情報が大脳に伝達されるのをブロックする作用がある。
このため、片頭痛だけでなく、嘔気・嘔吐、光過敏、音過敏などの症状も抑える。
トリプタン系薬剤の適切な服薬タイミング
トリプタン系薬剤は、前兆期に服用しても効果は期待できない。頭痛が始まり、それが片頭痛の痛みであると確信した軽度のうちに服用すると高い効果が得られる。しかし、さらに時間が経過しひどくなってアロディニア(通常なら痛みを感じない程度の刺激で痛みを感じる現象)にまでなると薬剤の効果はほとんど見られなくなる。
「片頭痛と確信したそのとき」は人によって異なるので、自分自身の片頭痛が起こる前の状況を思い出し、自分に合った服用タイミングを習得していく必要がある。「いつもは大丈夫だが、お辞儀をした際に頭痛をかじるようになった後に片頭痛が起こる」や、「普段は首を振ってもなんともないが、首を振って頭が重くなった後に片頭痛が起こる」など。

http://www.sukkirin.com/therapy/triptan.html

片頭痛治療のコツ

胃腸停滞の気配がしたら、ドンペリドン10㎎、プリンペラン㎎内服し胃腸の蠕動を正常化する。
片頭痛が始まったら、早めに(できれば4時間以内に)トリプタン1-2錠内服(時には自己注射)を行い、血管拡張を抑え、血漿漏出を治療し火元を消す。
一般的な鎮痛薬では、ボヤを消すことはできても、火元を消しきれない。
痛みが続いたら(月経時片頭痛に多い)、消炎鎮痛薬(アセトアミノフェン)を内服、または坐薬で投与し、痛みの延焼を止める。

片頭痛治療の基本的な流れ
下図のように負のスパイラルが形成され、症状をよりひどいものにしているので、不安を和らげ、安心感と希望を持たせる。

頭痛ダイアリーの利用
併用薬の工夫、自己注射の活用など
予防薬により、片頭痛発作の頻度、程度を軽減する。
カルシウム拮抗薬:ロメリジン(テラナス、ミグシス):脳血管の攣縮と拡張の差を小さくして興奮状態を鎮静化する。
β遮断薬:プロプラノロール(インデラル):脳に直接働きかけて鎮静化する。
抗てんかん薬:バルプロ酸ナトリウム(デパケン、デパケンR、セレニカR)脳の校風を抑え、片頭痛の前兆をフロックする。
抗うつ薬:アミトリプチリン(トリプタノール)片頭痛の発生にかかわる三叉神経の活動や脳の興奮を抑える。

頭痛体操:Exercise to relieve headache and stiff shoulders
片頭痛:脳内の頭痛回路が首の後ろにまで伝わり、痛みのしこりを作っている。体操により後頚筋群をほぐし、脳の痛み調節系によい刺激を送ることを目的としている。
緊張型頭痛:ストレス頭痛とも呼ばれ、首の付け根から肩にかけて筋緊張を伴う。頭を支えている頚から肩への筋肉に、ストレスによる負担がさらにかかり頭痛の原因になるといわれている。

上手な頭痛体操のコツ
頭痛体操は片頭痛の予防、特に慢性化の予防や治療に効果的です。片頭痛の結果起生じた首の後ろのしこりが続くと片頭痛が起こりやすくなります。首のしこりをストレッチ体操でほぐすと、脳の痛み調節系に良い刺激が送られます。朝夕一回ずつ、それぞれ2分間程度の体操で首の硬さがほぐれます。

片頭痛の最中に体操をすると頭痛がひどくなるので注意して下さい。一般に、脳内で起こる頭痛は動いたり息んだりすると強くなります。運動により脳の圧が上昇するためです。片頭痛は脳の血管が痛む病気ですので、軽い運動でも頭痛や吐き気が悪化します。逆に、緊張型頭痛は軽い運動で痛みの紛れるのが特徴で、片頭痛と対照的です。

頭痛の時、ちょっと体操をしてみて、ひどくなるのは片頭痛、少し紛れるのは緊張型頭痛ともいえます。自分で片頭痛を識別する方法の一つです。

腕を振る体操:
① 腕、肩の力を抜いて行う。
② 背骨(頸椎)を軸にして体を左右に回す。
③ 腕の遠心力で体を回すイメージで行う。
④ 身体をひねる目安としては、背中の約1/3が見えるように行う。

肩を回す体操:
肩だけでなく、肩甲骨も動かすよう意識する。
手が後ろに来たとき胸を張るように、肩甲骨同士が近づくように動かす。
手が前に来たとき、猫背のように肩甲骨同士が離れるように動かす。


