病気の豆知識

2017年7月10日 月曜日

肩こり ストレートネック

肩こりは、日本人の多くが悩まされている病気の1つです。特に女性に多くみられ、平成25年の国民生活基礎調査によると、8人に1人に肩こりの症状があるとされています(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/04.pdf)。
 「肩こり」について、夏目漱石は小説「門」の中で、「頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように凝っていた」と表現しています。それ以前は、「肩が張る」「打ち肩」と表現されることが多かったようです。かなり以前から、日本人は肩こりに悩まされていたようですね。
 「外国人は肩がこらない」と聞かれたことがあるかも知れませんが、実際に肩がこらないのではなく、「肩こり」という表現の仕方やモノのとらえ方 (概念)がないのです。英語で「肩こり」を翻訳ソフトで調べてみるとStiff Shoulder(硬い肩)となりますが、実際にこの表現でうまく伝わる ことは少なく、Stiff Neck(硬い頸)、Stiff Back(硬い背中)と言うと問題なく伝わります。
 そうはいっても、肩の症状を訴える頻度は圧倒的に日本人の方が多いようです。厚生労働省の調査では、生活のなかで不快に感じている症状のなかで、肩こりは、男性が腰痛に次いで2番目、女性はトップです。

五十肩といわれるような肩関節周囲炎や頸椎症などのように原因がある場合もあれば、いろいろと調べてみても、原因がわからない肩こりもあります。
 肩こりを悪くする要因としては、精神的ストレス、姿勢の悪さ、運動不足、寝不足、過労、眼精疲労などがあげられています。
 それにしても、なぜ日本人に肩こりが多いのでしょうか。
 畳に直接座る文化から猫背が多いことのほか、欧米人に比べ、筋肉量が少ないこと、なで肩の人が多いことなども影響していると考えられます。
 頭の重さは結構あるので、前かがみになると首から肩への負担がかなり増えます。
ある程度の筋肉量があると、首が比較的まっすぐになるので、前かがみの程度が少なくて済むことと、同じ重量を支える際に個々の筋肉の細胞にかかる 負担分が少ないことも肩こりが少ないことと関係しています。逆に首から肩にかけての筋肉量が少ないと、肩こりが生じやすいといえます。
 なで肩の人は、指先の位置がイカリ肩の人よりも下に位置していることになり、その分、腕と手の重みが肩にかかっていると考えられます。なで肩の人は、両肩の位置を高めにする姿勢を意識すると肩こりの予防になるでしょう。

イラスト kasimo

 高血圧がその原因と考えられていた時期もありましたが、低血圧の方にも肩こりは多くいます。現在では、同じ姿勢を取り続けること、眼精疲労、運動不足(筋力低下)、ストレスが原因として挙げられています。
 今は特に、街中でも良くみられる、スマホをやっている時の姿勢が、この肩こりを作り、増やし、悪化させていることは間違いありません。
 頭はかなり重量があり、前傾姿勢では、肩から首の後ろ側の部分にある筋肉(僧帽筋、板状筋、半棘筋や後頭筋群)で引っ張る形になり、長時間その姿勢を杖受けると、これらの筋肉が凝ってきて、硬く収縮したままになります。

 酷くなると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が出てきますし、長時間これらの筋肉が硬直していると首の骨の状態が変化してストレートネックになってしまいます。
凝り固まった筋肉を、圧迫やマッサージでほぐしたり、湿布などを張ることにより症状は改善しますが、何よりも予防が第一です。
 頭を背骨の真上に来るように姿勢を矯正することで、この負担がかなり軽くなります。
 そこで、下のイラストにある「脇締め体操」をお勧めしています。30分に1回ぐらい一瞬でもよいのでこの姿勢を取っていただくことで、この首から肩にかけての負担が軽減します。
 両手を後ろに回し、反対の手の肘を持って、脇を締めるようにして、両方の肩甲骨を寄せるようにしましょう(この際、おなかを引っ込めると、お腹のダイエットにも役に立ちます。

イラスト kasimo
 身体が硬くて、手が後ろに回りにくい人や、肩の関節が痛くなる人は、手を背中側に回して、脇に物を挟む感じで、脇を締めるだけでよいです。その際には、肩を開いて胸を張ること、顎を少し引き気味にすることを忘れないでください。
 また、寝るときに、首を圧迫して寝ると気持ちよいため、高い枕になりがちなのですが、高い枕だと、首の周りの筋肉を引っ張ってしまうことになり、寝ている間の筋肉の緊張が取れにくくなるため、肩こりの改善にならず、肩こりが持続する原因の一つにもなります。
 寝返りを打つつもりで体を横向きにする際に、スムーズに体が動かせる枕の高さに調節してみてください(高すぎたり、低すぎたりした際には、寝返りを打つ際に反動を使います)。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年3月23日 木曜日

