循環器系

2017年8月 8日 火曜日

TAVI 大野洋平 先生

2017年7月1日 
演題「Supra-annular自己拡張型デバイスが有用であった大動脈二尖弁のTAVIの1例」
演者:東海大学医学部内科学系 循環器内科講師 大野洋平 先生
場所: 横浜ベイホテル東急
内容及び補足「
講演では二尖弁患者のATVI手術前の詳細な検査を提示されましたが、今回の記録では提示できず、TAVI一般的な情報を、いろいろなサイトで情報を補って記載する形路なりました。

大動脈弁狭窄症:血液を心臓から体に送り出す左室と大動脈を隔てている大動脈弁の動きが悪くなり、全身に血液を送り出しにくくなる疾患で、軽症では症状が出にくく、症状が出た時には、かなり重症になっている状況で発見されることが多い疾患である。


狭心症のような症状が出た後では5年、失神が見られたら3年、心不全で入院するようになると2年の予後だといわれてきた。
Supplement V to Circulation, Vols.XXXVII and XXXVIII, July 1968:V61-V67. CHEST. 1998;113(4):1109-1114.
Heart. 2000;84:211-21.
治療法としては、軽症のうちでは、生活習慣の改善を指導し、内科的な薬剤での治療を行うが、ある程度重症になってくると、外科的な治療で大動脈弁を置換する手術を行うことになる。

大動脈弁の手術例は年々増加し、2012年には年間13000人以上の人に行われるようになった。
TAVIと外科的弁置換術(SAVR)における術後一年後の合併症発生率の比較は以下のごとくであり、初期における人工弁の場合、周囲の漏れは高頻度に認められた。

http://www.onxvalve.jp/Clinical%20Update40.pdf


生体弁と人工弁を比較すると以下の様な特徴がある。

http://www.benmakusho.jp/cure/06-operation02/index.html



開胸手術に耐えられない高齢者などに行える治療法として開発された治療法の一つに、TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation:経カテーテル大動脈弁治療)があり、日本においては2013年10月に保険適応となった。
TAVIのエビデンスを以下に示す。

現在、TAVIは世界70か国以上で実施され、30万例以上の大動弁狭窄症患者がこの治療を受けている。



アプローチの仕方は、心尖部からのものとそれ以外のものに分けられ、以下のようなものがある。

それぞれのアプローチの仕方を下記に示す。

https://www.mitsuihosp.or.jp/tavi/
それぞれの治療の特徴は、症例の重症度や合併症、施設・術者により治療時間に差はあるが、以下のようになっている。

治療の特性は以下の様な差がある。

http://tavi-web.com/#threeWays_1

ATVIを推奨するのが外科的大動脈弁置換術(SAVR)を推奨するのかは、上記のようなそれぞれの治療の利点、欠点を考慮して決定することになる。

2014年日本循環器学会ガイドラインでは、以下のようにTAVIの適治療に対して非解剖学的、解剖学的基準を設けている。
非解剖学的TAVIの適応

解剖学的TAVIの適応

http://tavi-web.com/professionals/registry/index.html


使われる人工弁にも二種類があり、バルーン拡張型弁と自己拡張型弁がある。

http://www.keio-minicv.com/tavi

日本においても他施設レジストリーとしてOCEAN-TAVI redistryを立ち上げ、2016年7月時点で14施設1613例が登録された(日本TAVI症例の30~40%)。
全症例の30日死亡率は1.7%、大体動脈アプローチ群で1.6%と死亡率が低かった。

