その他

2019年3月18日 月曜日

人工知能と医療 三宅 淳 教授

2019年3月16日 
演題「人工知能と医療:その特性と応用可能性」
演者:大阪大学国際医工情報センター 特任教授 三宅 淳 先生
場所:NEXUS HAYAMA 国際会議場
内容及び補足「
18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第一次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第二次革命、1970年代初頭から電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション科である第三次産業革命に続き、ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)の発達により、さまざまな経済活動などを逐一データ化し、それらのデータをインターネットなどを通じて集約したうえで、分析・活用することにより、あらたな経済価値が生まれている。こうした技術革新を第四次産業革命という。
1: IoT(Internet of Things:インターネットとつながる仕組みや技術)及びビックデータ:工場の機械の稼働状況から交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで新たな付加価値が生まれている。
2 :AI(Artificial Intelligence:人工知能):人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素をすべて与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっている。加えて、従来のロボって技術も、さらに複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっている。
こうした技術革新により、①大量生産・画一的サービス提供からここにカスタマイズされた生産・サービスの提供、②既に存在している資源・資産の効率的な活用、③AIやロボットによる十歳人間によって行われていた労働の補助・代替えなどが可能となる。企業などの生産者側からみれば、これまでの財・サービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性があるほか、消費者側からみれば、既存の財・サービルを今までよりも低価格で好きな時に適量購入できるだけでなく、潜在的に欲していた新しい財・サービスをも享受できることが期待される。

こういった現状にある日本社会は、既にモノづくりの社会ではなく、情報を輸出している社会になっている。
我が国の経常収支は2014年には2兆6458億円の黒字と1985年以降細小となり、4年連続で黒字幅を縮小している。
貿易収支は、2011年の東日本大震災の影響による鉱物性燃料輸入の大幅な増加による赤字転化とともに赤字幅が増加している。


米国の推移をみると同様に貿易収支は大幅な赤字のままである。

イギリスも同様であり、

フランスもそうである。

しかしドイツは物を作って輸出している。

中国も同様にものを輸出している。

韓国も同様である。

各国の経常収支構造を比較すると、貿易収支の状況によって大きく二つの方に分けられる。
ひとつは、貿易収支黒字を背景に経常収支も黒字となっているもので、中国や2000年代の日本、2010年代のドイツ、韓国がこれに含まれる。もう一つのグループは、大幅な貿易収支赤字により経常収支も赤字となっているもので、米国、英国、フランスがこれに該当する。

http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2015/2015honbun/i1120000.html

参:国際収支統計では経常収支と資本移転等収支、金融収支に大別され、それに誤差脱漏が加わる形になっている。経常収支は貿易・サービス収支と第一次所得収支、第二次所得収支に区分されるが、第一次所得収支は旧統計の所得収支、第二次所得収支は旧統計の経常移転収支から名称が変更したものである。資本移転等収支は旧統計の資本収支に統合されていたその他資本収支であるが、新統計では大項目に変更されている。そして.嗅資本収支は外貨準備増減と統合されて金融収支となった。
経常収支:財貨やサービスなど実物取引の記録
貿易収支:輸送、旅行、その他サービス(委託加工サービスおよび維持修理サービス、建設、保険・年金サービス、金融サービス、知的財産権等使用料、通信・コンピューター・情報サービス、その他業務サービス、個人・文化・娯楽サービス、公的サービス等)があり、それぞれについて資金の受払いが計上されている。
第一次所得収支:生産過程に関連した所得及び財産所得で、雇用者報酬と投資収益、その他第一次所得で構成される。雇用者報酬には非居住者が運航する船舶や航空機で働いている居住者乗務員が受け取る給与など自国以外で稼いだ報酬があり、投資収益には金融資産提供の対価である配当金や利子等が計上される。
第二次所得収支:賠償や贈与のように対価を伴わない一方的取引のうち、相手国の経常移転となるものが計上される。具体的には、食料、医療品、衣料などの無償資金援助、外国人労働者の本国送金などである。ここで「移転」とは当事者の一方が経済的価値のあるもの(財貨、サービス、金融資産、非金融非生産資産)を無償で相手方に提供する取引をいう。う。

