その他

2018年8月 6日 月曜日

2018年8月2日 
演題「口臭臨床の実際 ~口臭の診断、治療、予防について~」
演者:東京医科歯科大学 大学院健康推進歯学分野 教授 川口陽子 先生
場所:神奈川県保険医協会
内容及び補足「
はじめに:近年、口臭測定機器が開発されたことで、口臭研究は著しく進歩し、口臭の90%以上は口腔内の疾患・異常が原因で発生することが明らかになった。
東京医科歯科大学歯学部付属病院では、「息さわやか外来」において年間約500~700名の口臭患者の治療を行っている。口臭で悩んでいる人は多いが、歯科医師、歯科衛生士が適切に対応することで口臭は改善し、患者の不安は軽減する。
2003年2月に口臭の診断、治療、予防を行う専門外来として開設された。


「息さわやか外来」受診患者の年齢分布(男性762名、女性1419名)
一般的に大学病院の受診者は、女性が多く約二倍の数であるので、他の下の受診状況と変わらないと考える。


口臭に関する悩みがあるも人の割合
40-59の年齢の人に多いが、実際に口臭測定を行った際の異常としては、80歳代では30%に口臭が認められており、口臭があっても気にしないか、ヒトとの接触の機会が少ないので問題視していないため、受診者数が少ないのだと考えている。


口臭:Bad breath
「呼吸や会話時に口から出てくる息」が「第三者にとって不快に感じられるもの」
嗅覚は主観的なもので、同じ人間が同じ臭いを嗅いでも、体調や精神状態によって、受け止め方が異なる場合がある。また同じ臭いを長時間嗅いでいると、その臭いに慣れてしまう順応反応がある。

口臭の存在は、社会生活をしていくうえで一番重要な人間同士のコミュニケーション障害となる。口臭があれば、相手に不快感を与え、恥ずかしい思いをする。口臭があることで心理的に負担を感じ、行動が消極的になり、良好な人間関係を築くことができなくなる可能性がある。
口臭がものすごく強い人:Dragon breath、Dragon mouth

日本における口臭治療の問題点
1. 医科・歯科境界域の疾患→医師・歯科医師の連携
2. 以前は口臭の卒前教育がなかった→歯科医師の知識不足
3. 保険診療の算定項目なし→歯科医師の関心の低さ
4. 高価な口臭測定機器→機器購入に消極的
5. 原因疾患以外に口臭発生→健康人にも口臭はある
6. さまざまな民間療法の氾濫→治療効果のEBM?
7. 口臭で悩む人は多い→相談・受診先が不明

口臭の原因物質
揮発性硫黄化合物(硫化物) Volatile Sulfur Compounds(VSCs)
H2S 硫化水素:卵の腐ったようなにおい
CH3SH メチルメルカプタン:血生臭い、魚や野菜の腐ったようなにおい
(CH3)2S ジメチルサルファイド(硫化ジメチル):生ごみのようなにおい

揮発性硫化物(VSCs)の生成機序


硫化水素の毒性

http://www.amita-oshiete.jp/qa/entry/014888.php

その他の口臭成分の臭いの特徴
・揮発性窒素化合物
  アンモニア   し尿のようなにおい
  トリメチルアミン  腐った魚のようなにおい
  インドール  大便のようなにおい
  スカトール  おならや大便のようなにおい
・低級脂肪酸
  イソ吉草酸  むれた足や靴下のようなにおい
  酪酸   バターや乳の腐ったようなにおい
  プロピオン酸  刺激的な酸っぱい臭い
  カプロン酸  汗臭いようなにおい
・揮発性有機物
  アセトン  ツンとする甘ぐさい臭い
  アセトアルデヒド ツンとする酸っぱい臭い

口臭の日内変動
・生理的口臭は誰にでもある
・1日のうちで強くなる時と弱くなる時がある。
・口臭があっても、嗅覚認知閾値以下であればよい。
・口臭がいつ強くなるかをチェックすることが必要。
・口臭患者の治療経過を見る場合、測定時間に注意する必要がある。




口臭測定のための条件=起床時口臭を再現することが必要
・検査当日
1. 飲食の禁止
2. 歯口清掃の禁止
3. 禁煙(12時間前より)
4. 洗口の禁止
5. 口中清涼剤、ガム等の禁止
・前日以前
6. 香料入り化粧品使用の禁止(24時間前より)
7. ニンニクなどの摂取禁止(48時間前より)
8. 抗生剤などの投与禁止(3週間前より)

基準嗅覚検査
T&Tオルファクトメーター(第一薬品株式会社)
A:β-フェニルエチルアルコール、B:メチルシクロペンテノロン、C:イソ吉草酸、D:γ-ウンデカラクトン、E:スカトールの臭いをかいで嗅覚障害の程度を判断する
においの表現:A バラの花の匂い、軽くて甘い匂い、B 焦げた臭い、カラメルのにおい、C 腐敗臭、古靴下のにおい、汗臭い臭い、納豆のにおい、D 桃の缶詰、甘くて重いにおい、E 糞臭、野菜くずのにおい、口臭、いやなにおい

http://j-ichiyaku.com/t-t/#t-t-about


嗅覚障害の程度
正常:正常ににおうと思う
軽度:臭いが弱い
中等度:強いにおいはわかる
高度:ほとんどにおわない
脱失:まったくにおわない

口臭の検査法
1. 官能検査(術者の嗅覚による検査)
2. ガスクロマトグラフィーによる精密検査
3. ガスセンサー口臭測定器による検査
・オーラルクロマ(エフアイエス株式会社)
・ブレストロン(株式会社ヨシダ)
・ハリメーター(株式会社タイヨウ)

口臭官能検査:二種類の息を検査して臭いの質と強さを判定
1. お口の空気(口気)の検査:チューブをくわえて『はっ』と短く息を出す。
2. 肺の空気(呼気)の検査:チューブをくわえて『ふぅー』と長く息を出す。


官能検査の判定基準
0:臭いなし 嗅覚閾値以上の臭いを感知しない。ヒトの鼻では全くにおいを感知しない。
1:非常に軽度 嗅覚閾値以上の臭いを感知するが、悪臭と認識できない。ヒトの臭いを感知するが、悪臭とは認識できない。
2:軽度 かろうじて悪臭と認知できる。
3:中等度 悪臭と容易に判定できる
4:強度 我慢できる強い悪臭
5:非常に強度 我慢できない強烈な悪臭

ガスクロマトグラフィーによる口臭検査
装置が大きく、使用法が簡便でなく、高価である。
口臭の主成分である揮発性硫黄化合物(VSC)の特異的な濃度測定
嗅覚認知閾値
・硫化水素 H2S     1.5ng/10mL
・メチルメルカプタン CH3SH  0.5ng/10mL
・ジメチルサルファイド (CH3)2S  0.2ng/10mL
総VSC     2.2ng/10mL



官能検査スコアとVSC値との関係
相関係数 R=0.513(p<0.01)
下図のように官能検査の方が鋭敏である。


オーラルクロマ(エフアイエス株式会社)も揮発性化合物である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドを測定できる。



http://www.fisinc.co.jp/common/pdf/pamphlet(chm_2)1302.pdf

ブレストロン(ヨシダ)
VSCを半導体ガスセンサーにより測定
歯磨き剤や洗口剤に含まれているアルコールや香料にも反応する場合がある。
足底時間:30~45秒、口気を自動吸引、データが印刷される。

https://www.yoshida-dental.co.jp/products/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%E2%85%A1/

このブレストロンの測定値とガスクロマトグラフィーの測定値との相関はH2Sではr=0.73と高いが、CH3SHではr=0.63、(CH3)2Sではr=0.55とやや低くなる。


ガスセンサー口臭測定器:ハリメーター
お口のにおい成分(VSC)の測定、30秒間×3回お口のにおいを自動的に測定、歯磨き剤、洗口剤、アルコールなどの影響がある。

岩医大歯誌 30:235-243,2005
http://www.imu-dent-aa.com/kishi.pdf



口臭の種類は以下のように大きく分けて三種類ある。

http://www.kirishi.com/pamphlet/kousyu/kousyu1.htm

口臭の分類



治療の必要性


生理的口臭:
人間は生活している、以上いつも無臭というわけではない。毎日いろいろな食べ物が口の中を通過し、その一部は食べかすとして口の中に残り、最近によって分解され、においの元となる。起床直後に、口の中がネバネバして不快に感じるのは、夜寝ている間、唾液の分泌が減り、細菌が増殖して、口の中が汚れてしまったからである。また、空腹時や疲労時にも、口臭レベルが高まることがあるが、これは正常な反応である。緊張して口が渇いた時に感じる口臭、女性における生理時の口臭、加齢による老人性口臭も、生理的口臭である。

水分摂取によるVSCの変化
水分摂取によって、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化ジメチルともに有意差は認めないが逆に数値は増加している。


朝食摂取によるVSCの変化
朝食摂取により、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化ジメチルともに感度閾値以下になる。


食事や口腔清掃によって口臭が低下するが、その理由として以下のものが考えられている。
・口腔内の口臭発生原因菌の数が大きく減少する
・食事や口腔清掃の刺激により唾液量が増加する
・飲食することで口腔内のpHの低下

生理的口臭産生の環境は以下のように考えられている。
部位:主に舌背後方2/3
至適pH:中性からアルカリ性 酸性化では唾液ペプチドの酵素活性が億世されて、口臭は産生されない
口臭産生の基質(材料):舌苔中の脱落上皮細胞、血球、細菌