http://ocean-shd.com/performance/
一年死亡率は、全症例で約10%、弁の留置経路別では、大体動脈アプローチ群が9.1%、心尖部アプローチ群が19.3%であったが、非心臓死の累積発生率は、大体動脈アプローチ群で高かった。(Nikkei Medial 2017.06 Book in Book p003-004)
現在TAVI便の長期使用成績は少ないが、TAVI弁と同じ牛心膜生体弁をSAVRで留置した場合の耐久性は、20年の長期成績が報告されている(Ann Thorac Surg. 2015;99:831-7)。
1984年から2008年にウシ心膜生体弁によるSAVRを受けた2659例(平均年齢70.7歳)、を平均追跡期間6.7年、最長20年以上にわたって追跡した。
20年生存率は14.4%、弁の構造的劣化(SVD)回避率は、15年後78.6%、20年後448.5%であった。
20年後のSVD回避率を手術時の年齢別に解析したところ、60歳以下37.2%、60歳超~70歳が53.0%であった。SVDによる再手術回避率は、15年後8430%、20年後54.3%で、弁の耐用年は19.7年と推定された。
現在使用されている人工弁の耐久度はこれからの研究を待たなければならないが、以前のものよりも良くなっているし、今までの研究成績をみると8年までは保証できる。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年4月17日 月曜日

アルドステロン・ブレイクスルーを考える治療 瀬在明

2017年4月12日 
演題「Aldosterone Breakthroughを考える Drug Effectを考慮した新たな循環器治療~臓器保護をいかに行うか~」
演者: 日本大学医学部外科学系心臓血管外科学分野講師 瀬在 明 先生
場所: 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ
内容及び補足「
近年心臓外科の手術手技・機材の進歩が目覚ましく、心臓手術後の患者さんの予後が平均寿命を超えてきている。
心臓の手術:特に心不全患者さんの手術をする際にレニンアンギオテンシン系(RAAS系)の関与が大切である。
肝臓や肥大化脂肪細胞から分泌されるアンジオテンシノーゲンを、傍糸球体細胞から分泌されるレニンがアンジオテンシン1に変換する。
アンジオテンシン1は、肺の毛細血管内皮に存在するACE(アンジオテンシン変換酵素)によって、アンジオテンシン2に変換される。
ACEはキニン-カリクレイン系ではキニナーゼ2と呼ばれていて、ブラジキニンを分解する。
アンジオテンシン2はAT1受容体を刺激して、アルドステロン分泌を亢進させ、遠位尿細管のNa+の再吸収を増加させ、Na+,H2Oの貯留を起こさせ、副腎髄質に作用し、アドレナリンの放出を促し、血管に作用して血管を収縮させる働きがあり、これら作用の結果体血圧上昇がおこる。

http://kusuri-yakugaku.com/pharmaceutical-field/pharmacolory/%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%83%B3-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%B3-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%B3%E7%B3%BB%EF%BC%88raa%E7%B3%BB/
アルドステロンの有害作用を見てみると、いろいろな観点から高血圧のみばかりでなく、いろいろな臓器障害をきたす。

https://academic.oup.com/cardiovascres/article/61/4/663/332042/Review-of-aldosterone-and-angiotensin-II-induced
治療としては、ACEI、ARB、抗アルドステロン薬、ハンプ製剤がある。
ハンプはα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドの受容体に結合し、グアニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPを増加させ、血管を拡張させ心臓の前負荷・後負荷を軽減させる心不全治療薬である。また、アルドステロンやバゾプレッシンに拮抗することで水の再吸収を阻害し利尿作用を示すといわれている。

投与方法はカルペリチドとして0.1μg/㎏/minで持続静脈内投与し、病態に応じて0.2μg/㎏/minまで増量可能な薬剤である。
心房性利尿ペプチドにはBNPもある。BNP(Nesiritide)を7141例の急性心不全患者に用いて検討した結果では、6時間後の呼吸困難は改善したが、30日以内の心不全の再入院と死亡には差がなく、腎機能にも影響しなかった。
よくよく論文を読んでみると、2μg/㎏をBolus投与であり、このことが有効性を導けなかったのではないかと個人的には考えている。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1100171#t=article


1216例の急性冠不全症候群患者に対して、緊急PCI療法を行った直後からhANPを追加投与した群と投与しない群で比較検討すると、梗塞サイズを減少させ、駆出率の改善が見られた。

hANPを使用した群では、Cardiac Deathと心不全はほとんど見られなかった。

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(07)61634-1/fulltext

人工心肺装置cardiopulmonary bypass (CPB)を回す心臓手術の術中よりhANPを使った群と使わない群で比較検討してみた。
そうすると血中のレニンやアンジオテンシン2の濃度が抑制され、GFRが維持され、尿量が確保され、利尿剤の必要量が減少し、胸水量も減少した。



