病気の豆知識

2017年10月12日 木曜日

くしゃみ

くしゃみ:嚔 Sneeze:一回ないし数回の痙攣上の吸気をおこなった後に強い呼気をする動作で、不随意運動である生理現象であり、制御することができない反射です。

くしゃみの機能は、体温を挙げる機能と吸い込んだ異物を体外に排出する機能とされています。
くしゃみの際には、目を瞑ってしまい、ほぼ上半身全体の筋肉を激しく運動させる反射で、口腔内の唾液を吸い込んでしまい、続けて咳き込む場合もありますし、激しい筋肉収縮に伴い、肋骨骨折や、腰痛の悪化、ぎっくり腰になることもあります。


くしゃみにより排出される呼気及び飛ばす唾の飛沫は、その人の体格、肺活量、筋力により差を認めますが1~3m程度と言われており、1回のくしゃみで飛沫は10万個程度発生すると言われています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%BF

その速さは、気管内では秒速300mで移動していると言われ、口から出るときには時速320kmという数字を出している研究者もいます。
http://mtislet.com/chie/human/kusyami.html

この飛沫をまき散らすことにより、周囲の人に風邪やインフルエンザを広める危険性があります。
とっさにっくしゃみが出そうになった時に手で口を覆うこともあると思いますが、指の間から飛沫物は飛んでいきますし、手についた飛沫物は、そのあとすぐに手を洗えばよいのですが、シッカリ手洗いをしないと触ったところに病原体をばらまくことになります。


近年、咳エチケットとして色々なところで見るポスター画像として、肘の曲がる方を口に着ける方法が推奨されています。


この方法だと、くしゃみで出る飛沫は前には飛ばず、肘の内側にほとんどが付着し、一部が上下に飛びますが、直線方向の勢いが弱くなるため、他の人への悪影響は手で覆うよりはかなり減少します。
しかし、とっさにこの行動をとることは困難ですので、普段から練習をしておく必要があることと、肘の内側が汚れてしまうことが難点です。

https://pixta.jp/tags/%E5%92%B3%E3%82%A8%E3%83%81%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

くしゃみの衝撃を弱める方法
くしゃみの衝撃を弱める方法として、ビビットでは住吉小学校前接骨院の田中俊和先生は口を覆った手の日々を反対の手で押さえるようにして、上半身に力を入れて、くしゃみ動作による体への衝撃を和らげる方法を紹介されていました。

自分が推奨するクシャミの衝撃を和らげる方法
くしゃみをする直前に肺の中にある空気の量が多いほど、吐きだす空気が多く、勢いよく飛沫が飛び、全身の筋肉の収縮力が強くなり、クシャミの衝撃は強くなります。したがって、くしゃみをしそうになった時に、できるだけ肺の中の空気量を減らせばよいので、くしゃみの前兆で息を吸い始めた時に、強引に息を吐くようにしてみましょう。そうすると、小さいクシャミになります。そういった動作がやりにくい人は、くしゃみをしそうになった時に、両膝を抱え込むように座り込んでみて下さい。肺の中の空気がかなり排出されるので、くしゃみの衝撃がかなり緩和できるはずです。また、くしゃみをするときに特定の言葉を出すことによっても少し衝撃が緩和されるようです。

くしゃみの際に発する言葉は、多様であり、ほとんどの擬声語が「ア」音で始まります。 英語では「ahchoo! アチュー」。フランス語では「atchoum!」。日本語は例外的で(「h」音が入り)「ハクション」が一般的ですが、時に変わった音を聞くことがあります。
変わったくしゃみの言葉として、「くっさめ」、「くしゃみ」などがあります。こう言った言葉を発することにより、不随意的に筋肉が収縮する中に意識(随意)的に筋肉を動かすことになり、筋肉の収縮の強さを弱める働きがあり、肋骨骨折や腰痛の出現・悪化を無意識に予防していると考えることもできます。