花粉症対策

花粉症
歴史:19世紀初めごろイギリスで牧草を刈り取り、乾燥させるためのサイロに運び込むときに、鼻からノドにかけて焼けつくような痛みとかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙が止まらなくなり、熱っぽくなる症状が一部の農民に認めらました。
イギリスの学者ボストークが枯草熱(こそうねつ:Hay Fever)として初めて医学的に報告し、イギリスの学者ブラックレーが「枯草熱がイネ科植物の花粉に起因している」ことを明らかにしてから、花粉症と呼ばれるようになりました。
日本においては、1961年にブタクサの報告があり、1964年にはスギ花粉症21例の報告がなされ、その後次々と様々な花粉症が報告されるようになりました。

機序:
花粉が鼻や目の粘膜に付着し、花粉から遊離した蛋白や糖蛋白質が人の免疫担当細胞により異物と認識されて、抗原特異的な抗体が産生(免疫記憶)されます。その抗体が肥満細胞の表面に配置された後に、抗原が結合して、肥満細胞内にあるヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどのケミカルメディエーターが肥満細胞から放出され症状が出ます。症状は、くしゃみ、鼻水、鼻閉といった主にヒスタミンの作用による即時相反応と6~8時間後に再度生じる好酸球などの炎症性細胞によって引き起こされる鼻閉の遅発相反応があります。
くしゃみで抗原を吹き飛ばし、鼻水や涙で洗い流し、鼻づまりで中に入れないための生体防御の反応なのですが、過剰に反応するために、多くの人を悩ますことになっています。

対応策:
花粉を身体につけない:大きめのメガネをかけ、隙間ができにくいマスクをする。
ポレノン、イオンブロック
ポレノンはジャムなどに含まれているベタベタした粘度の高い多糖類で、花粉をどんどん吸着して集めることにより症状を出にくくします。鮭の白子から抽出されたマイナス荷電を帯びた核酸DNAがプラスの花粉を集めます。


https://bodytrouble.jp/pollenallergy/airmask-pollenon-review/

イオンブロックは、プラスイオンポリマーでプラスイオンの花粉を反発し、陰イオンを吸着して吸入を抑えます。酸化チタンが吸着したアレル物質の活動を抑えるそうです。


http://www.fumakilla.co.jp/products/athome/kafun/-160-2.html

家の中に入れない:
外出時には、花粉が付きにくい生地の服を着るようにしましょう。帰宅時に玄関ドアから少し離れたところで服や鞄をはたき、髪の毛を払い花粉を落としましょう。コートなどは玄関に置き、リビングに持ち込まないようにしましょう。空気清浄器も玄関に設置したほうが、花粉の持ち込みのブロック効果は高くなります。
可能であれば、帰宅後すぐにシャワーを阿部いて花粉を落としたいものですね。
家の中に持ち込んでしまった花粉は蓄積されてしまうので、掃除が大切になりますが、細かい花粉は掃除の際に舞い上がり、ゆっくち落ちてくるので、掃除機で吸いきれないことも多く、花粉の飛散の少ない早朝や深夜に窓を開けて、換気し室外に吹き飛ばすことができるとよいでしょう。寒い時期はヒトの移動が少ない15時から16時に換気するのがおすすめです。

https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2_chpt2.pdf

鼻閉対策
寝ているときに鼻詰まりがあると、口呼吸となり、喉が乾燥して痛みます。
マスクをして寝ることをお勧めします。マスクが息苦しい方や、寝ている間にマスクが外れてしまう方は、幅広のネックウォーマーがおすすめです。寝ているときに鼻まで覆えるとかなり口やノドの乾燥が防げます。

https://wowma.jp/item/178288677

しかし鼻づまりがあると寝苦しいので、その対策ですが、点鼻薬もありますが、血管を収縮させるタイプの薬だと長期使いことにより、鼻の粘膜の腫れがひどくなることが多々あり、長期使用はあまりお勧めではありません。