Outcomeとしては、早期や長期の死亡率には差が出なかったが、5~8年の心臓死はhANP投与群で1.5%だったのに対してControl群では14.5%と有意な差を認めた。

(A) The overall survival rate showed no significant difference between the 2 groups. (B) The cardiac death-free rate was significantly higher in the human atrial natriuretic peptide (hANP) group than in the placebo group. (C) The cardiac event-free rate was significantly higher in the hANP group than in the placebo group. Solid lines = hANP group; dashed lines = placebo group.
http://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(99)01305-3/fulltext


心臓バイパス術を行なった504例をhANPの少量持続投与を併用するかどうかの二群に分けて影響を検討してみた。

クレアチニンクリアランスは、hANP投与群では手術当日の低下も認めず、プラセボ群では4例透析が必要となったが、hANP投与群では1人もいなかった。

当然ANPを投与しているので術中から翌日にかけては高濃度になっており、Renin、アンギオテンシン2、アルドステロンの分泌は有意に低下しています。


http://www.onlinejacc.org/content/accj/54/12/1058.full.pdf

透析をしていないCKDを有する患者303例でCABGを行う際に、少量持続のhANPを使用した群とそうでない群の比較を行った。ではほとんどの症例で透析は不要であった。

生存率には有意な差は認めなかったが、心イベントの頻度では有意な差を認めた。



腎機能の変化でも、hANP groupでは、21.6 ± 42.8%の上昇であったの比べ、プラセボ群では、 71.1 ± 130.6%のクレアチニンの上昇であり、有意な差を認めた。

http://www.onlinejacc.org/content/accj/58/9/897.full.pdf

56歳の糖尿病患者で透析になってしまった患者さんにhANP 0.05μg/㎏/min投与により200ml/dayしかなかった尿量が2000-300ml/dayにまで増加し、血清クレアチニン値が8を超えていた人が2台に改善し、透析から離脱できた。
参:この症例の経過を示せないので、以前瀬在先生が挙げられた、急性大動脈解離の患者さんの経緯を示します。
突然の胸痛と左下肢麻痺を呈した急性大動脈解離の患者さんに緊急手術を行った後にMyonephropathic Metabolic Syndromeとなった。

Preoperative computed tomography scan shows acute aortic dissection (arrow, right iliac artery)
術後6日までは0.1μg/kg/minのスピードでhANPの投与を行い、その後漸減した。2日目にはCK濃度は 118380U/Lにまで上昇したが、hANPの投与により、尿量は10,000ml確保でき、血清Creatinine値も5日目に3.76mg/dl をピークに血液透析を行うこともなくその後低下し、正常域にまで改善した。
下肢のチアノーゼ、腫脹、感覚異常、動作障害は徐々に改善し、30日後には後遺症もなく退院できた。


http://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(09)00356-7/fulltext

レトロスペクティブに透析をしている128例の心臓手術をされた患者の予後を、hANPを投与されていたかどうかで比較してみた。入院中の死亡率は1.6%に対して12.3%、2年後の生存率は90.5%に対して76.9%、2年後のMACCE (major adverse cardiovascular and cerebrovascular events-free rateは90.5%に対して67.7%と明らかにCarperitide (hANP)で有意に改善していた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/atcs/22/4/22_oa.15-00239/_pdf
以上のことから心臓術後の予後を良くするのにはアルドステロンの有害作用を抑える必要があることがわかる。特に1999年に発表された論文は衝撃的であった。
6か月以内にNYHAのClass Ⅳを呈したことがあり、エントリー時にⅢまたはⅣの1663例、左室駆出率35%以下のACE阻害薬とループ利尿剤で治療を受けている慢性心不全患者にスピロノラクトン追加投与とプラセボ群での比較試験である。
プ ラセボ群では372名(44%)の死亡に対し、スピロノラクトン群では283名(34%)の死亡が確認され、27%の死亡減少効果が認められた。非致死的 再入院は、プラセボ群で764名(91%)、スピロノラクトン群で663名(81%)、入院はそれぞれ1317回と1088回で22%の入院減少効果を認 めた。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199909023411001