温度差アレルギー
温度差があるとくしゃみや鼻水が出てくることは温度差アレルギーとして表現されることが多いのですが、一般的なアレルギー反応とは異なり、鼻汁中にはアレルギー反応で増加する好酸球の増加はみられず、血管の過敏性が関与している血管運動性鼻炎が病態と考えられています。
千葉大学の長谷川先生は、温度が急激に下がった際に、鼻粘膜が収縮し鼻腔容積が増加するのが一般的であるのに対し、血管運動性鼻炎症例においては、鼻粘膜血管平滑筋弛緩が認められ鼻腔容積の減少がみられ、鼻汁分泌の亢進が認められ、鼻粘膜を支配する副交感神経中枢の反射的興奮=鼻粘膜副交感神経系の中枢から鼻粘膜に至る遠心路の過敏性が起こっていると発表されています。
http://ci.nii.ac.jp/els/contents110004648467.pdf?id=ART0007371008
また、異物を吸い込んだ際の排出についても、化学的刺激物の場合には、吸気の後突然にくしゃみをして息を吐き出すため、異物を吐き出す行為といえます。
しかし、しばしば起こるくしゃみは、数回の少量の速い感覚の吸気の後に吐き出すタイプのくしゃみでは、外気を数回吸い込んでおり、異物を吐き出すことが直接の目的とは言えず、鼻粘膜の急激な腫脹に伴い、鼻粘膜の敏感性の亢進、鼻汁の分泌によりくしゃみが起きているような気がします。

クシャミを題材にしたことわざで『一そしり、二笑い、三惚れ、四風邪』というものがあり、ほかにも、『一にほめられ、二に憎まれ、三に惚れられ、四に風邪をひく』、『一に褒められ、二にふられ、三に惚れられ、四に風邪』などがあり、くしゃみが繰り返し起こる状態は、鼻の粘膜の腫れがひどく、ウイルス感染がベースにある状態が反映されていると思われます。

くしゃみをした人にかける言葉(まじない):
くしゃみをすること自体は、健康上だけでなく、あまりよいことではないという風に考えられており、くしゃみをした人に対して、周りの人がいろいろな言葉を投げかける習慣が世界中で見られます。
スペイン語圏: "¡Salud!" (健康)(この習慣はカトリック教会を中心として教皇グレゴリウス1世 (540年 - 604年) の時代に広まった)、2 回くしゃみをすると "Salud y dinero" (健康とお金)、3 回くしゃみをすると"Salud, dinero y amor" (健康とお金と愛)と言います。
フランス語: "À tes [vos] souhaits ! ア・テ・スエ(ア・ヴォ・スエ)" (願いが叶うように)、2 回くしゃみをすると "À tes [vos] amours ! ア・テ・ザムール" (恋愛が上手く行くように)、"Dieu te [vous] bénisse ! デュー・トゥ(ヴ)・ベニス" ("Que dieu te [vous] bénisse ! ク・デュー・トゥ(ヴ)・ベニス") (神の御加護がありますように)、"Dieu te [vous] assiste !"(同前)などと言います。
イタリア語: "Salute! サルーテ" (健康)と言います。
英語圏:ほぼ反射的に "Bless you ブレス・ユー" (「God Bless you」の略で、「神の祝福あれ」)と言います。
ドイツ語圏:反射的に "Gesundheit ガズントハイト" (健康)と言います。
トルコ語: "Çok yaşa チョク・ヤシャ" (長生きして下さい)と声かけられ、この言葉をかけられた側は"Sen de görün セン・デ・ギョリュン"「あなたも(私が長生きするのを)見て下さい」と返答する事が一般的です。
英語圏においてはくしゃみをすると魂まで抜け出るという迷信がかつてあり、魂が抜け出た後に悪魔がまがい物の魂などで悪さをしないように周りの人間が祝福を祈ることで悪魔を退けようとしたのが始まりのようです。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年7月10日 月曜日

肩こり ストレートネック

肩こりは、日本人の多くが悩まされている病気の1つです。特に女性に多くみられ、平成25年の国民生活基礎調査によると、8人に1人に肩こりの症状があるとされています(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/04.pdf)。
 「肩こり」について、夏目漱石は小説「門」の中で、「頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように凝っていた」と表現しています。それ以前は、「肩が張る」「打ち肩」と表現されることが多かったようです。かなり以前から、日本人は肩こりに悩まされていたようですね。
 「外国人は肩がこらない」と聞かれたことがあるかも知れませんが、実際に肩がこらないのではなく、「肩こり」という表現の仕方やモノのとらえ方 (概念)がないのです。英語で「肩こり」を翻訳ソフトで調べてみるとStiff Shoulder(硬い肩)となりますが、実際にこの表現でうまく伝わる ことは少なく、Stiff Neck(硬い頸)、Stiff Back(硬い背中)と言うと問題なく伝わります。
 そうはいっても、肩の症状を訴える頻度は圧倒的に日本人の方が多いようです。厚生労働省の調査では、生活のなかで不快に感じている症状のなかで、肩こりは、男性が腰痛に次いで2番目、女性はトップです。