口臭の日内変動:
口臭は1日の中でも強さが変化し、日内変動がみられる。
起床直後が1日のうちで最も口臭が高く、食事や歯磨きによって低下する。同じような口腔保健状況の高齢者を4群に分けて9時、11時、14時、16時と時間を変えて、官能検査およびオーラルクロマで攻守検査を行った結果を見ると、11時が最も高く、14時の群が最も低い値を示した。一方、VSCの結果はガスにより異なる結果で、硫化水素のみ変化があった。硫化水素は舌苔付着と強く関連しているので、食事や口腔清掃などの影響を受けやすく、日内変動を引き起こす主原因となっていることを示している。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1741-2358.2011.00593.x

飲食物による口臭
ネギ、ニラ、ニンニクなどを食べた後の口臭は、口の中に残った食べカスが直接の原因である場合と食品が体内で消化されて、その放臭物質が血液中に移行し、肺におけるガス交換時に二酸化炭素とともに排出されて、息がにおう場合の両方が考えられる。

嗜好品による口臭
アルコールも体内で吸収され、肺から揮発性のアルコール成分が排出されるため、酔っぱらいの吐く息は臭くなる。ヘビースモーカーの口のニオイは、主にタールやニコチンである。

病的な口臭
90%以上は口腔疾患によるものであるが、10%程度は全身疾患による口臭である。


歯周病由来の口臭の特徴
1. 生理的口臭と同じく、舌苔が口臭発生の中心で口臭の約60%を産生、歯周病においても、歯周ポケットが口臭発生の中心ではない
2. メチルメルカプタンが硫化水素より多い
3. 口臭強度は歯周病重症度に比例
4. メチルメルカプタン/硫化水素比は歯周病重症度に比例

全身由来の口臭成分とその原因


口臭の発生機序の組織像
図5 糸状乳頭の角化上皮(E)は、エオジンに濃染している。
図6 糸状乳頭の角化上皮を拡大して観察すると、屋根瓦状に積層した角化上皮(E)とそれらの角化上皮間にヘマトキシリンに濃染する顆粒状構造物(細菌など)(→)が随所に観察される。

図17 細菌(B)が剥離角化上皮付近に認められる領域でも、その細菌が散在性に分布している場合には、角化上皮(E)は比較的正常な形態を示している。
図18 細菌が剥離角化上皮(E)の周囲に密に集積している領域では、角化上皮の電子密度は部分的に低くなっている。また、それらの細菌に接する角化上皮表面は、最近によって浸食され、陥凹が生じている。また、この部の細菌(B)は電子密度も高く、分裂隔壁(→)を有するものが多数認められる。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/koubyou1952/73/1/73_1_26/_pdf/-char/ja


心因性の口臭:
診察しても、特に医学的異常所見がなく、公衆の測定を行っても口臭レベルが高くない人。
口腔清掃状態は良好で、う蝕や歯周病はなく、全身状態も健康で、特に治療の必要はないが、本人は「どこかに原因があって、口臭がある」と考えている。口臭の存在を言葉で指摘されなくても、相手の態度、物腰、様子などから自分に口臭があると思い込み、対人恐怖や社会的不適応を生じている場合もある。

実際の患者の言葉:
私が生きていることは罪悪です。
口臭は生まれた時からありました。
家族には、私が口臭治療に通っていることは内緒です。
私が死んだら、解剖して原因を究明してください。
なぜ、こんな病気に罹ってしまったんだろう。
生きていくのがつらく、自殺してしまいたい。

仮性口臭症:
仮性口臭症とは、「患者は口臭を訴えるが、社会的容認限度を超える口臭は認められず、検査結果などの説明(カウンセリング)により、訴えの改善が期待できるもの」である。したがって、初診時に仮性口臭症ではないかと疑診はできるが、歯科治療やカウンセリングを実施していき、その結果、患者の訴えや症状が快方に向かった時、すなわち治療終了時に確定診断が下されることになる。仮性口臭症の場合診断と治療は同時進行で行われる。

仮性口臭症と口臭恐怖症の鑑別
・人間への関心の有無
・病識の有無
・日常生活での異常行動
・課題実施能力
・治療意欲の有無
・人間関係

カウンセリング:
カウンセリングの中では患者だけでなく、人間関係に関する情報(家族、友人、同僚など)を得ることも大切である。医師によるカウンセリングよりも身近な理解者の支援があることの方が患者にとっては励みにとなる。
周囲に理解者がいなかったり、口臭で悩み治療を受けていることを家族に打ち明けていない患者もいる。そのような場合、歯科医師だけでなく、歯科衛生士、歯科助手、受付等のスタッフの協力も必要である。患者は口臭があると思っているために話し合える相手が少なく、孤独感を感じている場合が多いので、「気にならない」ことを示すために、スタッフが診療室内で明るく患者に声をかけてあげるとよい。

注意事項:
・口臭に気付いたきっかけとその時の状況
・その後の口臭への本人の対応
・過去の医者の対応への不満
患者の訴えをまともに取り上げてくれない
「気のせいだ、神経質すぎる」と言われる
精神病扱いされた
・日記、生活リズム調査を毎日記入させる
医療者の情報収集、自己洞察のため

口臭患者への心理的配慮
・診察室の中で、口臭について患者に質問したり、説明する場合、他の患者やスタッフに聞こえるような大きな声では話さない。
・患者と対応する際に、マスクをしたままで話しかけたり、何気なく手を鼻の近くに持っていくような態度はとらない。
・患者は周囲の人の言動に対して極めて敏感になっているので、「自分の臭いのために先生はそのような態度を取るのでは?」と鮪行くし、十分に思いを話してくれない。

「息さわやか外来」における口臭診療
1. 口臭に関する質問票調査・医療面接
2. 口臭測定検査(機器及び官能検査)
3. 口腔内診査(歯・歯周組織・舌・唾液)
4. 診断・説明
5. 治療
6. 予後管理・予防

外来診療の流れ:


「息さわやか外来」受診患者の診断名(2108名)
生理的口臭が14%、病的口臭が70%であり、真性口臭が約85%であった。
病的口臭で、歯科と医科の両方での治療が必要であったものが10%あった。

年齢別にみると、仮性口臭や、口臭恐怖症の症例数はさほど変化しないが、口腔の病的口臭は30歳代から増加し、50歳代でピークとなっている。


口臭症分類別のVSC濃度


質問票を利用した口臭患者への対応:
面接の中で質問票の結果をもとに、まず各項目について術者が一つ一つ確認していき、不明な点があればさらに詳しく聴取する。
そして口臭があることでどのように悩んでいるのか、日常生活で何に困っているのかを、術者は具体的に把握し、患者に確かめる資料とする。

息さわやか外来で使用している口臭に関する質問票


口臭に気付いたきっかけ 2018名
人に言われたことが多いが、次いで多いのが人の態度であり、この多くが仮性口臭症や口臭恐怖症の人が該当する可能性が多い回答項目である。


口臭に関する治療経験(2018名、複数回答可)


口臭を強く感じるのは何時ですか(2018名、複数回答可)
起床直後や空腹時が多いが、一日中も多く、これも仮性口臭症や口臭恐怖症の人が該当する可能性が多い回答項目である。


口臭を意識するとき 2018名
人との対話中や相手の態度が多い


口臭による障害 (2018名、複数回答可)


口臭を減らすための対応(2018名、複数回答可)


患者が考えている口臭の原因(2018名、複数回答可)


治療の順序
病態によって、優先されるべき治療が異なることが示されている。
歯肉炎の患者において、先に歯周病の治療をした群G1と先に舌清掃をした群G2で比較してみると、官能検査においても、硫化水素においても、メチルメルカプタンいずれにおいてもG2群の方において改善が良かった。歯肉炎の患者の場合には舌清掃の治療を優先して、治療を行う方が良いといえる。

歯周炎の患者においては逆に、官能検査においても、硫化水素においても、メチルメルカプタンいずれにおいてもG1群の方において改善が良かった。歯肉炎の患者の場合には歯周病の治療を優先して、治療を行う方が良いといえる。


参: 
歯周病:細菌感染によって引き起こされる炎症性疾患。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が不十分な際、細菌が停滞し、繁殖することにより歯肉辺縁が赤く腫れ炎症を起こす。

口の中には300~500種類の細菌が存在しており、歯磨きが不十分であったり、砂糖を過剰に摂取すると、これらの細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面に付着する。これを歯垢(プラーク)といい、粘着性が強い為、ウガイをしても落ちない。
歯垢1㎎中には10億個の細菌がいるといわれており、虫歯や歯周病を引き起こす。

歯垢はそのうち硬くなり、歯石といわれる物質に変化し、歯の表面に強固に付着し、ブラッシングだけでは取り除くことができなくなり、ここに細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けることになる。

歯周病を進行させる因子:
1. 歯ぎしり、くいしばり、かみしめ
2. 不適合な冠や義歯
3. 不規則な食習慣
4. 喫煙
5. ストレス
6. 全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
7. 薬の長期服用