急性心筋梗塞患者に緊急CABGを行った105例の予後に影響する因子を検討した。
hANPの治療を行わなかったもの、抗アルドステロン薬を使用していないもの、三か月後のBNPが200pg/dLを超えるもの、3か月後のアルドステロンが100を超えるものが因子として取り上げられた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/atcs/18/4/18_oa.11.01821/_pdf

意外だったのはARB使用例でイベントが多かったことである。
そこでイベントが起こった人のカルテを片っ端から調べてみた。わかったことは、重症の高血圧患者で、そのほとんどの症例でカンデサルタンが投与されていた。つまりアルドステロン・ブレイクスルー現象の影響ではないかということを考えた。
アルドステロン・ブレイクスルー現象:ARBやACEIでアルドステロンを抑えていても、何らかの原因でアルドステロンが増加するを現象いう。


Spat A et al. Physiol Rev 84: 489-539, 2004より一部改変
注) アルドステロン・ブレイクスルーの要因として、 1)非RASによるアルドステロン産生に加えて、2)不十分なACE活性阻害、3)非ACE経路を介したアンジオテンシン2産生(ACE阻害薬の場 合)、4)アンジオテンシン2のブレイクスルー、5)AT2受容体を介したアルドステロン・ブレイクスルーなどが考えられ、ACE阻害薬とARBとでは アルドステロン・ブレイクスルーの要因が異なる可能性もある。
メカニズムとして、
1. 「ACEI」によって大量に蓄積したアンジオテンシン1がフィードバック作用でレニン活性を上昇させ、レニン・アンジオテンシン系全体を活性化させる。
2. レニンの前駆物質であるプロレニンがアンジオテンシンを介さないルートでアルドステロンを産生する。

実際のアルドステロン・ブレイクスルー現象の頻度を調べた報告を見てみると、6か月以上の経過での報告が多く、おおむね40%程度である。


ARB のCandesartanからOlmesartanへの変更で血圧を含めどのように変わるかを検討してみた。アンジオテンシンⅡもアルドステロンも、1年 たっても減少したままであり、アルドステロン・ブレイクスルー現象はOlmesartanでは認められないと考えられる。

左室重量やBNPも約7割の値に低下した。

左室の重量とアンジオテンシン2濃度には相関関係は認めないが、アルドステロンとは相関が認められ、アルドステロンの低下を維持することが、心筋の肥大抑制になる可能性がある。

Olmesartanに変更後、一年たっても血圧は有意に低下していた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/atcs/17/5/17_oa.11.01691/_pdf

1年以上Candesartan(ブロプレス)を内服している50例の安定している本態性高血圧患者にOlmesartanに変更する群と継続する群で比較検討した研究がある。
黒く塗りつぶしてあるのがブロプレスからオルメテックに変更したもので、白抜きはブロプレスのままのデータである。アルドステロンの値は変化しなかったが、3カ月以降アンギオテンシン2の濃度は低下している。


心筋量はオルメテック投与群で心肥大抑制効果が認められた。

http://www.nature.com/hr/journal/v33/n2/full/hr2009192a.html

アンギオテンシンの作用はAT1受容体を介したものがよく知られている。

http://www.nature.com/hr/journal/v32/n7/full/hr200974a.html

それ以外にもAT2受容体を介したもの、MAS oncogeneを介したものもあり、これらの受容体を刺激する物質としてアンギオテンシン1-7も注目されてきた。ACEを介したAT1活性化は臓器障害をきたし、ACE2を介したAT2およびMAS活性化は臓器保護をもたらすと考えられる。


http://www.nature.com/hr/journal/v32/n7/full/hr200974a.html

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の概略図を書くと下図のようになります。


武田薬品からスーパーARBが出るといわれ、そのスーパーARBであるアジルバと今までのARBで一番有効であると思っていたオルメテックとの効果の違いを確認したくて臨床試験を組んだ。アルドステロン・ブレイクスルー現象が3~6ヶ月でみられると考えていたので、それぞれの薬剤を1年間投与してからクロスオーバする試験を考えた。試験デザインは下図のようになる。