五十肩といわれるような肩関節周囲炎や頸椎症などのように原因がある場合もあれば、いろいろと調べてみても、原因がわからない肩こりもあります。
 肩こりを悪くする要因としては、精神的ストレス、姿勢の悪さ、運動不足、寝不足、過労、眼精疲労などがあげられています。
 それにしても、なぜ日本人に肩こりが多いのでしょうか。
 畳に直接座る文化から猫背が多いことのほか、欧米人に比べ、筋肉量が少ないこと、なで肩の人が多いことなども影響していると考えられます。
 頭の重さは結構あるので、前かがみになると首から肩への負担がかなり増えます。
ある程度の筋肉量があると、首が比較的まっすぐになるので、前かがみの程度が少なくて済むことと、同じ重量を支える際に個々の筋肉の細胞にかかる 負担分が少ないことも肩こりが少ないことと関係しています。逆に首から肩にかけての筋肉量が少ないと、肩こりが生じやすいといえます。
 なで肩の人は、指先の位置がイカリ肩の人よりも下に位置していることになり、その分、腕と手の重みが肩にかかっていると考えられます。なで肩の人は、両肩の位置を高めにする姿勢を意識すると肩こりの予防になるでしょう。

イラスト kasimo

 高血圧がその原因と考えられていた時期もありましたが、低血圧の方にも肩こりは多くいます。現在では、同じ姿勢を取り続けること、眼精疲労、運動不足(筋力低下)、ストレスが原因として挙げられています。
 今は特に、街中でも良くみられる、スマホをやっている時の姿勢が、この肩こりを作り、増やし、悪化させていることは間違いありません。
 頭はかなり重量があり、前傾姿勢では、肩から首の後ろ側の部分にある筋肉(僧帽筋、板状筋、半棘筋や後頭筋群)で引っ張る形になり、長時間その姿勢を杖受けると、これらの筋肉が凝ってきて、硬く収縮したままになります。

 酷くなると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が出てきますし、長時間これらの筋肉が硬直していると首の骨の状態が変化してストレートネックになってしまいます。
凝り固まった筋肉を、圧迫やマッサージでほぐしたり、湿布などを張ることにより症状は改善しますが、何よりも予防が第一です。
 頭を背骨の真上に来るように姿勢を矯正することで、この負担がかなり軽くなります。
 そこで、下のイラストにある「脇締め体操」をお勧めしています。30分に1回ぐらい一瞬でもよいのでこの姿勢を取っていただくことで、この首から肩にかけての負担が軽減します。
 両手を後ろに回し、反対の手の肘を持って、脇を締めるようにして、両方の肩甲骨を寄せるようにしましょう(この際、おなかを引っ込めると、お腹のダイエットにも役に立ちます。

イラスト kasimo
 身体が硬くて、手が後ろに回りにくい人や、肩の関節が痛くなる人は、手を背中側に回して、脇に物を挟む感じで、脇を締めるだけでよいです。その際には、肩を開いて胸を張ること、顎を少し引き気味にすることを忘れないでください。
 また、寝るときに、首を圧迫して寝ると気持ちよいため、高い枕になりがちなのですが、高い枕だと、首の周りの筋肉を引っ張ってしまうことになり、寝ている間の筋肉の緊張が取れにくくなるため、肩こりの改善にならず、肩こりが持続する原因の一つにもなります。
 寝返りを打つつもりで体を横向きにする際に、スムーズに体が動かせる枕の高さに調節してみてください(高すぎたり、低すぎたりした際には、寝返りを打つ際に反動を使います)。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年3月23日 木曜日