鼻閉に効果があるツボがあります。

睛明(せいめい):鼻の付け根の両わき
迎香(げいこう):小鼻の左右のふくらみのわき

外鼻(がいび)耳の穴の手前にある小さなふくらみの中央、顔寄り。
内鼻(ないび)外鼻の裏側のやや下。
腎上腺(じんじょうせん):外鼻の斜め下。
内分泌(ないぶんぴ):耳の穴の下の切れ込みの内側
http://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/tsubo/201402.html

効果はヒトによりいろいろだと思いますがぜひ試してみてください。
川村式鼻閉対策
自分はツボについてはあまり詳しくありませんが、自分の鼻閉を取るために以下の方法を良く使っています。鼻が個体や液体で詰まっているのではなく、鼻粘膜の腫脹(はれ)で詰まっているときには、ほとんどの場合即効性で効果があります。
小鼻の少し上の横の部分で、圧迫するとすごく痛い場所が見つかるはずです。少しずつずらしながらどこが痛いかを探してください。痛い場所が見つかったらそこを痛みが強くなる程度の強さで押しながら鼻で息をしようと努力してください。数回の呼吸で鼻の通りがよくなってきます。ぜひ試してみてください。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2016年6月27日 月曜日

夏場の健康管理の注意点

今年は何時梅雨入りするかはっきりしませんが、うっとうしい梅雨の時期からうだるような夏の時期にかけて、体調を崩される方が少なくありません。
この時期によくみられる病気や状態には、以下のものが多くみられます。
① 夏バテ・冷房病
② 夏風邪
③ 熱中症・熱射病
④ 食中毒:下痢・嘔吐