降圧効果に有意な差は認めなかった。つまり降圧効果についてはアジルバもオルメッテクも非常に良い薬であるということである。

しかし、臨床で使っていて、ときどきアジルバで血圧があまり下がらない人がいることに気づいていた。実際この研究のデータを見直してみると、カルシウムブロッカーの上乗せをした症例は、アジルバは12例20回、オルメテックは4例4回と有意な差を認めた。特に半年以降において、アジルバで追加投与例が多くなった。その原因の一つとしては、この試験のエントリーが5月から7月にかけえて行ったので、半年後は寒い時期にあたったため、追加投与が必要であったと考えられる。

1年後のレニン濃度には有意な差を認めなかったが、アンジオテンシン2とアルドステロン値には有意な差を認めた。

そして、左室重量においても有意な差を認めた。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/atcs/22/3/22_oa.16-00054/_pdf


この差の原因の一つとして、アルドステロン・ブレイクスルー現象が考えられるので、武田薬品の人にアルドステロン・ブレイクスルー現象についてみると、臨床試験ではその湯女変化はなく、レニンもアルドステロンも有意な変化はなかったといわれた。データを見てみると、レニンは1.89±2.08→2.16±2.77、アルドステロンは25.8±67.9→30.8±46.6と確かに有意な変化とはなっていなかった。しかし残念なことに三か月後のデータしか測定されておらず、長期間の変化は不明であった。
薬学に詳しい先生にいろいろと聞いてみたところ、構造式も非常に似ており、それほどの差が出るとは思えないというお話を滔々とされた。
今後の研究を待ちたいところである。
アジルバ構造式                                                    オルメテック構造式
 

アジルバ代謝産物                                                オルメテック代謝産物

https://www.takedamed.com/mcm/medicine/download.jsp?id=151&type=INTERVIEW_FORM
https://www.medicallibrary-dsc.info/di/olmetec_tablets_5mg/pdf/if_olm_1702_21.pdf

生活習慣病に伴って生じるSleep Disordered Breathing(SDB)の治療が循環器疾患の予後に影響しているが、心臓術後の患者さんに対する研究はほとんどなされていない。
1005例の心臓手術が行われた患者さんで、検討してみた。
227例22.6%ではSDBを認めず、361例35.9%で軽度、260例25.9%で中等度、157例15.6%で重度のSDBを認めた。
重症度が増すにつれ、Ejection fractionは低下し心房細動は高率に出現し、BNPも高値を呈した。
心臓術後の心房細動は、SDBがないグループでは、28例13.6%に、軽度のSDBでは43例13.5%、中等度のSDBでは74例31.9%に、重度の場合には73例52.5%に認めた。
これらの人にCPAPやASVを導入したら、熟睡感が認められ、昼間すっきりし、泌尿器科受診しても改善しない夜間尿の人(2割程度いる)が改善し、慢性心不全の急性増悪で入院する人が減少した。
導入前後でホルター心電図比較を見てみると夜間の不整脈が有意に減少していた。
http://www.internationaljournalofcardiology.com/article/S0167-5273(16)33515-X/abstract

心臓手術後の経過で悪化しやすい人たちはCTR80%以上、EF20%以下、MR4度といった人たちである。
NYHA3度の21例の人たちに2週間ごとにhANPを0.05μg/kg/minで5時間の外来点滴を行っている。
3例は4度に悪化したが、変わらない人3例、2度に改善が8例、1度になった人が7例という結果であり、6年下の死亡例は2例だった。
最近共感してくれた医師が、在宅での少量持続hANP投与を行っていて、今後広まっていくことを期待している。

参:ASV(Adaptive-SeroVentilator):マスク式人工呼吸器の一種。

従来のNPPVとは異なり、患者の呼吸を学習し、その呼吸パターンに同調して滑らかに圧力を供給する独自の機能を装備することにより、陽圧呼吸治療に対する忍容性の向上を実現した治療器。