日本は物を作って売っている国ではもはやないのである。
ノーベル賞受賞者もアメリカに次ぎ、日本人は17人で英国の16人よりも多い。それだけ多くの人材が優れた研究を行い、知的財産を作り上げていると言える。
(調べてみましたが、この数字が該当するものが見当たりませんでした。)
参:1901年から2018年までのノーベル賞受賞者数。
1位 アメリカ271人(物理学賞69人、科学賞57人、生理・医学賞71人、文学賞9人、経済学賞46人、平和賞19人)
2位:イギリス87人(物理学賞22人、科学賞24人、生理・医学賞23人、文学賞6人、経済学賞7人、平和賞5人)
3位:ドイツ82人(物理学賞25人、科学賞25人、生理・医学賞18人、文学賞8人、経済学賞1人、平和賞5人)
4位:フランス55人(物理学賞10人、科学賞9人、生理・医学賞12人、文学賞11人、経済学賞3人、平和賞10人)
5位:スウェーデン29人(物理学賞4人、科学賞4人、生理・医学賞7人、文学賞7人、経済学賞2人、平和賞5人)
6位:日本26人(物理学賞11人、科学賞6人、生理・医学賞5人、文学賞3人、平和賞1人)
https://xn--p8jjyp8b9p.com/nobelprize-country-ranking

世界に冠たる企業であるソニーの売上内容を見てみると第一位となっている部門は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)であり、次いで金融、ホームエンタテイメント&サウンド(HE&S)である。

https://www.businessinsider.jp/post-166667

モノづくりにこだわり続けたパナソニックとの差は歴然としている。
総売り上げを見てみると
ポケモン4兆2000億円とスターウォーズ 200億ドルやハリー・ポッター 200億ドルをはるかにしのいでいるのである。

参:市場規模・総売り上げ
ポケモン 6兆円以上(2017年3月末現在)
スターウォーズ 419億7900万ドル(2015年時点。約5兆778億円)
アンパンマン 1500億円以上(2014年時点。30年間のグッズの年間市場規模。30年間の合計で4兆5000億円以上)
くまのプーさん 年間50~60億ドル(2002年からの年間売上。2006年までの5年間で約3兆円)/57億ドル(2010年、年間、全世界。約5130億円)
ハリー・ポッター 250億ドル(2016年時点。約2兆6100億円)
トランスフォーマー(映画、シリーズ全体) 2兆円
コールオブデューティ(シリーズ全体) 150億ドル(2015年時点、全世界。約1兆8000億円)
バットマン 約212億5000万ドル(コンテンツ全体の売上。約1兆7860億円)
スペースインベーダー 139億ドル (2015年。約1兆6680億円) 
ハローキティ 3000億円/4000億円(1996年~1999年、年間売上。4年で1兆6000億円)/年間50億ドル(2013年、約5000億円)/年間70億ドル (2017年、約7200億円)
マリオ 153億9640万ドル(2013年時点。約1兆5400億円)
パックマン 128億ドル (2015年。約1兆5360億円)
トイ・ストーリー(1~3) 約140億ドル(商品売上。約1兆4800億円)
スポンジ・ボブ 130億ドル(2014年時点。約1兆4300億円)/120億ドル(2015年時点。約1兆4100億円)
マーベル・シネマティック・ユニバース 120億ドル (2017年時点。約1兆3500億円)
ドーラといっしょに大冒険 130億ドル(2014年時点。約1兆3300億円)
ザ・シンプソンズ 120億ドル(2014年時点。約1兆2800億円)
ストリートファイター 106億ドル (2015年。約1兆2720億円)
ライオンキング 約101億6800万ドル(コンテンツ全体の売上。約1兆1720億円) 
ファイナルファンタジー 102億7500万ドル(2017年時点。約1兆1500億円)
ウルトラマン 74億ドル近く(1966年~1987年。1987年当時のレートで約1兆700億円)
スター・トレック 100億ドル(2016年時点。約1兆500億円)
http://wiki.fdiary.net/animesales/?%BB%D4%BE%EC%B5%AC%CC%CF%A1%A6%C1%ED%C7%E4%BE%E5

Deep Learning(深層学習)

これやこの 人工知能学びても 知れば知るほど わからぬものなり
2017年5月27日人類最強と言われていた囲碁の棋士:(カ・ケツ)にGoogle傘下の英国・Deepmind社が開発した囲碁AI・AlphaGo(アルファ碁)が勝利した。元来、囲碁はAIにとって、最も難しいゲームの一つといわれていた。今までの差し手を場合分けして、ひたすら計算する形では、まだ十年近くは名人には勝てないと言われていたので世界中に衝撃が走った。Deep Learningのが採用され飛躍的な進歩をとげた。2017年10月19日発売のNatureにその研究論文が掲載された。
https://deepmind.com/blog/alphago-zero-learning-scratch/