歯周病の進行過程:
健康な歯肉
薄いピンク色の歯肉。
歯と歯の間に歯肉が入り込んで弾力がある。
歯肉が引き締まっている。
ブラッシングでは出血しない。

歯肉炎
赤色の歯肉。
歯と歯の間の歯肉が丸みを帯び膨らんでいる。
ブラッシングで出血する。
腫れた歯と歯肉との間に歯垢が溜まり悪化する。

歯周炎
赤紫色歯肉。
歯と接している歯肉が更に腫れる。
ブラッシングで出血や膿がでる。
歯と歯の間が広がり、食べ物もよく詰まる。
歯肉が退縮して歯が長く見える。
歯周ポケットが深くなり骨(歯槽骨)が溶ける。


歯周病の治療法の基本
1. 正しい歯ブラシの方法で毎日実行すること=歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておくこと
2. 歯肉の中まで入っている歯石を完全に取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去すること
3. 傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近い歯肉にすること
4. 健康の保持のため歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受けること
http://www.jacp.net/perio/about/

舌苔ができるメカニズム:まだ完全には解明されていない
1. 人は頻繁に唾液を飲み込む。その際に舌背を必ず通過する
2. 唾液中には粘膜から脱落した上皮細胞が存在する
3. 細菌によって脱落した上皮細胞の破壊が進む
4. 上皮細胞の破壊が進むと比重が増加し沈殿しやすくなる
5. 舌背には舌乳頭が多く、重くなった細胞は容易に舌乳頭に沈着する
 
細菌により破壊された上皮細胞は比重が増加し容易に舌乳頭に捉えられる
http://www.4618.tv/kousyu/furredtongue.html


舌ブラシによる舌苔の除去

舌ブラシ型 ワイヤー植毛:カワモト フレッシュメイト K ソフト
http://www.4618.tv/kousyu/furredtongue.html

手鏡で下を観察し、白~淡黄色の舌苔が厚く付着している場合には、下の清掃も必要になる。上記のような舌ブラシや柔らかい歯ブラシをして舌苔を除去しよう。舌苔が一番溜まる起床時に行うことが効果的。

34歳男性で1回の舌ブラシによる清掃でVSCは下記のように変化した。


症例:6歳男児 小さい時から口臭があり、特に寝息がくさく、同じ部屋で母親は添い寝ができないという。小学校入学前に治したいと長野県から親子で来院。


 
上記のように1回の舌清掃、歯の清掃で下図のように改善した。


しかし、ときに不十分な効果となる例がある。
38歳女性で舌清掃を行っても(CH3)2Sの改善効果が見られない症例がいた。
調べてみると喘息の治療薬であるIPDを飲んでおり、この代謝物が(CH3)2Sの構造となる可能性がわかり、耳鼻科主治医に連絡し、処方内容を変更してもらうと下図のように改善した。
 

舌の構造:


舌の観察:
舌苔がほとんど形成されていない場合には、通常、糸状乳頭の先端部は角化が亢進し、白色を呈しているため、各々の糸状乳頭の先端を明瞭に識別することができる(1)。しかし、舌表面に黄白色を呈する舌苔が付着すると、舌乳頭は不明瞭となり(2)、更に厚く堆積するとした表面は舌苔により滑沢な状態になる(3)。舌苔の分布状態は主として舌背の中央部から後方部にかけて付着が見られ、舌背の前方部には少なく、その厚みは薄い。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/koubyou1952/73/1/73_1_26/_pdf/-char/ja



舌苔付着量(面積)と口臭強度は関連がある。


舌苔付着量(厚さ)と口臭強度も関連がある。


舌清掃時の呕吐反射予防法:
1. 起床直後に行う
2. 歯を磨く前に行う
3. 水にぬらしただけのブラシで行う
4. 最大限に舌を突出させる
5. 呼吸を一時止めて磨く
6. ブラシが口蓋に触れないようにする
7. 食後や歯磨き後は呕吐反射が出やすい

口腔乾燥症によっても口臭は悪化する。唾液の分泌量を測定する際に安静時唾液と刺激時唾液の検査がある。当院では安静時唾液検査を行っている。


服用薬剤の調査:
口臭は唾液分泌量とは逆比例すると考えられている。
シェーグレン症候群や放射線治療などの口腔乾燥症の既往歴を聴取する
口腔乾燥症を引き起こす薬剤:鎮静剤、抗コリン剤、抗うつ剤、降圧剤、向精神薬
抗生剤は、口腔内細菌層を抑制する働きがあり、抗製剤使用中の口臭診断は、治療終了後に行う(3週間程度開ける)


口臭予防製品:
香料、殺菌剤、消臭剤などを含む洗口剤、口中清涼剤、歯磨剤、ガムなどが市販されているが、直接口臭を防止する作用は弱く、香料で臭いを隠す遮蔽効果や精神的に安心させる心理的効果の方が大きいと考えられている。
口臭抑制効果のある洗口剤やスプレーを使用しても、口臭発生の原因を除去しなければ、その効果は一時的である。

口臭抑制効果のある成分
・口臭発生細菌に対する抗菌作用
クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、エッセンシャルオイル
・揮発性硫黄化合物(VSC)の産生を抑える消臭作用
 塩化亜鉛、二酸化塩素、ハーブ、茶エキスなどの植物ポリフェノール
・嫌な臭いを覆い隠すマスキング作用
 鼻やフルーツ、ハーブなどの香料

塩化亜鉛による口臭予防機序:肺ザック、Dr. Bee hi-ZAC、口臭カットリンス、スプレー
・VSCを不揮発化:塩化亜鉛がVSCと結合して不揮発化し、臭いの発生を阻害する
・VSCの産生阻害:塩化亜鉛が含硫アミノ酸やペプチドと結合すると、細菌は含硫アミノ酸やペプチドを分解してVSCを産生できない
・細菌の働きを阻害:塩化亜鉛は、細菌の含硫アミノ酸やペプチドを分解する働き(蛋白分解酵素活性)を阻害する


二酸化塩素による口臭予防機序:ClO2Fresh、パインメディカル
・安定化二塩化塩素は硫化化合物(VSC)と反応し、S2-をSO42-に酸化する
・安定化二塩化塩素は嫌気性細菌への殺菌、増殖抑制作用がある


洗口剤で洗う際には、口の中で10回ほど、右頬と歯の間に液を移して10回ほど、左ほほと歯の間に液を移して10回ほどグチュグチュとやってもらうと効果が高い。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2018年7月24日 火曜日

帯状疱疹・単純疱疹の治療戦略 白濱 茂穂先生

2018年7月21日 
演題「帯状疱疹・単純疱疹の治療戦略」
演者:精霊見方原病院院長補佐兼皮膚科部長 白濱 茂穂先生
場所:関内新井ホール
内容及び補足「
ヘルペスウイルスは2本鎖DNAをゲノムとする大型の動物ウイスルで、現在までに様々な動物から150種類以上のウイルスが分離されている。

白木公康 先生、富山大学大学院医学薬学研究部 ウイルス学教授

哺乳類はもちろん、鳥類、両生類、爬虫類、魚類などから多種類のヘルペスウイルスが発見されており、種固有のヘルペスウイルスが存在すると推定されており、人においては、単純ヘルペスウイルス1型、2型、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトサイトメガロウイスル、Epstein-Barrウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、7、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの8種類が知られている。

本田まりこ先生(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科)

水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染は、多くの人が小児期に罹患する水痘として発症する。感染したVZVは水痘治癒後も神経節のDNAの中に潜伏感染し、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下したときに、再活性化が起こり、帯状疱疹として回帰発症する。

帯状疱疹は、痛みや違和感が皮疹に先行して現れる。その後「片側性」「帯状」といった特徴的な所見を持つ皮膚症状が出現し、激しい痛みを伴う。通常、紅斑・丘疹、水疱・膿疱、糜爛・潰瘍、痂皮を経て、三週間程度で皮膚症状は消失するが、その後も帯状疱疹後神経痛(PHN)として痛みが残ることがある。

帯状疱疹であっても、皮疹が毛嚢炎のように見えたり、単純疱疹のように見えたり、皮疹の外観のみで判断が困難な場合も少なくない。
困難な場合は水疱の内容物や糜爛・潰瘍の拭い液を用いた簡易キット:デルマクイックVZVが診断上有益である。
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ivd/PDF/730155_22900EZX00036000_A_01_01.pdf

臀部に見られる皮疹の場合、帯状疱疹が原因であることもあるが、頻回に出現する場合には単純ヘルペス(臀部ヘルペス)の可能性も考えておく必要がある。
ヘルペスの皮疹は一般的には片側性、帯状に出てくるが、脊髄でダメージを受けている場所は、その神経節のみではなく、上下に幅広くウイルスが感染していたり、炎症を起こしていることが少なくない。
皮疹もときに同時に多発性に皮疹が出現することがある。2箇所に出現する場合には複発性帯状疱疹、3か所以上であれば、多発生性帯状疱疹と呼ばれ、複発性帯状疱疹は、非部の分布パターンにより、両側性対称性、両側性非対称性、片側性の3型に分類される。

その頻度は、0~2.17%である。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/37/2/37_2_279/_pdf