テイジンでは、適切な患者教育のための勉強会の支援や患者教育資料の提供も行っている。

http://medical.teijin-pharma.co.jp/zaitaku/product/asv/index.html

心不全の治療薬としてTolvaptan:Vasoprssin V2受容体ブロッカーがあるが米国での臨床試験で生命予後を改善しない結果となった。おそらくRAAS系を抑制しないためだと思われる。

file:///C:/Users/PCUser/Downloads/joc70029_1319_1331.pdf

参:Tolvaptan:サムスカ 電解質バランスを損なわず、自由水の排泄を促進させる選択的バソプレッシンV2受容体拮抗薬は、体液貯留が残存する病態や低Na血症の治療に有効な薬剤として期待され、開発された。
バソプレッシン受容体:


作用機序は集合管にあるV2受容体に作用して水の再吸収を阻害する。

心不全患者に投与して、30㎎、45㎎、60㎎の3群ともに体重の減少を認めたが、容量依存性は認めなかった。

Circulation 2003;107(21):2690-6

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年4月 6日 木曜日

高血圧性臓器障害におけるミトコンドリア治療の可能性

2017年1月31日 
演題「高血圧性臓器障害におけるミトコンドリア治療の可能性」
演者:テンプル大学医学部生理学教授 江口 暁 先生
場所: 崎陽軒本店
内容及び補足「
おわび:江口先生はアメリカで医師として研修・研究してやり方についてもお話しいただけましたが、割愛させていただきました。
尚、講演の最後の所のミトコンドリアの実験結果の図表が探せず、うまく文章も書けなかったので、その部分は掲載できませんでした。

ペンシルバニア州はワシントンとニューヨークの中間に位置するアメリカ独立宣言文が作成された施設のある、日本における京都のような存在意義のある伝統的な町である。

フィラデルフィア美術館から望むダウンタウン風景
テンプル大学医学研究棟の8回に心臓血管研究部門があり、そこの階で研究している。

手前の部分は吹き抜けとなっており、一度足を運んだ人は、こんな環境で勉強したいと思われる。

http://www.ajconline.org/article/S0002-9149(03)00432-6/fulltext
米国の高血圧患者のうち80%が、病気のことを認知しており、48%の人の血圧がコントロールされていると考えられている。しかし、この血圧がコントロールされている人でも心血管リスクは高血圧がない人よりも50%もリスクが上昇していると考えられている。
http://hyper.ahajournals.org/content/66/5/927
ということは、血圧を治療するだけでは不十分で、高血圧に伴う脳卒中、心不全、腎不全などの合併症の発症を抑えることが重要であるということになる。
高血圧の臓器障害の機序にレニンアンギオテンシン系が関与しており、ARBやACEI投与により、臓器保護効果が期待できるし、臨床研究結果でよい報告も出ている。
血圧の上昇とは異なる系が臓器障害を招いている可能性があり、その機序を担う一つの重要な因子としてEGF receptorがある。
その機序として、AT2がAT1受容体に結合し、フォスフォリパーゼCとイノシトール3リン酸、ジアシルグリセロールを活性化し、またカルシウムの細胞内流入を増加させ、平滑筋の収縮が生じる。
AT1受容体は、またRhoA/Rho-kinase経路を活性化し、MLCPを抑制する。
その他にAT1受容体は、EGF受容体および、間接的に細胞分裂を促進する蛋白キナーゼ系の転写を活性化する。この経路が平滑筋の増殖・肥厚をもたらす重要な経路の一つである。EGFRからの流れをブロックすれば、血圧降下に関係なく、血管壁や心筋の肥厚を抑制できる可能性がある。