花粉症対策

花粉症
歴史:19世紀初めごろイギリスで牧草を刈り取り、乾燥させるためのサイロに運び込むときに、鼻からノドにかけて焼けつくような痛みとかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙が止まらなくなり、熱っぽくなる症状が一部の農民に認めらました。
イギリスの学者ボストークが枯草熱(こそうねつ:Hay Fever)として初めて医学的に報告し、イギリスの学者ブラックレーが「枯草熱がイネ科植物の花粉に起因している」ことを明らかにしてから、花粉症と呼ばれるようになりました。
日本においては、1961年にブタクサの報告があり、1964年にはスギ花粉症21例の報告がなされ、その後次々と様々な花粉症が報告されるようになりました。

機序:
花粉が鼻や目の粘膜に付着し、花粉から遊離した蛋白や糖蛋白質が人の免疫担当細胞により異物と認識されて、抗原特異的な抗体が産生(免疫記憶)されます。その抗体が肥満細胞の表面に配置された後に、抗原が結合して、肥満細胞内にあるヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどのケミカルメディエーターが肥満細胞から放出され症状が出ます。症状は、くしゃみ、鼻水、鼻閉といった主にヒスタミンの作用による即時相反応と6~8時間後に再度生じる好酸球などの炎症性細胞によって引き起こされる鼻閉の遅発相反応があります。
くしゃみで抗原を吹き飛ばし、鼻水や涙で洗い流し、鼻づまりで中に入れないための生体防御の反応なのですが、過剰に反応するために、多くの人を悩ますことになっています。

対応策:
花粉を身体につけない:大きめのメガネをかけ、隙間ができにくいマスクをする。
ポレノン、イオンブロック
ポレノンはジャムなどに含まれているベタベタした粘度の高い多糖類で、花粉をどんどん吸着して集めることにより症状を出にくくします。鮭の白子から抽出されたマイナス荷電を帯びた核酸DNAがプラスの花粉を集めます。


https://bodytrouble.jp/pollenallergy/airmask-pollenon-review/

イオンブロックは、プラスイオンポリマーでプラスイオンの花粉を反発し、陰イオンを吸着して吸入を抑えます。酸化チタンが吸着したアレル物質の活動を抑えるそうです。


http://www.fumakilla.co.jp/products/athome/kafun/-160-2.html

家の中に入れない:
外出時には、花粉が付きにくい生地の服を着るようにしましょう。帰宅時に玄関ドアから少し離れたところで服や鞄をはたき、髪の毛を払い花粉を落としましょう。コートなどは玄関に置き、リビングに持ち込まないようにしましょう。空気清浄器も玄関に設置したほうが、花粉の持ち込みのブロック効果は高くなります。
可能であれば、帰宅後すぐにシャワーを阿部いて花粉を落としたいものですね。
家の中に持ち込んでしまった花粉は蓄積されてしまうので、掃除が大切になりますが、細かい花粉は掃除の際に舞い上がり、ゆっくち落ちてくるので、掃除機で吸いきれないことも多く、花粉の飛散の少ない早朝や深夜に窓を開けて、換気し室外に吹き飛ばすことができるとよいでしょう。寒い時期はヒトの移動が少ない15時から16時に換気するのがおすすめです。

https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2_chpt2.pdf

鼻閉対策
寝ているときに鼻詰まりがあると、口呼吸となり、喉が乾燥して痛みます。
マスクをして寝ることをお勧めします。マスクが息苦しい方や、寝ている間にマスクが外れてしまう方は、幅広のネックウォーマーがおすすめです。寝ているときに鼻まで覆えるとかなり口やノドの乾燥が防げます。

https://wowma.jp/item/178288677

しかし鼻づまりがあると寝苦しいので、その対策ですが、点鼻薬もありますが、血管を収縮させるタイプの薬だと長期使いことにより、鼻の粘膜の腫れがひどくなることが多々あり、長期使用はあまりお勧めではありません。

鼻閉に効果があるツボがあります。

睛明(せいめい):鼻の付け根の両わき
迎香(げいこう):小鼻の左右のふくらみのわき

外鼻(がいび)耳の穴の手前にある小さなふくらみの中央、顔寄り。
内鼻(ないび)外鼻の裏側のやや下。
腎上腺(じんじょうせん):外鼻の斜め下。
内分泌(ないぶんぴ):耳の穴の下の切れ込みの内側
http://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/tsubo/201402.html