片頭痛間欠期の筋・圧痛点に注目 (Sakai 2008)
1)片頭痛患者の後頸部に筋硬結・圧痛点
2)検者が指で圧迫すると
 -鈍痛(強い)、ときにするどい痛みを感ずる
 -患者は逃避するほど
3)するどい痛みは頭部にも放散する
4)ストレッチにより筋硬結・圧痛が消失する
Exercise to relieve headache:
The muscles around the neck support the head as well as moving it. Since these muscles have to hold up both the neck and head for a long time, they get tired and become hardened. These stiff muscles are one of the causes of headache.
This exercise stretches the muscles (inner muscles) which support the head and neck. When these muscles are stretched, their stiffness and fatigue disappear and the headache may be relieved.
1) Stand upright facing forward, keep your head still. Without moving your head, swing both shoulders to the right and the left as far as you can. Keeping the neck still as the axis, swing your shoulders. This motion will stretch the muscles (inner muscles) which support the head and neck.
2) If you do this exercise sitting in a chair, make sure that you swing your shoulders far enough so that you feel that the muscles behind your neck stretching.
http://www.mdsakai.jp/20090904cp.html

僧帽筋の静的ストレッチ:手首を後ろ手に固定し、肩が上がらないようにして、手首をつかんでいる方へ首をゆっくり倒していく。

http://www.saitama-ni.com/pdf/no33-zutuu-report.pdf

片頭痛のツボ:
完骨(かんこつ):耳の後ろにある骨のふくらみである乳様突起の下の部分から指一本分上に位置する。指に頭の自重をかけ、指も上に押し込む要領で刺激する。
天容(てんよう):完骨ツボと同じ筋上で、下あごの角の下に位置する。天容のある金全体をマッサージする。

その他の頭痛を和らげるツボ
天柱(てんちゅう):首の後ろにある筋肉の外側で、髪の生え際を刺激する。親指の先をツボに当て、残りの指で頭を包むようにして頭部の自重を親指で支えるような体勢で強めに刺激する。
風池(ふうち):天柱ツボのさらに指一本分外側にある窪みに位置する。親指の先をツボに当て、残りの指で頭を包むようにして頭部の自重を親指で支えるような体勢で強めに刺激する。

肩井(けんせい):
首と肩先の真ん中にあって、肩の筋肉の中心にあたる。
反対の手の指を広げて方においた時に丁度中指が当たる位置。体の中心に向かって長く強めに刺激する。

頭の血流を増やすツボ:
合谷(ごうこく):親指と人差し指の骨の付け根の間に位置する。
頭の血流を促す効果があり、頭痛やめまいの他、胃腸の不調にも効く万能ツボ。
気持ちよくなるまで3~5分押す。

目の痛みを伴う頭痛のツボ:
攅竹(さんちく):左右の眉頭のすぐ横にあるツボで、目の機能を調節する働きがある。

慢性連日性頭痛Chronic Daily Headache:CDH
1日4時間以上の頭痛が1ヵ月に15日以上あり、その状難いが3か月以上続いているもの。
ゴールデンウイーク明けや、夏休み後、新学期などに発症しやすく、『頭痛さえ治れば学校へ行けるはず』と考えがちで、初期のうちはそれほど頭痛の回数は多くないものの、薬を飲んでいるうちにだんだんと頭痛のパターンが変化し、回数が増加してくるとこが良くみられる。
5~17歳の平均2.2%に見られていて、12~14歳の男女に多くみられ、クラスに一人いるような状況である。
緊張型頭痛、片頭痛、両者の混合型の場合があり、一日の生活のリズムができていないことが悪化の要因と考えられ、入院させて、朝決まった時間に起きて運動させることにより、改善される。思春期のストレスなどの心理的な要素が大きな頭痛で、カウンセリングの際には、親子一緒に行うことが有効である。ヨガを行う場合にも、親子で実施している。

発作性片頭痛:他のNSAIDで効果がないのに、インドメタシンが絶対的な有効性を示す疾患。
片側性で、頭痛と同じ側に流涙、目の発赤などの自律神経症状を伴うことから群発頭痛類似の頭痛として報告された。
診断基準:
3.2 発作性片頭痛 (ICHD-2)
A. B~Dを満たす発作が20回以上ある
B. 一側性の重度の痛みが眼窩部、眼窩上部または側頭部に2~30分間持続する
C. 頭痛と同側に少なくとも以下の1項目を伴う
(ア) 角膜充血または流涙(あるいはその両方)
(イ) 鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
(ウ) 頑健浮腫
(エ) 前頭部及び顔面の発汗
(オ) 縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)
D. 発作頻度は大半で5回/日を超えるが、これよりも頻度が低い期間があってもよい
E. 発作は治療容量のインドメタシンで完全に予防できる
F. その他の疾患によらない

3.2.1 反復性発作性片頭痛
A. 3.2発作性片頭痛の診断基準A~Fを満たす発作がある
B. 7~365日続く発作期が1か月以上の寛解を挟んで2回以上ある
3.2.2 慢性発作性片頭痛(CPH)
A. 3.2発作性片頭痛の診断基準A~Fを満たす発作がある
B. 1年以上を超えて発作が繰り返され、寛解期がないか、または寛解期があっても1か月未満である。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/takeshima/201404/535976.html

慢性頭痛の診療ガイドライン2013
頭痛体操PDF

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