ヘルペスの治療薬として
1988年にゾビラックス(アシクロビル)200㎎錠が出て1992年4月より400㎎錠が日本で発売が開始され、800㎎を1日5回経口投与が必要であった。
その後2000年10月にバルトレックス(バラシクロビル)500mgが発売され、1000㎎1日3回投与となった。
2008年7月にはファムビル250㎎が発売され、500㎎1日3回投与となった。
しかしこれらの薬剤は、全て腎排泄の薬剤であり、しかも薬理作用は、2本鎖DNAがほどけた時に転写される際に作用して、新しいヘルペスウイルスDNA合成を阻害するものである。

https://stat.ameba.jp/user_images/20170826/23/aki-prism/b0/25/j/o0500028714013848714.jpg?caw=800
つまり、ウイルスを死滅させるものではなく、1個が2個に増えるものを阻止しているものであり、投与量が多ければそれだけ早くよくなるものではない。できるだけ早期に投与して、ウイルスの増殖を抑制する薬剤である。しかも腎排泄であるから、腎機能を正確に把握していないと過剰投与となる恐れがある。

アシクロビル脳症:
アシクロビルは、血中での蛋白結合率が低く、組織・体液間の移行が良好な薬物であり、脳脊髄液中への移行も良好で、血中の約50%である。腎障害時には血中濃度や脳脊髄液中の濃度の異常高値となりアシクロビル脳症を起こすことがある。
症状としては、興奮、振戦、錯乱、幻覚、ミオクローヌスなどを呈し、重篤な場合には昏睡や死に至る。
血液透析患者においては特に注意が必要である。


透析患者以外でもアシクロビル脳症となった人がいて、血清Cr濃度は0.75mg/dLであった。eGFR=57.7であり、投与量は1回1000㎎を8時間ごとの状態であるが、Coclcroft-Gault式のクレアチニンクリアランスは31ml/min(表では34)となり、1回1000㎎を12時間ごとの投与量となる。
特に高齢者の痩せられた症例では、eGFRでクレアチニンクリアランス値を推定して投与すると過剰投与となる。

https://www.maruho.co.jp/medical/famvir/pdf/seminars/hzt01.pdf

87歳の女性でバラシクロビルが1000mg×2回/日で6日間投与された。治療に対する反応が思わしくないと判断され紹介受診。4か月前の血清クレアチニン濃度は0.69mg/dL、受診時問診では尿量の減少はなく、悪心・呕気もなく、いったん帰宅としたが、紹介もとの最後の血液データで血清クレアチニン濃度が4.23mg/dLに上昇していることが判明し、急きょ腎臓内科絵照会入院となった。クレアチニンクリアランスを計算すると29.9ml/minであり、適性投与量は1000㎎×1/日にまで減量すべきであった。
入院後の尿沈渣に、バラシクロビルの活性態であるアシクロビルの針状の結晶が細長く重合したと考えられる紐状の尿沈渣初見を認めた。アシクロビルは、糸球体からの濾過および尿細管からの分泌によって尿中に排泄されるが、尿での溶解度は低く、また腎臓の尿濃縮機構により腎臓内濃度は血中濃度と比較して約10倍高くなる。尿細管から集合管内で結晶化し、閉塞性の腎障害をきたしたと考えられる。


79歳女性で血清クレアチニン濃度が0.8mg/dLで、体重47㎏であり、クレアチニンクリアランスを計算し42.3ml/minであったため、バラシクロビル1000㎎×2回で4日間投与された。投与開始3日後に乏尿と気分不快があり、検査結果より急性腎障害が認められた。併用投与されていたロキソニンによる影響で、PG産生が抑制されたために腎臓を含めた組織血流量が減少したため、バラシクロビルの排泄遅延が生じたための腎障害と考えられた。

以上のことを踏まえると、帯状疱疹で高齢者においての疼痛治療としては、通常のNSAIDsを使用せず、アセトアミノフェン(カロナール)1800~2400㎎分3~4の投与にするべきと考える。

重症度分類
軽症:神経節の支配領域に縞状の皮膚病変が数個みられるもの
中等症:軽症と重症の中間のもの
重症:1.病変が広範囲で、多くの神経皮膚分節にまたがって、一面に発疹が出現している。2.個疹が大きく、血疱を形成している。あるいは水疱の周囲に赤みがなく、全身に水痘様の発疹が多数みられる。3.合併症を伴う。4.免疫不全者

帯状疱疹後神経痛:
皮疹消失3カ月以上たっても頑固な神経痛が残存。VZVが感染した神経が障害された慢性的な痛みで、高齢者に多く、通常は1~3カ月で消失するが、10~20%のケースで1年以上持続し、稀に10年以上続くこともある。

汎発性帯状疱疹:
通常の帯状疱疹とともに、全身に水疱が出現する。免疫不全状態にある高齢者や免疫抑制剤使用例、悪性腫瘍の症例に見られる。皮膚のウイルスが血管内皮細胞内で増殖し、ウイルス血症を起こしたもの。汎発疹の約10%は肺や肝臓、脳にも波及し、水痘症と同じくらいの感染力があるため、入院時は個室対応となる。

ラムゼイ・ハント症候群:
顔面陰茎が侵され、耳の発疹と顔面神経の麻痺、めまい、味覚の障害を伴うことがある。

https://damrn710kg0uo.cloudfront.net/data/qpics/production/image/306/102A-44.jpg

https://imgcp.aacdn.jp/img-a/800/auto/aa/gm/article/4/4/2/2/0/9/facebefore.jpg

眼部帯状疱疹:三叉神経第1枝領域に発症する帯状疱疹
ウイルス性眼瞼炎で角膜炎を伴う頻度が高いのは、単純ヘルペス1型とVZVである。
表のような違いがある。

皮膚所見:上眼瞼を含む三叉神経第1枝領域に疼痛を含む数mmの浮腫性紅斑が出現、2~3mm大の小水疱となり、びらんを形成し痂皮化する。
眼所見:皮膚と同側の眼瞼、結膜、強膜、虹彩毛様体、網膜、外眼筋とさまざまな部位にウイルスの直接侵襲、炎症、循環障害などを原因とする多様な症状がみられる。

http://www.kawazoe-nshp.or.jp/info0211/q&a/biyou/biyou_ga/toobobi02.jpg
https://ヘルペス侍.com/wp-content/uploads/2017/12/u1v.jpg
発症早期からのアシクロビルの全身投与と眼症状の重症度に応じた適切なステロイド店癌治療が有用。
眼軟膏併用の有無では、治癒率に差は出ていない。
注意しなければいけないのは、眼症状が遅れて出てくることもあり、涙液中のVZV DNA量を測定した研究では数カ月にわたって大量に検出されており、重症例では数か月治療を継続する必要があることもあり、眼科医に初期からコンサルトすることが望ましい。

急性網膜壊死:急性に主に片眼性に霧視、飛蚊症、視力低下で発病し、数週間の急性な経過で高度の視力低下を来し、数か月のうちに網膜剥離、視神経萎縮、網膜血管閉塞、網膜変性萎縮などの重極な眼合併症を生じて失明に至る。その多くが単純ヘルペス1型、2型,VZVの感染である。
尾崎らの報告では過去15年間に診断した急性網膜壊死12例15眼を報告している。男性9例、女性3例、19~72歳(平均47歳)、単純ヘルペスウイルス7例、VZV5例。全例足黒ビル投与し、1眼にも無膜光凝固、1眼に強膜輪状締結術、11眼に強膜輪状締結術と硝子体手術を行ったと報告している。
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410104009

2017年7月3日アメナメビル200㎎(アメナリーフ)が発売された。この薬剤は、ヘルペスウイルス増殖の初期段階に働くヘリカーゼ・プライマーゼ複合体に作用し、ヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで2本鎖DNAの開裂およびRNAプライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルス増殖を初期段階で阻害する。

https://1.bp.blogspot.com/-_Oi9kYBCXek/WVu0qReP5mI/AAAAAAAACDc/930C91jWouk1GuBlgkkAiIlrtgXED7v3QCLcBGAs/s1600/ameamevir01.PNG

アメナメビルは主に糞便中に排泄されるので腎機能による薬物動態への影響が小さく、クレアチニンクリアランスに応じた投与量設定の必要がない。

但し、食後に投与しないと、血中濃度は半減してしまう。
臨床評価試験では、アメナリーフ錠400㎎とバラシクロビル3000mgの非劣性試験である。
主要評価項目は、投与開始4日までの新皮疹形成停止率で、服地評価項目は、新皮疹形成停止までの日数、完全痂皮化までの日数、治癒までの日数、疼痛消失までの日数、ウイルス消失までの日数である。






https://www.maruho.co.jp/medical/amenalief/products/clinical.html

皮疹に対しての外用薬の有効性の明確な根拠はない。

単純ヘルペス感染の場合、皮疹が治ったと思っても、神経節内にウイルスが増殖している状態はおさえこめていない可能性があるので、投与された日数分しっかり抗ヘルペス薬を飲む必要がある。

38546人の60歳以上を対象とした3年観音追跡調査で957名の帯状疱疹が発症したが、Oka株をもとに作成されたZOSTAVAXを使用したワクチンを接種した群では51.3%、PHNは66.5%抑制することができた。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa051016#t=article


ZOSTAVAX接種後の発症阻止効果の持続性については、接種後4~7年間では、帯状疱疹発症とPHN発症が、それぞれ39.6%、60.1%減少し、疾病による死亡や損失した生活の質を示す疾病負荷は50.01%減少することが明らかにされた。また、接種後7~11年間では、帯状疱疹とPHN発症が、それぞれ21.1%、35.4%減少し、疾病負荷が37.3%減少したと報告されている。さらに、60歳以上の176,078人を対象とした研究では、ワクチン接種後1年以内の帯状疱疹発症阻止効果はワクチン非接種者と比較して68.7%で、接種8年目ではその効果は4.2%であったと報告されている。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000151542.pdf