効果はヒトによりいろいろだと思いますがぜひ試してみてください。
川村式鼻閉対策
自分はツボについてはあまり詳しくありませんが、自分の鼻閉を取るために以下の方法を良く使っています。鼻が個体や液体で詰まっているのではなく、鼻粘膜の腫脹(はれ)で詰まっているときには、ほとんどの場合即効性で効果があります。
小鼻の少し上の横の部分で、圧迫するとすごく痛い場所が見つかるはずです。少しずつずらしながらどこが痛いかを探してください。痛い場所が見つかったらそこを痛みが強くなる程度の強さで押しながら鼻で息をしようと努力してください。数回の呼吸で鼻の通りがよくなってきます。ぜひ試してみてください。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2016年6月27日 月曜日

夏場の健康管理の注意点

今年は何時梅雨入りするかはっきりしませんが、うっとうしい梅雨の時期からうだるような夏の時期にかけて、体調を崩される方が少なくありません。
この時期によくみられる病気や状態には、以下のものが多くみられます。
① 夏バテ・冷房病
② 夏風邪
③ 熱中症・熱射病
④ 食中毒:下痢・嘔吐

上記状態や病気にならないための注意点を今回はお話ししたいと思います。
① 夏バテ・冷房病:冷房病という正式な病名はありません。
体温が低下すると交感神経刺激により、末梢血管が収縮して、身体から奪われる熱を少なくし、褐色脂肪組織の熱産生の亢進や筋肉の意識しない収縮(ふるえ)による熱の産生により体温を上昇させます。体温が上昇すると交感神経のアドレナリン性血管収縮性神経の働きが弱くなり、血管が拡張して体温を放出しようとし、さらに交感神経コリン作動性線維の刺激により汗をかき、体温を下げて、体温を調節しています。また、副交感神経が活性化されると末梢血管が拡張し皮膚温度が上昇し、熱の放散が増加して内部温度が低下してきます。
5℃以上の急激な温度変化にはすぐに対処できないため、この温度変化が繰り返されると自律神経失調症のような状態になり、頭痛や肩こり、疲労感といった症状も出てきます。
対策としては、扇風機を利用して、室内の温度を下げ過ぎないで、空気の流れを作り、自分の身体の周りの空気の温度を上げないようにすることです。
また、熱い状態が続くと、冷たい飲み物が欲しくなります。喉は一瞬しか冷えないので、ついついガブ飲みしがちになります。冷たいものを摂り過ぎた結果胃腸が冷えすぎてしまい、食欲低下、体力低下、夏バテとなってしまいがちです。
対策としては、一杯目は氷の入った冷たいものをとっても、二杯目からは、やや温度を上げ、室温に近いものを摂るようにしましょう。最近コンビニでも、冷やしすぎないお水を販売するところが増えてきました。ぜひ利用してください。
どうしても冷たいものがという人は、小さな氷を少しずつ口に入れ、氷でのどを冷やすようにしましょう。
② 夏風邪:夏風邪は治りにくいといわれています。
(ア) 熱があることが悪いと思ったり、熱くてつらいので、冷たいものを摂ったり、薄着をしたり、冷房をかけすぎて身体を冷やし過ぎてしまう。
(イ) 冷たいものを摂り過ぎて、胃腸の調子が悪くなり、栄養補給が悪化する。
(ウ) 夏バテの上に風邪をひいているので、体力が低下しているので治りにくい。
(エ) 寝苦しいために、睡眠不足になりがち。
上記の因子がお互いに影響し合って、治りにくくしています。
対応策は、夏風邪の対応策を間違えないことです。
夏風邪の原因は、いろいろな種類のウイルスです。痛んだノドや気道、消化管の粘膜から二次的に侵入してくる最近に対しては、抗生剤は効きますが、ウイルスには効果がありません。
