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2016年7月 4日 月曜日

こころとからだを癒す笑いの力 大平瀬哲也先生

福島県立医科大学の大平瀬哲也先生の講義が大変ためになったので、その話のエッセンスを以下にご紹介させていただきます。
『ノーマン・カズンズの奇跡』
ジャーナリストのカズンズさんは50歳の時に当時5000人に1人しか治らないといわれる難病の自己免疫性疾患である『強直性脊髄炎』にかかりました。さらに不幸なことに、薬にアレルギーがあるために、使う薬すべてに副作用が出て、医師も打つ手がない状況にありました。医師からその状況を聞いた彼は、医師任せではなく、自分で病気のことを調べ始めました。ハンス・セリエ氏が書かれた『生命のストレス』に書かれている内容から『積極的な情緒は積極的な化学反応を引き起こさないだろうか? 愛や、希望や、信仰や、笑いや、信頼や、生への意欲が積極的価値を持つことがあり得るのだろうか?』(「笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ 2001年)と考え、主治医と相談の上、自分に不足していたビタミンCを大量にとり、笑いを取り入れることにしました。笑うことによりはじめは体中が痛むので、徐々に笑う量を増やす計画を立てて実行しました。
その結果は驚くべきもので10分間腹を抱えて笑うと少なくも2時間は痛みを感じずに寝られるようになり、身体の炎症の程度を表している血沈(赤沈)が愉快な話を聞く前と後では必ず低下していることがわかりました。

笑いの定義:
『ユーモアに対する身体的な反応』で、『手や足、体幹の動作をともなう笑う』という「身体動作」、『笑い声』という「発声」の2つの要素から構成されています。
笑っている間に消費カロリーは安静時よりも10~20%増加し、1日10~15分間の笑は10~40Kcalの消費の増加が見られます。
また、笑っているときには、腹式呼吸を自然にしています。

以下に笑いの身体に対する影響をクイズ形式でまとめてみます。

Q1 人は1日平均何回くらい笑いますか?
A1 被験者の1日をビデオに収録し、録画を再生して笑っている場面を数えた研究で、アメリカ人は平均17回笑うことが確認されました。
Q2 笑うのは人間だけ?
A2 笑っているような表情は、いろいろな動物で見られますが、笑い声をあげるのは、人間だけど思われていましたが、最近の研究では、知能が高い袁類(ゴリラ、オラウータン、チンパンジーなど)では、笑いと考えられる動作が認められると考えられるようになりました。
Q3 男女どちらがよく笑う?
A3 Q1のアメリカの研究では男女差はなかったようですが、日本においては、明らかに女性の方がよく笑うことが確認されています。『男子たる者、歯を見せて笑うべからず』と教育を受けた影響でしょうか?
Q4 何歳から笑う?
A4 8~10ヶ月齢で、目の前で髪を破くなどの面白い動作を行うと、声を上げて笑うようになります。
Q5 若い人と高齢者どちらが数多く笑う?
A5 若いほどよく笑います。笑いは『ア行』の後に『ハ行』がくっついて、『ハ行』が繰り返す形です。アハハハハ、イヒヒヒヒ、ウフフフフ、エヘヘヘヘ、オホホホホといった形です。この単語の間隔が若い人ほど短く(1秒間に四回ハを言っている)、高齢になるほど長くなってきます。高齢者の見本が、水戸黄門様の笑いです。
小学生では一日300回ほど笑い、70歳では2回だったという研究もあります。
Q6 収入がある人と、収入が少ない人どちらがより笑う?
A6 収入が増えると笑う頻度が増えるようですが、よく笑う人で収入が多くなったのか、収入が多いから笑う頻度が多いのかは、このデーターではわかりません。
アメリカのある研究は、卒業写真で笑っている人とそうでない人の30年後の社会的状況を比較した研究では、笑っている人の方が成功していたという研究があります。笑うと収入が増える可能性があるという研究になります。
次は笑いと病気の関係を見ていきましょう。
Q7 認知症と笑いの関係は?
A7 ほぼ毎日笑う人に比べ、ほとんど笑わない人は約2倍の頻度認知症症状を持っていました。認知症のために笑うことが少なくなっているのか、笑わないので認知症になったのかはこの研究では断定できませんが、笑う頻度が少ない人ほど、1年後の認知機能が悪くなっていることもわかりました。これも、認知機能が悪くなる人は笑いが少なくなっているのか、笑わないために認知機能が悪くなっているかは断定できません。
Q8 糖尿病と笑いの関係は?
A8 検診を受けられた5000人弱の人を対象に行った調査では、ほぼ毎日声を出して笑う人に比べて週一回も笑わない人は、1.5倍も糖尿病の頻度が多いことがわかりました。
Q9 関節リウマチの痛みと笑いの関係は?
A9 日本医科大学の研究で、約1時間の卓後の前後で自覚的な痛みの程度、炎症の程度を表す血液のインターロイキン6などの検査項目が有意に軽快・低下していました。
Q10 癌と笑いの関係は?
A10 糖尿病の講義と吉本新喜劇を鑑賞した比較試験では、がん細胞をやっつけるNK細胞の活性が吉本新喜劇を鑑賞した群で有意に上昇して(活発になる)いました。
Q11 ストレスと笑いの関係は?
A11 ストレスの対応として体に分泌されるコルチゾールという物質は、笑いにより低下すること、よく笑う人ほどその低下が大きいことが報告されています。

*笑い自体が効果的なのか、笑えるようなおかしなことの体験自体が効果的なのかを確認するために、『笑いヨガ』の紹介がありました。
笑いヨガは「笑いの体操」と「ヨガの呼吸法」を組み合わせた運動療法で『日本笑いヨガ教会』 というサイトを見ていただければより詳しい情報がわかりますが、大平哲也先生の研究では、笑いヨガにより糖尿病患者の血糖管理の指標であるHbA1c が、お笑いを聞いた時よりもより低下していたこと体重減少も見られたとお話しされていました。笑いヨガで、うつ病の状態がよくなり、薬もいらなくなった方もいて、現在、笑いヨガのインストラクターの資格を勉強中とのことでした。

まとめ:笑うことは心も、体も健康的になれます。可笑しいことがなくても、無理して笑うことにより、より気持ちのふさぎ感が改善していくことも幾つかの研究で示されています。仲の良い人との会話を日々の生活に入れ、ポジティブな感情で、聞きお互いに笑顔で対応するようにすることは、認知症の予防にも、生活習慣病の改善にも、心の健康のためにも役立つものだと思います。

投稿者 川村内科診療所

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