上記状態や病気にならないための注意点を今回はお話ししたいと思います。
① 夏バテ・冷房病:冷房病という正式な病名はありません。
体温が低下すると交感神経刺激により、末梢血管が収縮して、身体から奪われる熱を少なくし、褐色脂肪組織の熱産生の亢進や筋肉の意識しない収縮(ふるえ)による熱の産生により体温を上昇させます。体温が上昇すると交感神経のアドレナリン性血管収縮性神経の働きが弱くなり、血管が拡張して体温を放出しようとし、さらに交感神経コリン作動性線維の刺激により汗をかき、体温を下げて、体温を調節しています。また、副交感神経が活性化されると末梢血管が拡張し皮膚温度が上昇し、熱の放散が増加して内部温度が低下してきます。
5℃以上の急激な温度変化にはすぐに対処できないため、この温度変化が繰り返されると自律神経失調症のような状態になり、頭痛や肩こり、疲労感といった症状も出てきます。
対策としては、扇風機を利用して、室内の温度を下げ過ぎないで、空気の流れを作り、自分の身体の周りの空気の温度を上げないようにすることです。
また、熱い状態が続くと、冷たい飲み物が欲しくなります。喉は一瞬しか冷えないので、ついついガブ飲みしがちになります。冷たいものを摂り過ぎた結果胃腸が冷えすぎてしまい、食欲低下、体力低下、夏バテとなってしまいがちです。
対策としては、一杯目は氷の入った冷たいものをとっても、二杯目からは、やや温度を上げ、室温に近いものを摂るようにしましょう。最近コンビニでも、冷やしすぎないお水を販売するところが増えてきました。ぜひ利用してください。
どうしても冷たいものがという人は、小さな氷を少しずつ口に入れ、氷でのどを冷やすようにしましょう。
② 夏風邪:夏風邪は治りにくいといわれています。
(ア) 熱があることが悪いと思ったり、熱くてつらいので、冷たいものを摂ったり、薄着をしたり、冷房をかけすぎて身体を冷やし過ぎてしまう。
(イ) 冷たいものを摂り過ぎて、胃腸の調子が悪くなり、栄養補給が悪化する。
(ウ) 夏バテの上に風邪をひいているので、体力が低下しているので治りにくい。
(エ) 寝苦しいために、睡眠不足になりがち。
上記の因子がお互いに影響し合って、治りにくくしています。
対応策は、夏風邪の対応策を間違えないことです。
夏風邪の原因は、いろいろな種類のウイルスです。痛んだノドや気道、消化管の粘膜から二次的に侵入してくる最近に対しては、抗生剤は効きますが、ウイルスには効果がありません。
インフルエンザやヘルペスウイルスなどの一部のウイルスには、増殖を抑える効果がある薬剤がありますが、ほとんどのウイルスには、治療薬がありません。
ウイルスや細菌に対して抗体をつくるのも、これらの病原体を退治するのも白血球の働きです。白血球の働きやすい環境を整えるのが、風邪の際の対応策ということになります。
白血球が、ウイルスや菌をやっつける際には39度の温度にしたほうが対応しやすいので、風邪をひいた際には熱が出るのです。インフルエンザのように、増殖力が強いウイルス感染の場合には、体中の筋肉を使って熱を上げて対応しているのです。この時の熱を出しなさいという指令を出すサイトカインの影響で、節々の痛みや、寒気、震えを感じるのです。熱が悪いのではなく、感染が起きてその対応のために熱が必要なので体温が上がっているのです。したがって、寒さを感じているときは、寒さを感じなくなるまで、厚着をして、場合によっては、ホッカイロや電気毛布も使って寒気を感じない状況にしたほうが良いのです。足が冷えやすい人だけでなく、風邪をひいた際には靴下をはくこともお薦めです。
当然、解熱剤や一般の風の市販薬は、戦うために作り出した熱を強引に下げてしまうので、避けるべきです。
どうしても動かなければいけない状況にある人は、短時間解熱剤で下げるのは仕方ありませんが、「熱が下がっていること=風邪が良くなっている」という状況ではないことを理解してください。必要最小限の対応をしてから、しっかり体を休めましょう。
熱い状況が苦手な人は、オデコや後頭部をアイスノンや熱さまシートで冷やすのは構いませんが、首を冷やすのは避けてください。多くの場合ノドが戦いの主戦場なので、ここを冷やすことは避けてください。逆に、首が冷えないように、首にタオルを巻くか、ネックウォーマーをすることはお薦めです。
状態がある程度落ち着いてくると、過剰な熱は必要ないと判断して汗をかくように指令が出ますが、まだ戦いが不利な場所もあり、その場所においては温度が下がることは望ましくなく、場合によっては、風邪をぶり返すことにもなります。汗をかいてきたらマメに汗を拭き、汗で体が冷え込まないようにしましょう。汗でパジャマが冷えてしまわないように、熱が出そうなときには、布団の横に新しい下着とパジャマ2セットぐらい置いておいて、ぐっしょり感が出たらすぐに着替えられるようにしておきましょう。水分補給はまめにしましょう。カフェインの入っていない暖かいものがおすすめですが、苦手な方は、せめて室温程度にして、冷たいものは避けましょう。
『風邪をひいた時には、ノドのアルコール消毒が有効だ』といわれる方もたまにいますが、逆効果です。風邪を治さない、原因の一つですし、悪化する危険もあります。完全に治りきるまでは禁酒しましょう。
コンピューターでも使い続けると不具合が出てきます。一定期間電源を落とす必要があります。人の身体も、寝ているときに、身体の状態を整えているのです。風邪をひいているときには、もっと時間が必要になるので、いつもの睡眠よりも1~2時間は多く寝るようにしましょう。睡眠できなくても、眼をつむって横になっているだけでも、回復力に差が出てきます。
③ 熱中症・熱射病
体温が上がっているときの対応が、上記の風邪の場合と真逆なのが、熱中症・熱射病の場合です。これらの場合は、身体が病原体に対抗するために熱を上げている状況ではなく、身体から熱を外に出せない環境にいることにより、体温が上昇しているので、逆に体の中心温度を下げる必要があるのです。
熱中症での死亡者数は近年急増しており、65歳以上の高齢者の占める割合は、男性で3割、女性で5割以上になっています。

(日本医師会雑誌第141巻・第2号『熱中症』の図表を転載)

暑いさなか、運動したり仕事をしたりしていて、汗をかいて場面で熱中症になるだけでなく、家の中にいて、何もしていなくても熱中症になることが少なくないのです。男性の場合には65歳以上で、住居での熱中症発症が増えておりますが、女性の場合には、ほとんどの年代において、住居において熱中症になっていることがわかります。

(日本医師会雑誌第141巻・第2号『熱中症』の図表を転載)

ここで基本的なことについてまとめておきましょう。熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病、熱中症と、いろいろな呼び方があります。2015年に日本救急医学会が新たに『熱中症診療ガイドライン2015』
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf
を作成しました。
今まで、上記のようにいろいろな呼び方がなされていた諸症状や病態を『熱中症』のそれぞれの段階の状態としてとらえたもので、『暑熱暴露あるいは身体運動による体熱産生の増加を契機として、高体温を伴った全身の諸症状(Heat illnessあるいはHeat disorders)が引き起こされたもの』、としました。
この病態を3段階に分類して、症状からその際の対応の仕方をまとめたのが下の表になります。