インフルエンザやヘルペスウイルスなどの一部のウイルスには、増殖を抑える効果がある薬剤がありますが、ほとんどのウイルスには、治療薬がありません。
ウイルスや細菌に対して抗体をつくるのも、これらの病原体を退治するのも白血球の働きです。白血球の働きやすい環境を整えるのが、風邪の際の対応策ということになります。
白血球が、ウイルスや菌をやっつける際には39度の温度にしたほうが対応しやすいので、風邪をひいた際には熱が出るのです。インフルエンザのように、増殖力が強いウイルス感染の場合には、体中の筋肉を使って熱を上げて対応しているのです。この時の熱を出しなさいという指令を出すサイトカインの影響で、節々の痛みや、寒気、震えを感じるのです。熱が悪いのではなく、感染が起きてその対応のために熱が必要なので体温が上がっているのです。したがって、寒さを感じているときは、寒さを感じなくなるまで、厚着をして、場合によっては、ホッカイロや電気毛布も使って寒気を感じない状況にしたほうが良いのです。足が冷えやすい人だけでなく、風邪をひいた際には靴下をはくこともお薦めです。
当然、解熱剤や一般の風の市販薬は、戦うために作り出した熱を強引に下げてしまうので、避けるべきです。
どうしても動かなければいけない状況にある人は、短時間解熱剤で下げるのは仕方ありませんが、「熱が下がっていること=風邪が良くなっている」という状況ではないことを理解してください。必要最小限の対応をしてから、しっかり体を休めましょう。
熱い状況が苦手な人は、オデコや後頭部をアイスノンや熱さまシートで冷やすのは構いませんが、首を冷やすのは避けてください。多くの場合ノドが戦いの主戦場なので、ここを冷やすことは避けてください。逆に、首が冷えないように、首にタオルを巻くか、ネックウォーマーをすることはお薦めです。
状態がある程度落ち着いてくると、過剰な熱は必要ないと判断して汗をかくように指令が出ますが、まだ戦いが不利な場所もあり、その場所においては温度が下がることは望ましくなく、場合によっては、風邪をぶり返すことにもなります。汗をかいてきたらマメに汗を拭き、汗で体が冷え込まないようにしましょう。汗でパジャマが冷えてしまわないように、熱が出そうなときには、布団の横に新しい下着とパジャマ2セットぐらい置いておいて、ぐっしょり感が出たらすぐに着替えられるようにしておきましょう。水分補給はまめにしましょう。カフェインの入っていない暖かいものがおすすめですが、苦手な方は、せめて室温程度にして、冷たいものは避けましょう。
『風邪をひいた時には、ノドのアルコール消毒が有効だ』といわれる方もたまにいますが、逆効果です。風邪を治さない、原因の一つですし、悪化する危険もあります。完全に治りきるまでは禁酒しましょう。
コンピューターでも使い続けると不具合が出てきます。一定期間電源を落とす必要があります。人の身体も、寝ているときに、身体の状態を整えているのです。風邪をひいているときには、もっと時間が必要になるので、いつもの睡眠よりも1~2時間は多く寝るようにしましょう。睡眠できなくても、眼をつむって横になっているだけでも、回復力に差が出てきます。
③ 熱中症・熱射病
体温が上がっているときの対応が、上記の風邪の場合と真逆なのが、熱中症・熱射病の場合です。これらの場合は、身体が病原体に対抗するために熱を上げている状況ではなく、身体から熱を外に出せない環境にいることにより、体温が上昇しているので、逆に体の中心温度を下げる必要があるのです。
熱中症での死亡者数は近年急増しており、65歳以上の高齢者の占める割合は、男性で3割、女性で5割以上になっています。