ZOSTAVAXのワクチンとしての強さは24600(8700-60000)pfuとされており、日本で発売されている微減は30000pfu以上とされており、同等の効果が期待できる。

参考サイト: 
Maruho:帯状疱疹の基礎

帯状疱疹ワクチン ファクトシート2017年2月10日
慶應大学病院 Kompas

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2018年7月17日 火曜日

関節リウマチ治療の最新の話題 山田秀裕 先生

2018年7月11日 
演題「関節リウマチ治療の最新の話題」
演者:聖隷横浜病院リウマチ・膠原病センター 山田 秀裕 先生
場所:
内容及び補足「
関節リウマチは、関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起き、関節の痛みや腫れ、こわばりなどを起こす自己免疫疾患である。
人口の0.4~0.5%、30歳以上の人口の1%の人がこの病気に罹るといわれ、どの年齢でも発症するが、30~50歳代で発症する人が多く、男性の約3倍女性に多くみられる。日本には70~100万人の患者がいると考えられている。15歳以下で発症する一群は若年性特発性関節炎と言い、成人の関節リウマチと若干異なる特徴がある。
原因はいまだ不明であるが、遺伝的な要因に、出産や喫煙、感染症などの環境要因が重なっておこると考えられている。
ある遺伝子の肩を持っている人が喫煙すると発症リスクが20倍以上になることがわかっている。

リウマチ体質とは?
冠せるリウマチに関与する自己抗体として、シトルリン化ペプチドに対する自己抗体(抗CCP抗体)や抗カルバミルペプチド抗体などがわかってきており、これらの抗体価が高いほど、また自己抗体の認識する抗原エピトープの種類が多彩になればなるほど、リウマチ体質の度合いが高くなると考えられており、リウマチ体質が強くなるほど、関節の微小な外傷などをきっかけに関節リウマチが発症しやすくなると考えられている。
http://www.seirei.or.jp/yokohama/section/clinical-practice/rheumatism/rhe-symptom/index.html


参:最近のリウマチ病因論の進歩 大塚 毅 宗像医師会病院(2007 年、第 8 回博多リウマチセミナー)
内因
1)人種
  北米・北欧 有病率 0.5-1%  発症率 0.02-0.04%
  南欧        0.3-0.6%      0.01-0.02%
  日本        0.3-0.5%      0.04-0.09%
     1960 年以降発症が減少傾向にあるとの報告あり。
2)性:女性>男性
  女性ホルモン
  経口避妊薬の普及で罹患率低下(2)
  閉経期に好発する → ホルモン分泌レベルの変化が関連 ?(3)(4)
  男性ホルモン
  RA 患者ではアンドロゲン濃度が低い(3)
  妊娠(アンドロゲン上昇)で症状軽快、出産後増悪
  エストロゲンは免疫グロブリン産生を増やす(Th2 優位)
  アンドロゲンは炎症性サイトカイン抑制するがTh1 上昇
  RA 発症は閉経前後に多く、妊娠中に軽快する人が多い
  エストロゲンより加齢によるアンドロゲン低下(男女とも)が関与 ?
3)遺伝
 家族集積あるが、それほど強くない(56)。3 親等内に RA 患者がいれば罹患率は 3 倍 → 単一遺伝子疾患ではなく、
多因子疾患
 自己免疫性疾患の一卵性双生児における発症一致率は 15 - 30%。RF 陰性 RA ではより一致率が低いといわれている。RA 患者の第一世代での RA 発症率は 1.7%。一卵性双生児のインスリン依存性糖尿病の一致率 36%と比べて明らかに低いといわれている。遺伝因子は考えられるが、一致率の低さは環境因子の役割も大きいと考えさせる。二卵性双生児の発症一致率は 2 - 5%とさらに低下する。
4)遺伝因子 多因子疾患
 多数の因子の遺伝子多型との相関 : 遺伝子プローブによる多型解析(7):
   第1染色体 D1S214  第 8 染色体 D8S556  X 染色体 DXS1047-DXS1227
   HLA-DRB1 の遺伝子多型(89)
    70 ~ 74 番目のアミノ酸配列の共通性で発症率上昇(shared epitope)(HLA-DR は防御因子としても働く。)
 サイトカインや細胞膜表面抗原などの遺伝子多型
   IL-1、IL-2、IFN-γ、TNFα、TNFαRI、TNFαRII、CD80、CD86、CD40L など
外因:獲得要因 免疫学的要因・組織・構造的要因(気道合併症)
    発症要因 妊娠出産・喫煙・食事・外傷・過重労働・ストレス・感染
 感染
   リウマチ熱と微生物感染、反応性関節炎と細菌感染
   SLE とEB ウイルス、サイトメガロウイルス、パルボB19 ウイルスなど
   シェーグレン症候群とEB ウイルス、C 型肝炎ウイルス
RA では
  EBV:RA 患者末梢血中に EBNA-1 に対する抗体あり(11, 12)
   RA 滑膜の免疫染色によりEBV 蛋白の検出率が高い
   RA 患者末梢血リンパ球は EBV で不死化しやすい
  HTLV-1:HAAP(HTLV-1 associated arthropathy)聖マリアンナ大西岡
     HTLV-1 導入マウスは関節炎発症しやすい
  パルボB19:ウイルス感染後の RA 発症例あり(13, 14)
     RA 滑膜にパルボB19 ウイルスの存在
      パルボB19 ウイルスの一部導入でマウスに関節炎
免疫学的要因
ガンマグロブリン(15)
フィンランド人の関節炎の未経験者 19,072 人に対する調査(1973 - 77)1989 年までに 124 人が RA を発症、そのうち89 人が RF 陽性に。発症前の血清 IgG 値が RF 陽性 RA 発症に関連したが、IgA や IgM は関連なし。他にも、性別・教育・喫煙・アルコール摂取・BMI などとの相関なし。どの IgもRF 陰性 RAと相関なし。
自己抗体(16)
  RF:自覚症状のない RF 陽性者 120 人。1996 年の RA 発症が 7 人(5.8%) 一般集団(0.35%)
    エントリー後 RF 陰性になった 36 人はひとりもRA 発症していない。
    RF のサブタイプ(IgG、IgM、IgA)の陽性が複数になるほど発症率が高い。
  抗 CCP 抗体:抗 CCP 抗体陽性者の 93%に対して陰性者は 25%であった。
    RF 陰性の RA 患者の 34%に抗 CCP 抗体陽性→ RF よりも特異度が高い。
    RF と抗 CCP 抗体の併用で診断確率が向上 (17, 18)。
    RA 患者の 49%は発症 4.5 年前に IgM-RF あるいは抗 CCP 抗体いずれかが陽性であった。
    RA 症状発現 1.5 年前から抗 CCP 抗体陽性である率は多変量解析にて 16.1%(19)。
季節・気候 人種差や国別で発症頻度は基本的に変わらない
妊娠・出産 疫学調査への反論多いが、妊娠・経口避妊薬の予防的役割もコンセンサスはない。
食事・嗜好 喫煙のみが疫学的に明らかな危険因子である(20)
   喫煙により罹患率は一卵性双生児で 12 倍、二卵性双生児では 2.5 倍
   喫煙による免疫系のゆさぶり → 臨床研究や疫学調査。
   喫煙-喫煙をやめてもRF 増加は非可逆的に続く。
      RF 値が高いほど喫煙との関連は高いが、喫煙量や期間には量的相関はない。
      喫煙は RF 陽性 RA の危険因子。RA 家系でない時の危険度が高い(2 - 4 倍)。
      RA の重症度にも影響。IgG の損傷を誘発 ?
   アルコール摂取が発症に関連すると結論した報告はない
外傷・過重労働・ストレス
呼吸器疾患とRA
   IP とRA の同時発症、RA における慢性気道感染症、病巣感染説
   免疫学的変化・組織・構造的変化(気道合併症)
   病理・病態・増悪因子
http://www.hakatara.net/images/no8/8-1.pdf

関節は、骨と骨の連結部で、二つの骨と骨の間のクッションの役割をする軟骨、これらを包む関節包と滑膜などから構成されている。滑膜は薄い膜で、潤滑油の働きをする関節液を分泌し、関節腔をこの関節液でみたしており、滑らかに動かすことができる。

関節リウマチは、この滑膜に炎症が起こり、増殖し、痛みが生じるだけでなく、骨や軟骨、腱が破壊され、関節の変形をきたす疾患である。
進行が速い人では、一年足らずで骨の破壊が見られ、関節が変形してくる。

http://www.akenohp.jp/rheumatism/index/

関節リウマチ患者の生活障害度を評価する問診票の一つにHealth Assessment Questionnaire:HAQ-scoreがある。
MDHAQ日本語版:
https://omimai.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/wp/wp-content/uploads/2017/09/japanmdhaq2017.pdf

ERASとNOARの二つのコホート研究で生活障害度の変化を見てみると軽症例では治療によりHAQスコアは改善するものの数年で悪化傾向を認め、重症例では、進行を抑制してはいるが改善を認めていない。

https://ac.els-cdn.com/S0049017214000730/1-s2.0-S0049017214000730-main.pdf?_tid=9b7242ed-6ee3-4b45-a6ae-0ae9f727683c&acdnat=1531626234_99cecdd25668f45ef588dd04279e8654

