循環器系

2015.10.01

大動脈弁狭窄 納富雄一先生

2015年9月10日 
演題「大動脈弁狭窄 2015」
演者: けいゆう病院 循環器内科 心血管画像センター部長 納富雄一先生
内容及び補足「
北米やヨーロッパで調べられた75歳以上の9723人のうち、Severe AS(大動脈弁狭窄)の人が3.4%いるというデータを日本人に当てはめてみると、
1500万×3.4%=51万人
という数になる。そのうち3/4が症候性であるので39万人という数になる。

http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000262.html

大動脈狭窄症の自然歴は自覚症状が出た時点で急速に悪化するといわれており、狭心症場が出た場合の平均生存期間が5年、失神の場合3年、心不全の場合には2年といわれている。

平均すると月に2%の死亡率と考えられている。そうすると7800人毎月死亡する可能性がある。一か月以内にAVR (aortic valve replacement)が必要ということになる。
65歳以上の交通事故死が毎月180人であることを考えると、大変な数である。

http://circ.ahajournals.org/content/126/1/112.full

弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)においてはASにおけるAVRの推奨及び危険度は以下のようになっている。


Asymptomatic Severe AS患者は51万-39万=12万いるが、この死亡率も1%/年ほどある。
しかしこういった人をどうやって見つけるかということが問題となってくる。
少し古いデータであるが、AHJの1999 137 298-306には、収縮期心雑音の強さとタイミング、2音の減弱、頸動脈圧上昇の遅延と圧低下が有効とされているが感度は29%、特異度は90%とされている。
http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703(99)00505-0/abstract

397名のAS患者での2音の低下は9%であった。
http://annals.org/article.aspx?articleid=701646

AS患者の頸動脈波の上昇は68%で正常であった。
http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703(99)00505-0/abstract

死亡例の検討では、生前高血圧を認めている割合は半分しかないというデータもあり、先天性二尖弁のように大動脈弁が融合していれば2pは減弱するので診断に苦慮することになる。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1548720/pdf/bmjcred00566-0074d.pdf
原因としても1980年以前ではリウマチ熱の罹患による変性が多かった。そのため動脈硬化性変化がなく低血圧で頸動脈波の遷延がない。1980年以降では動脈硬化に伴うものが多くなっている。
収縮期雑音が3/6以上でSevere ASの診断感度は29%であり、100人中71人はsevere AS
がありながら収縮期雑音は2/6以下である。
23人のAS患者の圧格差と収縮期雑音の比較を見てみるとほぼ直線的となる。

しかし弁口面積と収縮期雑音の関係を見てみると曲線の左下にいる人がいる。この人たちは、雑音が小さい割に、弁口面積が狭い症例である。

http://ac.els-cdn.com/S0735109783801466/1-s2.0-S0735109783801466-main.pdf?_tid=b9e10a04-6717-11e5-8d08-00000aab0f6c&acdnat=1443578910_6d614e0846ed1773f3bb8f8d484370a9

圧格差は何が作るか
圧格差 ∝(流量/弁口面積)2
である。
流量が変わらず弁口面積が減少すれば、圧格差が増加し、狭窄部位の血流量が増加し、狭窄が終了した部位で乱流が生じ、振動が大きくなり、駆出期雑音が大きくなる。
弁口面積が変わらなければ、血流量が低下すると、圧格差は低下し、振動が減弱し、雑音は低下することになる。
あるデータによるとASの人の55%で血流量が低下している。
収縮機能が正常で、血流量の低下はどういう状態かというと、心筋の求心性肥大が起こって、心室内腔が小さくなっている状況が考えられる。
Low flowとNormal flowで予後を比較してみると明らかにLow flowの方が悪い。
つまり雑音が聞こえづらい人の方が死亡率が高いことになる。

http://circ.ahajournals.org/content/127/23/2316.full
一般的には、ASの重症度は下記の検査で判断されている。

しかし、中等度と高度の線引きの境目にいる人が検査で高度になったので、治療しましょうと連絡をした翌日に死亡された症例があり、血流量の低下を加味して判断する必要がある。
参:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)

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