(日本医師会雑誌第141巻・第2号『熱中症』の図表を転載)

暑いさなか、運動したり仕事をしたりしていて、汗をかいて場面で熱中症になるだけでなく、家の中にいて、何もしていなくても熱中症になることが少なくないのです。男性の場合には65歳以上で、住居での熱中症発症が増えておりますが、女性の場合には、ほとんどの年代において、住居において熱中症になっていることがわかります。

(日本医師会雑誌第141巻・第2号『熱中症』の図表を転載)

ここで基本的なことについてまとめておきましょう。熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病、熱中症と、いろいろな呼び方があります。2015年に日本救急医学会が新たに『熱中症診療ガイドライン2015』
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf
を作成しました。
今まで、上記のようにいろいろな呼び方がなされていた諸症状や病態を『熱中症』のそれぞれの段階の状態としてとらえたもので、『暑熱暴露あるいは身体運動による体熱産生の増加を契機として、高体温を伴った全身の諸症状(Heat illnessあるいはHeat disorders)が引き起こされたもの』、としました。
この病態を3段階に分類して、症状からその際の対応の仕方をまとめたのが下の表になります。

定義にあるように、熱が過剰に作られている状況が病気の原因なので、汗をかかなくても熱中症になることがある点に注意してください。余分に作られた熱を外に放出するために汗をかいています。したがって、熱中症の予備段階において、汗を拭く行為は、汗の機能を妨げ、熱中症になりやすい環境をつくることになるのです。つまり、熱中症予防の考え方としては、汗は拭いてはいけないのです。団扇やセンスであおいで汗を蒸発させ、気化熱として過剰な体温を捨てていく必要があるのです。
汗をかきにくい人では、化粧水などを入れる携帯用のスプレー容器に水を入れて置き、熱がこもってきた感じがしてきたり、熱いところにある程度の時間いた場合には、頭や首、顔にスプレーをこまめにかけ、気化熱で表面温度を下げましょう。
蒸し暑い環境では、汗をかいても蒸発し辛いので、それほど気温が高くなくても、熱中症になる危険度が上昇します。
米国でよく利用されている、ヒートインデックスを下に挙げておきます。
表の中の数字が27~32では要注意で通常過激な運動をしないように、32~41では脱水症状の危険があり、41~54では差し迫った熱中症の危険があり、54以上は生命の危険があるとされています。環境温度(気温)が26度で湿度が50%を超えた場合には注意が必要だと考えてください。

湿度が高い時には、風通しを良くしたり、扇風機やエアコンを使って、汗が蒸発しやすいようにしたり、身体を冷やす工夫をしましょう。首にぬれたタオルを巻いて、温度を下げることも有効です。

汗をかいた分の水分補給と塩分補給も大切です。
緑茶、コーヒー、ウーロン茶、紅茶などはカフェインが入っており、場合によっては利尿作用(尿として水分を排泄する作用)が強くなることがあり、かえって脱水が悪化します。アルコールはもってのほかで、脱水時には飲まないでください。
高血圧がない人であれば、スポーツドリンクがおすすめです。激し運動や、普段あまり汗をかかない人が多量に汗をかいた場合には、塩分が多いOS-1がおすすめとなります。
高血圧の人でも、血圧が高くなければ上記もので水分補給は良いのですが、血圧が高い時には、水で半分に薄めた状態で摂取することをお勧めします。
糖尿病の人は、血糖値の上昇に注意が必要です。スポーツドリンクには、糖分がそれなりの量が含まれており、脱水で血が濃くなり、血糖値も上昇している場合が多いので、糖質を含んでいない水分を補わないと、危ないことも少なくありません。基本的にはミネラルウォーターや麦茶、そば茶などがおすすめです。カフェインレスの十六茶、爽健美茶も問題ありません。それに加えて梅干をかじってもらうのが良いでしょう。

④ 食中毒:下痢・嘔吐
嘔吐・下痢を認めて受診される患者さんは、年間を通して見られますが、季節によってその原因が異なっています。冬場は、ノロウイルスやロタウイルスというウイルス性の胃腸炎が圧倒的に多いが、5月頃から食中毒といわれる病態の細菌性胃腸炎が増加してくる。

病因物質別患者数の月別発生状況(平成25年~26年)
食中毒の原因病原体別に年次推移を見てみると下記の表のように、ノロウイルスを除く病原菌としては、カンピロバクターが圧倒的に多く、次いでサルモネラ菌、ブドウ球菌、ウエルシュ菌、大腸菌などとなる。

資料2平成26年食中毒発生状況


細菌性食中毒は、感染型、毒素型に分けられる。
細菌感染型食中毒:細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こる食中毒でサルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などがある。
最近を摂取することにより発生するので、加熱、環境消毒、手洗いが重要。

細菌性毒素型食中毒:食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで起こる食中毒で、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがある。毒素を摂取することにより起こるので、早期の加熱殺菌、低保存などにより食物上で細菌の増殖・毒素の産生を防ぐことが重要。

(横浜市衛生研究所のデータを基に作成)
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/

食品以外にも、飲み物からも食中毒になる危険性があるので注意してください。
というのも、ペットボトルを飲む際に口をつけて飲むと、口の中の菌が少なからず、ペットボトルの中に移動してしまいます。菌が育つための栄養素である糖質が含まれている、ジュースやスポーツドリンクなどの飲み物の場合には、時間とともに菌が増殖してしまいます。特に暖かい環境では、ものすごいスピードで増え数百万個にもなることもあります。時間がたった菌の増殖した飲み物を飲んで、下痢をしてしまう場合も少なくありません。甘みのある飲み物は一時間以内に飲み干すようにしましょう。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2014年12月 8日 月曜日