NVIDIA Corporationが1993年にJen-Shun HuangがChris Malachowskyらとともに設立した会社で、コンピューターのグラフィックス処理や演算処理の高速化を主な目的とするGPU(Graphics Processing Unit)を開発した。1999年に発売されたPC用の廉価なGPUを搭載した「GeForce 256」でその地位を不動のものとした。
人工知能制作会社の勝者ともいえる会社で、現在東大理3からも、年に数名入社している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/NVIDIA

こういった開発のおかげで、画像から文章を生成したり、文章から画像を生成したり、人の顔から画像を想像することは簡単にできるようになった。
「黄色い胴体、黒い羽、短いくちばしの鳥を書いてください。」という文章からAIが作り出した画像である。

https://news.microsoft.com/ja-jp/2018/01/25/180125-drawing-ai/

この逆の操作も問題なく精密に行うことができる。スマートフォンで写真を撮った花が何の花かを教えてくれる機能に利用されている。
人の顔の年齢変化も簡単に作成可能である。

https://www.technologyreview.jp/s/29287/neural-network-learns-to-synthetically-age-faces-and-make-them-look-younger-too/
男性の顔を女性に、女性の顔を男性に変化させることも可能である。

スパー・コンピューターは、ある分野に特化してつくられた膨大な量のデータをできるだけ早く行う目的で作られる。天体計算や地震予測、株価や為替を含めた経済分析などの一つの分野に特化したもので、あらゆるジャンルの分析をするコンピューターはメインフレームといわれ、近年ではクラウド・システムとの連携もすすめられている。
AIの医療への応用として、Deep Mind Healthが目の病気の診断や乳癌を予測するアルゴリズムの開発を行っている。

AIは、「人工的に人間の知能を模倣するための概念および技術」であり、カテゴリー分類することである。
Deep Learning(深層学習)は、人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる機会学習の手法の一つとして発達し、AIの急速な発展を支える技術でもある。
人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したシステムであるニューラルネットワークがベースになっている。
一言でいえばカテゴリー分類器であるといえる。
得意分野は、画像、DNA、遺伝情報、化合物、運動、文章、カルテ情報などである。
子供が成長する過程で、家の周りや動物園、写真、漫画などで「犬」として繰り返し見たものを情報として、新たに目の前に出現した動物・写真・絵を「犬」として認識する過程と同じであるといえる。カテゴリーの分類が基本であり、女性的な脳の働きである。
男性の場合には往々にして、デカルト理論に支配されており、その思考経過は:測定(数学的関係性)→理論(既知の理論との比較)→認識(人間認識)といった形で表現できる。AIによる認識は:カテゴリー分類(認識)→認識、であり、数学は不要である。
天候の予測を自分の教室で実際やってみたが、世界の24都市の過去の気温変化の観測データをもとに計算するとほぼほぼ実測値と一致する結果となった。
AIの医療への応用としていろいろなものが取り上げられている。
手に3㎏の重りを持って歩行してもらうと手の振れが減少する。体の患側ポイントを多くすれば、1㎏の重さを持ってもらうだけで検出可能であるが、背負った場合には3㎏ほどの重さが必要である。この測定は、テロリストの検出に応用できる。
現在心疾患の人の歩き方の変化を研究している。
リハビリテーションにも応用できる。
また顔の表情や視線から症状把握や思考を推察することも可能となるかもしれない。

AIは見えない意味を掘り起こせるか?
Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門「第8回診断する」」の放送は、興味深いものだった。
https://amagomago.hatenablog.com/entry/455136227.html

大量の画像データをもとにDeep LearningしたAIを利用することが医療においても活用されつつある。実際FDAが眼底検査の結果を診断に利用してよいと認定している。

皮膚がんの診断にも利用され、129450の画像もとに解析し下図の真ん中の部分に分類されたものがメラノーマと診断された。

AIによる診断と平均的な皮膚科医や専門医による診断を比較してみると、診断精度はAIに軍配が上がった。

Nature volume 542, pages 115-118 2017

大腸内視鏡像でポリープと癌の選別は正診率98%、感度97%と専門医に匹敵する制度を示した。
https://www.amed.go.jp/news/release_20181210.html

ラドバウド大学医療センターなどが提供したリンパ節の399枚のスライド標本と20人の乳癌患者から摘出された108枚の画像をもとに、乳癌患者のリンパ節転移を診断した研究では、99.3%を正確に見分けられたと報告された。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2018ima/20181024-1.jpg

その他にウイルスの解析も精度がよく、病院の運営・経営の分析やインシデントの発見と対策にも有用である。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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