近年は生物学的製剤が開発され、早期からの積極的治療とタイトコントロールにより、予後が改善されると期待されている。

https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_01.html

治療の基本的な考え方として
1. 関節リウマチの治療は、患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである。
2. 関節リウマチの主要な治療ゴールは、症状のコントロール、関節破壊などの構造的変化の抑制、身体機能の正常化、社会活動への参加を通じて、患者の長期的 QOLを最大限まで改善することである。
3. 炎症を取り除くことが、治療ゴールを達成するために最も重要である。
4. 疾患活動性の評価とそれに基づく治療の適正化による「目標達成に向けた治療(Treat to Target, T2T)」は、関節リウマチのアウトカム改善に最も効果的である。
が挙げられており、その際以下の点を注意する。
1. 関節リウマチ治療の目標は、まず臨床的寛解を達成することである。
2. 臨床的寛解とは、疾患活動性による臨床症状・徴候が消失した状態と定義する。
3. 寛解を明確な治療目標とすべきであるが、現時点では、進行した患者や長期罹患患者は、低疾患活動性が当面の目標となりうる。
4. 日常診療における治療方針の決定には、関節所見を含む総合的疾患活動性指標を用いて評価する必要がある。
5. 疾患活動性指標の選択や治療目標値の設定には、合併症、患者要因、薬剤関連リスクなどを考慮する。
6. 疾患活動性の評価は、中~高疾患活動性の患者では毎月、低疾患活動性または寛解が維持されている患者では6ヵ月ごとに、定期的に実施し記録しなければならない。
7. 治療方針の決定には、総合的疾患活動性の評価に加えて関節破壊などの構造的変化及び身体機能障害もあわせて考慮すべきである。
8. 治療目標が達成されるまで、薬物治療は少なくとも3ヵ月ごとに見直すべきである。
9. 設定した治療目標は、疾病の全経過を通じて維持すべきである。
10. リウマチ医は、患者の「目標達成に向けた治療(T2T)」の設定に関わるべきである。
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_01.html

生物学的製剤を使用して疾患の活動性指標であるDAS-28は抑制できたが、関節腫脹の進行度を表すRatingenスコアや生活障害度を示すHAQ-DIは経年で悪化している。

file:///C:/Users/PCUser/Downloads/jcm-07-00057.pdf

Ratingen score:関節腫脹の進行(0-190、高いほど悪化)の百分率
Disease activity score 28 (DAS28) 疾患活動性指標
= 0.56×√(圧痛関節数:TJC)+ 0.28×√(腫脹関節数:SJC)
+ 0.70×Ln(ESR)+0.014 × 患者による全般評価(100mmVAS)
(寛解≤2.6, 2.6<低疾患活動性≤3.2, 3.2<中疾患活動性≤5.1, 5.1<高疾患活動性)

炎症がおこった後の変化を見ていくと、炎症の経過によって反応している細胞に変化が出ているのがわかる。
急性炎症が治まった後の第二段階においては、炎症細胞の働きは沈静化しており、線維芽細胞やコラーゲンの合成がメインとなる。低酸素の状態においては、線維芽細胞は増殖するが、コラーゲン繊維は合成しない。

https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180115150123.pdf?id=ART0001144483

関節リウマチ罹患関節の関節腔内は正常関節に比して、酸素分圧が低い。正常酸素濃度(21%)と低酸素濃度(1%)でRA滑膜線維芽細胞(RSF)を高密度培養した場合、高密度培養によるRSFの増殖抑制効果は、低酸素濃度下では低下していた。サイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27Kip1タンパク発現が低下し、増殖の接触阻止を促すN-Cadherin(cad)タンパク発現も低下していた。関節内の低酸素はN-cad発現低下を促し、p27Kip1
発現を低下させてRSFの増殖を促進させ、滑膜増殖を亢進し、関節破壊に関与している可能性がある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscisho/34/0/34_0_55/_article/-char/ja/

hypoxia-inducible factor (HIF):低酸素誘導因子とは裁縫が低酸素状態に陥った際に誘導されてくる蛋白質。
HIF-αは通常の酸素圧化において細胞内発現量が減少しているが、産生量が低下しているのではなく、ユビキチン-プロテアソーム系を介した蛋白質分解の負の制御によると考えられている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8E%E9%85%B8%E7%B4%A0%E8%AA%98%E5%B0%8E%E5%9B%A0%E5%AD%90

関節腔が低酸素にさらされるとHIF-αの産生が活性化され種々の炎症性サイトカインが産生され、関節破壊が進行する。

Role of hypoxia-regulated HIF transcription factors in RA. In the context of RA pathogenesis, hypoxia-induced stabilization of HIF-α protein can potentially modulate genes that are involved in angiogenesis (for example, VEGF), matrix degradation, apoptosis (for instance, BNIP-3), cellular metabolism (GLUT-1) and inflammation (cytokines and chemokines), thus perpetuating the destructive cascade of reactions. Furthermore, cytokines relevant to RA (IL-1 and TNF) can themselves modulate HIF levels. A schematic representation of a normal and RA joint is shown. Representative sections (×100 magnification, with bars indicating 20 μm) of RA tissue stained for HIF-1α and HIF-2α are shown, taken from two different RA patients. HIF-1α expression appears to be predominantly vascular associated, in areas of diffuse cellular infiltration, unlike HIF-2α, which was frequently associated with infiltrating cells distant form visible blood vessels. BNIP, BCL2/adenovirus E1B 19 kDa-interacting protein; COX, cyclo-oxygenase; GLUT, glucose transporter; HIF, hypoxia-inducible factor; IL, interleukin; MMP, matrix metalloprotease; RA, rheumatoid arthritis; TNF, tumour necrosis factor; VEGF, vascular endothelial growth factor.
https://arthritis-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/ar2568

パンヌス(Pannus)は関節リウマチ患者の関節滑膜細胞が増殖して形成された絨毛状の組織であるが、マトリックスメタロプロテイナーゼなどのたんぱく分解酵素を分泌して軟骨を破壊したり、破骨細胞を活性化して骨破壊をもたらし、関節破壊をきたす。
滑膜細胞を培養するとパンヌス様の組織が形成される。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/art.22849

関節リウマチ患者の低酸素により誘発される滑膜細胞の増殖は、Indomethacinの投与では増強するが、prostaglandin E2を投与すると増強しなくなる。
https://link.springer.com/article/10.1007/s10165-012-0794-7

これらのことを合わせて考察すると、関節リウマチ患者のリハビリにおいては、関節の低酸素を回避する必要があるといえる。

関節リウマチが再燃、増悪しやすい原因は?
日常生活やリハビリによる過度の負担も関節の破壊を促進する可能性がある。
人体の粘膜面でのミクロビオームとの共生関係が破綻した例として、慢性副鼻腔炎、再起動病変/気管支拡張症、歯周病、慢性の便秘などがあるが、これらの状態はリウマチ体質を支える自己免疫現症の母体となりえるのであり、関節リウマチの増悪因子でもある。
別の見方をすると加工食品に使われている添加物が、関節リウマチの増悪因子の一つになっている可能性がある。


アメリカの治療ガイドラインを示す。


https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/ACR%202015%20RA%20Guideline.pdf

欧州の治療ガイドラインを示す。

EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biological disease-modifying antirheumatic drugs: 2016 update. Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis. 2017
http://www.twmu.ac.jp/IOR/diagnosis/ra/medication/recommendation.html

いずれの関節リウマチの治療ガイドラインは、リハビリについて記載されていない。
日本においては、下記のようにリハビリテーションは推奨されているも、エビデンスは確立されていない。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/10/104_2110/_pdf

関節リウマチに影響する因子について以下のものが挙げられる。
Genetic Aspects
Enviromental factors:Cigarette smoking、Occupational and atmospheric agents
Diet
Microbiota and infections
Innate immune responeses
The adaptive immune system
https://www.clinexprheumatol.org/article.asp?a=12889

以下には約リウマチの状態になっているかを知ることは非常に重要でありその一つの検査としてanti-citrullinated peptide(anti-CCP)が挙げられる。

関節リウマチに至る病態として以下のように考える。
Pre-RA
a. Genetic risk factors for RA
b. Environmental risk factors for RA Asymptomatic
c. Systemic autoimmunity associated with RA
d. Symptoms without clinical evidence of arthritis
e. Early undifferentiated arthritis. Symptomatic
RA: rheumatoid arthritis
関節リウマチにならないため、悪化させないための方対策として以下のものが挙げられる。
Modifying risk factors to prevent rheumatoid arthritis
Avoid/Quit smoking
Good dental hygiene: Treat periodontitis early
Balanced diet containing fish oil, antioxidants, and vitamin D
Avoid excess coffee and food with high salt content
Optimizing body weight
Prevent infection

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5473457/

腸管粘膜の破綻からくる免疫応答が関節リウマチを引き起こす機序の仮説

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4033623/

腸管粘膜の破綻をきたす食品として、ファーストフード食品やレトルト食品、食品添加物などが挙げられている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1568997215000245

現在われわれが考えている関節リウマチに影響する病態及び対策として以下のものが挙げられる。
腸管:便秘、過敏性腸症候群→腸内環境整備、食品添加物制限
口腔内:歯周病→口腔ケア
下気道:細気管支炎、間質性肺炎→少量マクロライド治療
副鼻腔:慢性副鼻腔炎→少量マクロライド治療
皮膚:毛嚢炎
会陰部:尿道炎、付属器炎
これらのことをより充実して行うためには、多職種による連携の取れた包括的ケアが必要である。