高尿酸血症 痛風発作

エジプトから発掘されたミイラの関節に尿酸塩が発見されており、紀元前から痛風はあったと考えられています。王侯貴族で痛風に悩まされた人は数多く、アレクサンダー大王、フランスのルイ14世、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲーテー、ニュートンなど数多くの人が、悩まされ続けた病気です。肉食恐竜であるティラノサウルスの化石も尿酸塩で障害を受けた跡があったという話もあります。
しかし、日本人の歴史に顔を出したのは、明治以降といわれています。ポルトガルの宣教師のルイス・フロイスや明治の初めに日本に医学を広めたドイツ医師ベルツも『日本には痛風がない』と記録しています。その後の明治時代から、痛風の記載がみられるようになり、1960年代になってから急増し、平成23年の厚生労働省の統計によると、推計患者数は11万4千人、予備軍である高尿酸血症はその約50~60倍と考えられています。

風があたっても激烈に痛い痛風発作は、負担がかかりやすく、冷えやすい部位に起こりやすく、足の親指の付け根、くるぶし、アキレス腱、足の甲、足関節、膝、肘、手首、手の指などが、好発部位です。
お酒を飲みすぎたり、動きすぎたりした翌日の夜明け前から早朝に、痛みが始まり、2時間前後で関節は熱をもって赤く腫れてきて、痛みが増強してきます。
人によってはこの変化が起きる前に、なんとなく関節が重く感じたり、違和感を自覚したりする『前兆期』を感じる人もいます。特に治療しなくても7~10日で自然に良くなります。


痛風発作は尿酸値の上昇とともに、起きやすくなります。

痛風発作はどのようにして起こるか見てみましょう。
血液中に溶けている尿酸が高濃度になると、関節内で尿酸結晶となって関節膜にくっつきます。この結晶がストレス、激しい運動、暴飲暴食による尿酸値の急激な変動により剥がれて、関節の中に落ちます。トゲトゲのある結晶なので、刺激を与えるため、白血球が寄ってきてこの結晶を食べ処理する際の反応が、発作となるのです。

したがって、結晶が多くなる暴飲暴食、結晶の結合が緩くなる、薬剤による尿酸値の急激な低下や、結晶を落としやすくするストレスや激しい運動を避けることが予防になります。普段の歩き方で、一番負担をかけているところに発作が起きやすく、多くの人が利き足の親指の付け根に発作が起きています。後ろ足に重心をかける歩き方をして、つま先で地面をけらないようにすると、発作が起こる頻度が減ります。

https://243sageru.com/toranomaki/first/index.html
尿酸という物質は、6.0mg/dL以上になるとに溶けないため、結晶化しやすくなります。血液は流れているので、かき混ぜて強引に溶かしている状況なので6.0を超えた濃度になりますが、関節の中は、液体が流れていないので、6.0 mg/dL以上になると尿酸結晶が増えていきます。

尿酸はプリン体というものが体で代謝されてできるものなので、プリンタ意を多く含むものを沢山取れば、血液の尿酸値が上がって危険な状態となります。
『ビールを含むアルコールが悪い』、『ビールに含まれる尿酸値はそれほど高くないので、ビールのつまみが悪い』といろいろと世間では言われています。
確かに、お酒のつまみとして食べるもののうち、プリン体を多く含む肉、内臓もの、魚(特に干し魚)などの食べ物を多く食べることは危険です。

http://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
アルコールも多く飲むと発作が出やすくなるので、プリンタ意が少ないアルコールを飲む方が良いでしょう。
http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/73.html
疲れているときや、寒い時などは、いつもよりもトイレが近くなることがあると思います。この時は気をつけてください。トイレが近いということは、血液の水分量が減るので、普段よりも、尿酸の値が上昇しやすくなるし、酔いやすくなっています。トイレが近い時は、アルコールの量を控えましょう。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 2012年追補ダイジェスト版
http://www.tukaku.jp/wp-content/uploads/2013/06/tufu-GL2.pdf

 




http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2013/03/20130318_1

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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