定義にあるように、熱が過剰に作られている状況が病気の原因なので、汗をかかなくても熱中症になることがある点に注意してください。余分に作られた熱を外に放出するために汗をかいています。したがって、熱中症の予備段階において、汗を拭く行為は、汗の機能を妨げ、熱中症になりやすい環境をつくることになるのです。つまり、熱中症予防の考え方としては、汗は拭いてはいけないのです。団扇やセンスであおいで汗を蒸発させ、気化熱として過剰な体温を捨てていく必要があるのです。
汗をかきにくい人では、化粧水などを入れる携帯用のスプレー容器に水を入れて置き、熱がこもってきた感じがしてきたり、熱いところにある程度の時間いた場合には、頭や首、顔にスプレーをこまめにかけ、気化熱で表面温度を下げましょう。
蒸し暑い環境では、汗をかいても蒸発し辛いので、それほど気温が高くなくても、熱中症になる危険度が上昇します。
米国でよく利用されている、ヒートインデックスを下に挙げておきます。
表の中の数字が27~32では要注意で通常過激な運動をしないように、32~41では脱水症状の危険があり、41~54では差し迫った熱中症の危険があり、54以上は生命の危険があるとされています。環境温度(気温)が26度で湿度が50%を超えた場合には注意が必要だと考えてください。

湿度が高い時には、風通しを良くしたり、扇風機やエアコンを使って、汗が蒸発しやすいようにしたり、身体を冷やす工夫をしましょう。首にぬれたタオルを巻いて、温度を下げることも有効です。

汗をかいた分の水分補給と塩分補給も大切です。
緑茶、コーヒー、ウーロン茶、紅茶などはカフェインが入っており、場合によっては利尿作用(尿として水分を排泄する作用)が強くなることがあり、かえって脱水が悪化します。アルコールはもってのほかで、脱水時には飲まないでください。
高血圧がない人であれば、スポーツドリンクがおすすめです。激し運動や、普段あまり汗をかかない人が多量に汗をかいた場合には、塩分が多いOS-1がおすすめとなります。
高血圧の人でも、血圧が高くなければ上記もので水分補給は良いのですが、血圧が高い時には、水で半分に薄めた状態で摂取することをお勧めします。
糖尿病の人は、血糖値の上昇に注意が必要です。スポーツドリンクには、糖分がそれなりの量が含まれており、脱水で血が濃くなり、血糖値も上昇している場合が多いので、糖質を含んでいない水分を補わないと、危ないことも少なくありません。基本的にはミネラルウォーターや麦茶、そば茶などがおすすめです。カフェインレスの十六茶、爽健美茶も問題ありません。それに加えて梅干をかじってもらうのが良いでしょう。

④ 食中毒:下痢・嘔吐
嘔吐・下痢を認めて受診される患者さんは、年間を通して見られますが、季節によってその原因が異なっています。冬場は、ノロウイルスやロタウイルスというウイルス性の胃腸炎が圧倒的に多いが、5月頃から食中毒といわれる病態の細菌性胃腸炎が増加してくる。

病因物質別患者数の月別発生状況(平成25年~26年)
食中毒の原因病原体別に年次推移を見てみると下記の表のように、ノロウイルスを除く病原菌としては、カンピロバクターが圧倒的に多く、次いでサルモネラ菌、ブドウ球菌、ウエルシュ菌、大腸菌などとなる。

資料2平成26年食中毒発生状況


細菌性食中毒は、感染型、毒素型に分けられる。
細菌感染型食中毒:細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こる食中毒でサルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などがある。
最近を摂取することにより発生するので、加熱、環境消毒、手洗いが重要。

細菌性毒素型食中毒:食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで起こる食中毒で、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがある。毒素を摂取することにより起こるので、早期の加熱殺菌、低保存などにより食物上で細菌の増殖・毒素の産生を防ぐことが重要。

(横浜市衛生研究所のデータを基に作成)
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/

食品以外にも、飲み物からも食中毒になる危険性があるので注意してください。
というのも、ペットボトルを飲む際に口をつけて飲むと、口の中の菌が少なからず、ペットボトルの中に移動してしまいます。菌が育つための栄養素である糖質が含まれている、ジュースやスポーツドリンクなどの飲み物の場合には、時間とともに菌が増殖してしまいます。特に暖かい環境では、ものすごいスピードで増え数百万個にもなることもあります。時間がたった菌の増殖した飲み物を飲んで、下痢をしてしまう場合も少なくありません。甘みのある飲み物は一時間以内に飲み干すようにしましょう。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2014年12月 8日 月曜日