参考サイト:
聖隷横浜病院 リウマチ・膠原病内科 関節リウマチ
リウマチ情報センター
慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科外部リンク 関節リウマチ

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2018年7月17日 火曜日

自己炎症性症候群 伊藤 宏 先生

2018年7月11日 
演題「紹介いただいた症例の経過報告」
演者:聖隷横浜病院リウマチ・膠原病センター 伊藤 宏 先生
場所:
内容及び補足「
紹介患者さんの経過報告の中で自己炎症性疾患という概念の提示があり、そのことについて調べたことを以下に記載する。

自己炎症性疾患(自己炎症性症候群)は原発性免疫不全症の中の一つに分類され、発熱と眼、関節、皮膚、漿膜などに及ぶ全身の炎症のエピソードが特徴の疾患で、原因として感染症や自己免疫疾患が無いもの。

自己炎症:1999年McDermottらによりTRAPS(TNF receptor-associated periodic syndrome)という遺伝性疾患がきっかけで提唱された。
自己炎症性疾患の病態は主に自立的な自然免疫系の活性化によるもので、好中球や単球/マクロファージからのIL-1βやTNF-αなどの炎症性サイトカインの過剰分泌やシグナルを介して引き起こされる全身性の慢性炎症とされている。一部の疾患は遺伝素因が原因として明らかとなっている。

原発性免疫不全症の国際分類
細胞性および液性免疫に影響する免疫不全症
関連もしくは症候を有する特徴を伴う複合免疫不全
抗体産生不全症
免疫調節不全症
食細胞の数・機能の先天的欠損症
内因性および自然免疫の不全症
自己炎症性疾患
補体欠損症
原発性免疫不全症の表現型模写
自己炎症性疾患の病態分類
インフラマソームに影響を与える異常
家族性地中海熱
高IgD症候群
Muckle-Wells症候群
家族性寒冷自己炎症症候群
慢性乳児神経皮膚関節炎症候群(Chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome: CINCA症候群) / 新生児発症多臓器炎症性疾患(Neonatal onset multisystem inflammatory disease: NOMID)
NLRC4-MAS
PLAID (PLCγ2 associated antibody deficiency and immune dysregulation)
APLAID (autoinflammation and PLCγ2 associated antibody deficiency and immune dysregulation)
インフラマソームに関連しない病態
TRAPS (TNF Receptor-Associated Periodic Syndrome)
Pyogenic sterile arthritis, pyoderma gangrenosum, acne (PAPA症候群)
Blau症候群
ADAM17 欠失
Chronic recurrent multifocal osteomyelitis and congenital dyserythropoietic anemia (Majeed症候群)
DIRA (Deficiency of the Interleukin 1 Receptor Antagonist)
DITRA (Deficiency of IL-36 receptor antagonist)
SLC29A3変異
CAMPS (CARD14 mediated psoriasis)
ケルビム症
CANDLE (chronic atypical neutrophilic dermatitis with lipodystrophy)
COPA(Coatamer protein complex, subunit alpha)欠損
Journal of Clinical Immunology.35(8):696-726,2015

TRAPS(TNF receptor-associated periodic syndrome:トラップス)
TNF-α受容体をコードするTNFR1遺伝子の異常によって引き起こされる症候群。発熱発作を繰り返す周期性発熱症候群。1982年にアイルランド/スコットランド系の家系で最初に報告され、Familial Hibernian Fever(FHF)とも呼ばれたが、1999年にTNFR1の遺伝子TNFRSF1Aの異常であることが判明し、TRAPSと呼ばれるようになった。常染色体優性遺伝で、これまでに200例の報告があり、ヨーロッパ人種で多く、日本では約30例の報告がある。生後2週から53歳と幅があるが多くは幼児期に発症し、中央値は3歳である。
主な症状は、発熱で、3日~数週間持続し(通常は1週間以上)、発熱の周期を5~6週間おきにくりかえす。皮膚所見の頻度も高く、全身に、痛みや熱感を伴う皮疹が出現する。数日程度(平均13日)持続し、数分~数日で移動することもある。筋肉痛も見られ、皮膚症状が筋肉痛の部位に一致して移動することが多い。結膜炎や目の周りのむくみ、腹痛、関節痛、吐き気などの症状も見られる。
血液検査では、白血球数の増加、炎症反応高値、補体化や免疫グロブリン値の上昇がある。長期間にわたり炎症が持続すると、アミロイドーシスを合併することがあり(約10%)、腎臓、肝臓、副腎などの臓器をチェックする必要がある。
遺伝子解析により確定診断となる。

HullらのTRAPS診断基準案
1. 6ヶ月以上にわたって繰り返す炎症兆候の存在(いくつかの兆候は同時にみられることがある)
1. 発熱
2. 腹痛
3. 筋肉痛(移動性)
4. 皮疹(筋肉痛を伴う紅斑様皮疹)
5. 結膜炎 / 眼周囲の浮腫
6. 胸痛
7. 関節痛または単関節の滑膜炎
2. 平均5日以上続く症状
3. ステロイドが有効だが、コルヒチンが無効
4. 家族歴あり(いつも家族歴があるわけではない)
5. どの人種、民族でも起こるかもしれない
Medicine (Baltimore).81(5):349-68,2002

治療:確立されたものはないがNSAIDSが発熱、疼痛緩和に有効。コルヒチン、アザチオプリン(イムラン)、シクロスポリン(ネオラール)、エタネルセプト(エンブレル:TNF阻害薬)、アナキンラ(IL-1阻害薬)などの使用報告がある。

家族性地中海熱 (Familial Mediterranean Fever:FMF)
12~72時間の周期的な発熱と漿膜炎をきたす遺伝性周期性発熱症候群。
遺伝形式と疫学
比較的稀な疾患で、自己炎症性症候群の中で最も頻度が高い疾患。常染色体性劣性遺伝。1997 年にMEFVという遺伝子の異常によって起こることが明らかとなり、地中海沿岸地域に多く、全世界で 1万人を超える。日本では約500名、大部分は小児期に発症するが、20歳に近い年齢での発症報告もある。

臨床症状と検査所見
周期性発熱が高頻度にみられ、発熱の期間は1~3日と短く、自然に軽快。発熱時には炎症反応が上昇し、発熱発作の間隔は不安定で、個人差がある。ストレス、手術や月経などに誘発されてることが多いが、誘因が見られない事もある。発熱に伴い関節炎・皮疹などの症状があり、胸膜炎による背部痛や、腹膜炎による腹痛などの漿膜炎を伴うことがある。足や膝の関節などの下肢の大関節に少数関節炎として起こることが多く、急性で、関節痛、熱感、発赤を伴う。心外膜炎や無菌性髄膜炎がみられることもある。血液検査では発作時に白血球増加、CRP高値がみられる。またTRAPS同様に長期に及ぶ全身の炎症によりアミロイドーシスの合併がみられることがある。

診断
家族性地中海熱の診断基準(難病情報センター「家族性地中海熱)
必須項目
12 時間から 72 時間続く 38 度以上の発熱を 3 回以上繰り返す。発熱時には、CRP や血清アミロイド A(SAA)などの炎症検査所見の著明な上昇を認める。発作間歇期にはこれらが消失する。
補助項目
i) 発熱時の随伴症状として、以下のいずれかを認める。
  a 非限局性の腹膜炎による腹痛
  b 胸膜炎による胸背部痛
  c 関節炎(股関節、膝関節、足関節)
  d 心膜炎
  e 髄膜炎による頭痛
  f 髄膜炎による頭痛
ii) コルヒチンの予防内服によって発作が消失あるいは軽減する。
必須項目と、補助項目のいずれか1項目以上を認める症例を臨床的にFMF典型例と診断する。
感染症、自己免疫疾患、腫瘍などがないこと。MEFV遺伝子解析も有用。コルヒチン投与による治療反応性も参考に診断する。

治療
コルヒチン。発作予防や症状の改善を促し、アミロイドーシスの予防も可能。コルヒチン無効例にはIL-1阻害薬、TNF阻害薬、IL-6阻害薬の効果が報告されている。
参考サイト:慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科外部リンク
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000736.html

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2018年7月 6日 金曜日

指定難病 皮膚筋炎 佐藤慎二教授

2018617日 

演題「指定難病 皮膚筋炎」

演者:東海大学医学部内科学系リウマチ内科教授 佐藤慎二先生

場所:

内容及び補足「

疫学:皮膚筋炎は2009年度の厚生労働省特定疾患治療研究事業における臨床調査個人票の解析では、罹患患者数は約17000名と推定されている。毎年10002000人が新規に発症していると推定されており、現在では20000人以上と推定される。

男女比は1:3で女性に多く、514歳に小さなピークがあり、4556歳に多くみられる。

 

疾患概念・病態:主に大腿や上腕などの四肢近位筋、さらに体幹や頚部の筋肉を中心とした横紋筋に持続的な炎症を引き起こし、同部位の筋肉痛や筋力低下を来す疾患。

患者血清からは抗Jo-1抗体をはじめとした多彩な自己抗体が検出され、その病態形成に免疫機能の異常が大きく関与することが推定されており、膠原病に群類されている。

臨床的には、筋症状のみ呈する場合をPMpolymyositis 多発性筋炎、多発筋炎)、ゴットロン徴候やヘリオトロープ疹、関節伸側の落屑性紅斑など、特徴的な皮膚症状を伴う場合をDM(dermatomyositis 皮膚筋炎)としている。

PM/DMは筋肉や皮膚症状以外に、悪性腫瘍や間質性肺炎の合併が高率であり、これらの合併症は生命予後を左右する。特にDMにおいて、その傾向が強くみられるため、注意を要する。

筋症状が典型的な症例では、血液検査において、血清クレアチンキナーゼ(CK)やクレアチン、ミオグロビン、アルドラーゼ(Ald)などの筋原酵素が上昇を示すことがほとんどであるが、amyopathic DMなど、皮膚症状や肺病変が著明で筋症状に乏しく、筋原酵素の上昇がみられない症例も存在する。

Jo-1抗体はPM/DMに特異性が高い自己抗体であるが、陽性率は20%前後と高くない。近年では多数の筋炎特異的自己抗体(myositis-specific autoantibodiesMSAs)が同定されている。

 

診断基準:

1975年にBohan & Peterの診断基準が臨床の場で多く用いられてきた。

Bohan & Peterの診断基準

    ①四肢近位筋、頚部屈筋の対称性筋力低下

    ②筋原性酵素の上昇

    ③筋電図で筋原性の変化

    ④筋生検で筋線維の壊死や変性、萎縮所見、炎症細胞の浸潤

    ⑤ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候、関節伸側の落屑性紅斑など

 

本邦においては1992年厚労省自己免疫新患調査研究班によりPM/DMの診断基準が提唱され、2015年に改訂された。

厚労省自己免疫疾患に関する調査研究班の改訂診断基準(2015年)

<主要項目>

    皮膚症状:

        ヘリオトロープ疹:両側又は片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑

        ゴットロン徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑

        四肢伸側の紅斑:肘、膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑

    上肢又は下肢の近位筋の筋力低下

    筋肉の自発痛又は把握痛

    血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ)の上昇

    筋電図の筋原性変

    骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛

    全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、又は赤沈促進)

    Jo-1抗体陽性

    筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤

<診断基準>

    皮膚筋炎:1.皮膚症状aからc1項目以上を満たし、かつ経過中に2から9の項目中4項目以上を満たすもの

    多発性筋炎:2から9の項目中4項目以上を満たすもの

<鑑別除外を要する疾患>

    感染性による筋炎

    薬剤誘発性ミオパチー

    内分泌異常に基づくミオパチー

    筋ジストロフィーその他の先天性筋疾患

 

<重症度分類>

以下のいずれかに該当する症例を重症とし、医療費助成の対象とする。

1)原疾患に由来する筋力低下がある。

体幹・四肢近位筋群(頸部屈筋、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿屈筋群)の徒手筋力テスト平均が5段階評価で4+ 10段階評価で9) 以下

又は、同筋群のいずれか一つのMMTが4(10段階評価で8)以下

2)原疾患に由来するCK値もしくはアルドラーゼ値上昇がある。

3)活動性の皮疹(皮膚筋炎に特徴的な丘疹、浮腫性あるいは角化性の紅斑、脂肪織炎*が複数部位に認められるもの)がある。 *新生または増大する石灰沈着を含む

4)活動性の間質性肺炎を合併している(その治療中を含む。)。

 

症状:

全身症状:発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲低下、体重減少

筋症状:緩徐に発症して進行する体幹、四肢近位筋群、頸筋、咽頭筋の筋力低下が多くみられる。嚥下にかかわる筋力の低下は、誤嚥や窒息死の原因となる。進行例では筋萎縮を伴う。

皮膚症状:以下の皮膚所見がみられる

上眼瞼の浮腫性紅斑(ヘリオトロープ疹):上眼県の浮腫性かつ紫紅色の紅斑

手指の関節背面の角化性紅斑(ゴットロン丘疹):手指関節背側面の角質増殖、落屑や皮膚萎縮を伴う紫紅色の角化性紅斑

爪上皮の延長と点状出血を伴う爪囲紅斑

多形皮膚萎縮(Poikiloderma):色素沈着、脱失、萎縮が混在した局面を呈する皮膚所見

機械工の手(メカニックの手)母指の尺側面および第25指の橈側面から時に掌側に達する裂溝を伴う角質化(間質性肺炎合併と相関)

 

皮膚科Q&A

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q07.html

Vネック徴候:前胸部紅斑

http://sogahifuka.com/blog/wp-content/uploads/d9bc714408e1fc4bcf435a810ccdfc29.jpg

ショール徴候:頸部から肩・上腕にかけての紅斑

http://sogahifuka.com/blog/wp-content/uploads/23b753522b3e4677e15b08c022f0a6b6.jpg

レイノー現象:約30%の症例に見られるが、強皮症のように皮膚潰瘍や手指壊疽に進行することは少ない。

 

肺炎:4050%に間質性肺炎を伴う。PM/DMに合併する慢性型と急性型に分かれる。慢性型間質性肺炎の合併例は抗Jo-1抗体などの抗ARS抗体が高頻度に検出される。慢性型間質性肺炎の組織像はNSIPを呈し、PSL反応性も良好なことが多い。急速進行性肺炎に対して、PSLとシクロスポリンの併用療法が有効との報告もある。3割程度の患者で筋症状よりも呼吸症状が先行するとされている。

PM例では抗Jo-1抗体陽性例が多く予後が良い。亜急性の経過をたどる例も器質化肺(OP)やNSIPが大部分でステロイドによる改善が期待できる。DMに合併する間質性肺炎の20%は急速進行性で、治療抵抗性で予後不良である。抗ARS抗体が陰性で筋症状やCKの上昇も軽度でヘリオトロープ疹やゴットロン徴候などの典型的な皮疹がある筋症状を伴わない皮膚筋炎(Amyopathic Dermatomyositis)では急速進行性の間質性肺炎を合併しやすい。組織学的所見としてはDADを呈し、ステロイドに抵抗性で予後が不良である。

ことがあり、生命予後を左右する。

悪性腫瘍の合併:一般人口と比較し、DMで約3倍、PMでは2倍弱合併しやすい。皮膚筋炎で悪性腫瘍を発症する場合と、悪性腫瘍の随伴症候群として皮膚筋炎を発症する場合がある。原因悪性腫瘍としては、日本では、胃癌が多く、欧米では大腸癌が多い。

155/140抗体(抗TIF1-γ:transcriptional intermediary factor 1-gamma抗体):DM以外の膠原病ではほとんど検出されず、悪性腫瘍合併のDMにおいては50%以上で陽性となる。

 

検査:筋症状が顕著である症例では筋原酵素である血清CKやクレアチン、ミオグロビン、アルドラーゼの上昇がみられる。ASTALTも筋原酵素であるため、肝機能障害を除外することも必要である。

自己抗体:PM/DMに特異的に検出されるJo-1抗体の陽性率は20%前後である。本抗体はアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)の一つであるヒスチジルtRNA合成酵素である。

近年他のARSに対する複数の子自己抗体が同定されさまざまな検討が行われている。これらの抗体陽性群は、陰性例に比べ、関節炎やIP、皮膚病変などにおいて臨床的な特徴がみられ、抗ARS抗体症候群として分類されている。

難治性症例で抗SRP抗体、clinically amyopathic dermatomyositisCADM)で特異的にみられる抗CADM-140抗体、shawl signとの関連が報告されている抗Mi-2区小田井、強皮症とのオーバラップ症例で検出されやすい抗PM-Scl抗体や抗Ku抗体などが知られている。

http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000065.html

臨床リウマチ.25:149-158,2013から引用

 

筋電図では、安静時に線維性攣縮、positive sawtoothed potentialを示し、随意収縮ではcomplex polyphasic short durationを認める。機械的な刺激を加えると、pseudomyotonic potentialsなど筋原生変化を主とした所見を認める。

MRIの選択的脂肪抑制法であるSTIR法で、筋肉の炎症部位に一致して高信号を呈する。

筋生検でPMでは、炎症部位の筋線維の壊死所見とCD8陽性T細胞の浸潤がみられる。DMでは、筋束周囲の壊死像と血管周囲へのCD4陽性T細胞の浸潤がみられることが多いとされているが、組織所見のみでPMDMを区別することは不可能である。

 

治療:基本的にはステロイド(体重あたり0.51.0㎎)を中心として免疫抑制剤を組み合わせて投与する。

 

予後:

肺病変や悪性腫瘍などの合併症の有無により予後は大きく左右される。

全症例の5年生存率は、約80%前後とされる。悪性腫瘍の合併がなければ、5年生存率は90%、10年生存率は80%。本症の再発率が6割とする報告もあるので、再発や病態の維持に留意しつつ、肺病変や悪性腫瘍の合併に警戒して診察・検査を行っていく必要がある。

 

指定難病 皮膚筋炎/多発性筋炎

http://www.nanbyou.or.jp/entry/4079

順天堂大学医学部付属順天堂医院膠原病・リウマチ内科

https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_10.html

ウィキペディア:皮膚筋炎

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%AD%8B%E7%82%8E

 

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

カレンダー

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
お問い合わせ:045-313-5055
  • RSS配信
  • RSSヘルプ
pick up
pick up
アクセスタイトル

■住所
〒220-0073
神奈川県横浜市西区岡野2-5-18

■診療時間
9:00~12:30 / 14:30~18:30
※土曜は13:00まで診療となります。
休診日は水曜、金曜午後、土曜午後
日曜、祝祭日となります。

■電話番号
045-313-5055

アクセスはこちら
qrコード