高尿酸血症 痛風発作

エジプトから発掘されたミイラの関節に尿酸塩が発見されており、紀元前から痛風はあったと考えられています。王侯貴族で痛風に悩まされた人は数多く、アレクサンダー大王、フランスのルイ14世、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲーテー、ニュートンなど数多くの人が、悩まされ続けた病気です。肉食恐竜であるティラノサウルスの化石も尿酸塩で障害を受けた跡があったという話もあります。
しかし、日本人の歴史に顔を出したのは、明治以降といわれています。ポルトガルの宣教師のルイス・フロイスや明治の初めに日本に医学を広めたドイツ医師ベルツも『日本には痛風がない』と記録しています。その後の明治時代から、痛風の記載がみられるようになり、1960年代になってから急増し、平成23年の厚生労働省の統計によると、推計患者数は11万4千人、予備軍である高尿酸血症はその約50~60倍と考えられています。

風があたっても激烈に痛い痛風発作は、負担がかかりやすく、冷えやすい部位に起こりやすく、足の親指の付け根、くるぶし、アキレス腱、足の甲、足関節、膝、肘、手首、手の指などが、好発部位です。
お酒を飲みすぎたり、動きすぎたりした翌日の夜明け前から早朝に、痛みが始まり、2時間前後で関節は熱をもって赤く腫れてきて、痛みが増強してきます。
人によってはこの変化が起きる前に、なんとなく関節が重く感じたり、違和感を自覚したりする『前兆期』を感じる人もいます。特に治療しなくても7~10日で自然に良くなります。


痛風発作は尿酸値の上昇とともに、起きやすくなります。

痛風発作はどのようにして起こるか見てみましょう。
血液中に溶けている尿酸が高濃度になると、関節内で尿酸結晶となって関節膜にくっつきます。この結晶がストレス、激しい運動、暴飲暴食による尿酸値の急激な変動により剥がれて、関節の中に落ちます。トゲトゲのある結晶なので、刺激を与えるため、白血球が寄ってきてこの結晶を食べ処理する際の反応が、発作となるのです。

したがって、結晶が多くなる暴飲暴食、結晶の結合が緩くなる、薬剤による尿酸値の急激な低下や、結晶を落としやすくするストレスや激しい運動を避けることが予防になります。普段の歩き方で、一番負担をかけているところに発作が起きやすく、多くの人が利き足の親指の付け根に発作が起きています。後ろ足に重心をかける歩き方をして、つま先で地面をけらないようにすると、発作が起こる頻度が減ります。

https://243sageru.com/toranomaki/first/index.html
尿酸という物質は、6.0mg/dL以上になるとに溶けないため、結晶化しやすくなります。血液は流れているので、かき混ぜて強引に溶かしている状況なので6.0を超えた濃度になりますが、関節の中は、液体が流れていないので、6.0 mg/dL以上になると尿酸結晶が増えていきます。

尿酸はプリン体というものが体で代謝されてできるものなので、プリンタ意を多く含むものを沢山取れば、血液の尿酸値が上がって危険な状態となります。
『ビールを含むアルコールが悪い』、『ビールに含まれる尿酸値はそれほど高くないので、ビールのつまみが悪い』といろいろと世間では言われています。
確かに、お酒のつまみとして食べるもののうち、プリン体を多く含む肉、内臓もの、魚(特に干し魚)などの食べ物を多く食べることは危険です。

http://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
アルコールも多く飲むと発作が出やすくなるので、プリンタ意が少ないアルコールを飲む方が良いでしょう。
http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/73.html
疲れているときや、寒い時などは、いつもよりもトイレが近くなることがあると思います。この時は気をつけてください。トイレが近いということは、血液の水分量が減るので、普段よりも、尿酸の値が上昇しやすくなるし、酔いやすくなっています。トイレが近い時は、アルコールの量を控えましょう。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 2012年追補ダイジェスト版
http://www.tukaku.jp/wp-content/uploads/2013/06/tufu-GL2.pdf

 




http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2013/03/20130318_1

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2013年2月12日 火曜日

減塩 効果的な指導 高血圧対策

胡瓜(きゅうり)もみを作られたことありますか?胡瓜を薄くスライスして、塩分(しお)を2gほど振りかけて、軽くもみ、15分ぐらい放置します。その後で絞ってみましょう。なんと水分が50-60mlほど搾り出せます。
つまり、細胞の外に塩分があると、細胞から水を引き出す力が強く、その引き出された水分が血管の中に移動すると考えてください。水分量が増えても血管は拡張して、血圧が上がらないように対応します。何とか拡張して血圧を上げないように保っている場合には、ストレス時や血圧を上げるホルモンが分泌された状況において血管が収縮した時に、通常の場合に比べて、より血圧が上昇することがわかっていただけると思います。(血管の中にある水分量が多いので圧の上昇が大きい。)医者の前では・病院では、緊張して血圧が上がるけれど、普段はこんなに血圧が高くない(白衣高血圧)、といわれる方もいますが、このような白衣高血圧といわれている人でも、長期間観ていると、1/3の人で血圧の治療が必要になってくるとの報告があります。それは、先ほど説明した状態の人たちと考えられます。また、同じ血圧値の人でも、塩分を多く取っている人に、血管の病気が多いとの報告もあり、塩分が多い人は何とか血圧が上がらないように保っていて、ストレス時には、かなりの血圧上昇があり、その上がった血圧が病気を引き起こしていると考えられます。塩分の摂取量が少なければ、この緊張下における血圧の上昇を引き起こす余分な(血管内の)水分の貯留が少なくなるので、緊張した時の血圧の上昇が少なくなる可能性があります。(当然緊張が強すぎれば、血圧はかなり上がってきます。)
それでは、どうすれば塩分(しお)の摂取量を減らせるのでしょうか?
濃い味が好きだ・塩っ辛いものが好きだと言われる方は、非常に多いのですが、本当に濃い味や塩っ辛いものがすきなのでしょうか?
例えば、大き目の刺身を食べているときを想像して下さい。刺身の表と裏に醤油をたっぷりつけて、噛み砕かないうちに飲み込んでいませんか?流し込んでいる部分は味わっていないので、その分を小分けにしてみましょう。大体1/3から1/4ぐらいの大きさになると思います。この小さな刺身が、一切れ一万円だった場合を考えてみてください。(すでにお金は払ってしまったもの・またはプレゼントされたものと考えてください。)さすがに、一万円の小さな一切れの刺身であれば、多くの人が醤油をつけずに、つけたとしても、ほんの少し醤油をつけて食べられるのではないでしょうか?つまり高い料理の場合には、普段とは食べ方を変えて、醤油や香辛料などをあまり・ほとんど使わずに、食材の味を味わって、食べると思います。食べ方を変えておいしく食べようとするということは、現在の食べ方は、味わって食べているとは言えないのではないでしょうか?つまり、食材の味を楽しんでいるのではなく、醤油や塩・香辛料の味を楽しんでいるのではないでしょうか?食材の味を楽しむような食べ方をしましょう。(ここで、実験をしていただきたいのです。先ほど話したように小さくきったお刺身を、醤油をたっぷりつけて、じっくり味わいながら、噛み続けてください。その後も同じように繰り返してください。のどが渇いても水を飲んだり、ほかのものも食べたりしないで、醤油の濃い味が、じっくり味わうとどういう状態になるかを実感してください。)
それでは何故、今まで塩っ辛いものが好きだと思っていたのでしょうか?濃い味のものや塩っ辛いものを食べている時の食べ方を想像して下さい。食べている時間がもったいないと考えることから、早く食べるようになり、一度にたくさん取り、良く噛まずに飲み込んで食べる食べ方になったように思われます。口の中に食べ物を多く入れても、唾液の分泌量はほとんど増えません。そうなると、噛んでいてもパサツイテいて、飲み込むか流し込んでしまいます。早く飲み込んでしまうと、舌と食べ物の接触時間が短く、唾液での消化もなく、薄い味だと味を感じるまもなく、食べ物が舌やのどを通り過ぎていきます。そこで、塩・醤油・唐辛子・胡椒などの香辛料の味に頼ることになるのです。今度は逆に、濃い味のものを食べた後に、薄い味のものを食べたときのことを考えてください。ほとんど味がわかりませんよね。つまり、この状況においては、味覚のセンサーの感度は振り切れている状態で、ほとんどが痛覚刺激と考えてよい状態です。痛いので、長時間口の中に置いておけないので、早く流し込んでしまい、舌と食べものの接触時間がより短くなり、味が良くわからずに、香辛料や塩・醤油をたくさん使う、といった悪循環に陥っているのです。
味わって食べるために、良く噛んで食べればいいのでしょうか?30回噛みましょう、ということを良く聞かれると思いますが、これはなかなか実行が困難です。というのは、飲み込むタイミングは、意識しないと、今までつちかわれた飲み込むタイミングで(噛む回数が少ないうちに)流し込むように、食べてしまいます。つまり、口に入れる量にかかわらず、ある一定の回数噛むと、飲み込むように、口からのどにかけての動きがセットされているからです。数を数えるなどの強制的な意識をもってこないと、気が付いたらすでに口の中にないといった状態になってしまうのです。『数』を数えれば確かに噛む回数は増えるのですが、数を数える方に意識がいくので、味を楽しむことが出来ず、美味しくないのです。これでは長期間にわたって続けていくことが困難です。それでは如何すれば良いのでしょうか?
一回に口に運ぶ量を減らすのです。つまり、一回口の中に入れる量を1/4にするだけで、自動的に4倍噛んだことになります。(また、一見4倍食べれるように思え、得した気分になりませんか?)ただ4倍噛んだだけでなく、つぶれた食べ物の中に唾液が入っていき、消化が進むと、消化酵素で消化された別の味も楽しむことが出来ます。おコメをじっくり噛んでいるとおいしくなることを経験されていますよね。アレです。最近味が変わるまで、おコメを噛んでいますか?一粒で二度美味しい食べ方が出来るのです。
また、高い料金を設定するだけで、ゆっくり味わって食べようと思われませんか?例えば、お茶碗一杯のご飯が一万円するときのことを考えてみてください。少しずつ口に入れ、唾液で消化され、味が変わるまで、良く噛んで、味わって食べる自分が見えてきませんか。"ゆっくり食べなければいけない"はストレスですが、高いものだと、"ゆっくり味わって食べよう"として時間がたち、口の中で消化が行われ、より美味しく食べられ、胃の負担も減り、少ない量で満腹感も出てくるので、食べ過ぎが予防できます。ここでも実験していただきたいのですが、いつも通りの量を口に入れ、何回噛めば味が良くなるかをまず確かめてください。次にいつもの1/4の量をいれ、今度は何回噛めば味が変わるかを確かめてください。
満腹感は、食べた量で出てくるのではなく、血糖値があがってくるまでの15-20分は、出てこないのです。(血糖が高すぎる糖尿病の人では、血糖の上昇率が相対的に低くなるため、満腹感が出にくいと考えられます。)
また、口に食べ物を入れたら、お箸を離しましょう。箸を持っていると、ついつい次の食べ物を取ってしまい、食べ物を取ったために口の中のものを自動的に飲み込むことになってしまいます。視点を換えて、味覚情報の処理の観点から、考えて見ましょう。口に入れてすぐ次の食べ物を取るためには、口に食べ物を入れた時点で、すでにほかの食べ物を、選んでいる必要があります。ということは、数種類の食べ物を見て、それらの食べ物の味覚情報を大脳に広げて、どれを食べようか取捨選択しており、その状況下において、口に入った食べ物の味覚情報が大脳に伝えられてきます。この時点で、複数の味覚情報があるのですが、どの情報が優先されるのでしょうか?どれを食べようかと選んでいるのですから、選ばれている食べ物の情報のほうが食べている食べ物の情報よりも優先されます。
音を聞いている時に、気になる音があると、意識的にその音に神経を集中させるので、その気になる音よりも大きな音でさえ、意識に上がってこなくなりますよね。人間の脳は、注目している情報を、クローズアップして、他の情報の感度が悪くなるように、自動的に処理をします。
従って、食べている時に他の食べ物を見ていると、舌の味覚の感度は低下します。素材の味を楽しんでおいしく食べるためには、食べているものを見て、舌の味と、目で楽しむ味覚を一致させるほうが良いのです。懐石料理みたいに一つ一つ食べ物が出てくる場合には、匂い(嗅覚)までも一致しているのです。だから、よりおいしく感じられるのです。
まとめますと、塩分が多くなるのは、一度に多く口に運び、噛まずに飲み込むようにして食べているからであり、塩分が少なくてすむようにするには、一回に口に運ぶ量をへらし、そのものの料金を高い値段に設定して、味わって食べないと損だと思い込み、すぐに次の料理を取らないよう、手からお箸を離して、食べているものを観て、口の中全体で食べているものの味を・食材の味を楽しもうとする食べ方をすることが、醤油や塩分・香辛料に頼らない理想的な食べ方です。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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