Signal transduction pathways after activation of AT1 with focus on the excitation-contraction coupling in vascular smooth muscle. The stimulation of AT1 activates phospholipase C (PLC) and produces inositol-1,4,5-trisphosphate (IP3) and diacylglycerol (DG). IP3 induces Ca2+ release from the intracellular stores through IP3 receptor (IP3R). AT1 also activates Ca2+ influx through channels on plasma membrane. The elevation of cytosolic Ca2+ concentration activates myosin light chain kinase (MLCK) and thereby phosphorylates myosin, which induces smooth muscle contraction. In addition to the PLC-derived DG, DG is also converted from phosphatidic acid produced by phospholipase D (PLD). DG activates protein kinase C (PKC). One of its substrates is a 17-kDa PKC-potentiated inhibitory protein of type 1 protein phosphatase (CPI17), which directly inhibits the activity of myosin light chain phosphatase (MLCP). AT1 also activates the RhoA/Rho-kinase pathway, which inhibits MLCP activity. CPI17 is also a substrate of Rho-kinase. The inhibition of MLCP causes a greater extent of myosin phosphorylation for a given elevation of Ca2+, resulting in the myofilament Ca2+ sensitization. AT1 transactivates EGF receptor and indirectly activates mitogen-activated protein kinase pathway. This pathway is one of the important pathways leading to smooth muscle proliferation and hypertrophy.
http://circres.ahajournals.org/content/93/11/1015

参:上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)
上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)は細胞の増殖や成長を制御するEGFを認識し、シグナル伝達を行うチロシンキナーゼ型受容体で細胞膜を貫通して存在する分子量170kDaの糖蛋白質である。
細胞表面の受容体にEGFなどリガンドが結合するとEGFRはリン酸化(赤)され、引き続きMAPK経路(緑)、JAK-STAT経路(黄)などの細胞内経路が活性化して、核内にシグナルを伝達する。その結果、細胞増殖、アポトーシス抑制、血管新生、浸潤、転移などが起こる。
Ras/Raf/MAPK(Mitogen-Activeted protein Kinase)経路は、主に細胞増殖と生存に関与し、PI3K(Phosphoinositide-3 Kinase)/Akt経路は細胞成長や抗アポトーシス、浸潤、郵送に関与する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E7%9A%AE%E6%88%90%E9%95%B7%E5%9B%A0%E5%AD%90%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

EGFRは、腎癌の50-90%、非小細胞肺癌の40-80%、前立腺癌の40-80%、頭頸部癌の30-100%、卵巣癌の35-70%、胃癌の33-74%、乳癌の14-91%において過剰発現が見られ、この過上発現がこれらの癌の予後不良因子であることがわかっており、EGFRブロッカーが癌治療薬として、研究開発され、臨床においても使用されている。
レニンアンギオテンシン系の昇圧物質であるアンギオテンシン2は高血圧、動脈硬化症、PCI後の再狭窄、心不全においても重要な役割を担っている。
アンギオテンシン2に対する受容体はAT1とAT2の二種類があり、AT1受容体は血管収縮、血管平滑筋増殖、細胞外マトリックス合成促進、心筋肥大、交感神経刺激作用を発揮し、AT2受容体は血管拡張、神経細胞増殖抑制、血管平滑筋細胞のアポトーシス抑制を介すると報告されてきた。
http://byoutaiseiri.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20110304141052-81B83E59607896E5F806508E38B087CC28ECC3C9C242C4AEE4A39F222D1D46D9.pdf

AT1受容体は複数のGタンパクに作用していろいろな反応を引き起こす。それ以外のチロシンキナーゼやセリン/スレオニンキナーゼ、MAPKも活性化させる。Ras、RhoやRacといった小さなGTP結合蛋白を認識する蛋白キナーゼはAT1受容体をとおして活性化される。これらの小さなGTP結合蛋白はアンギオテンシン2によりリモデリングされた心血管系において重要な働きをしている。

AngII activates EGFR through proHB-EGF shedding by a metalloprotease ADAM17. ADAM activation by AngII requires second messengers, such as Ca2+ and ROS, and may involve ADAM-interacting proteins, such as Eve-1 and PACSIN3, and phosphorylation by putative ADAM kinases. EGFR transactivation leads to hypertrophy and migration of VSMCs through the Ras/Raf/MEK (MAPK/ERK kinase)/ERK pathway and PI3K/Akt/mTOR (mammalian target of rapamycin)/p70S6K/eIF4E (eukaryotic translation initiation factor 4E) pathway. PDGFR transactivation induced by AngII may require ROS, thus leading to hypertrophy and fibrosis. The Rho/ROCK pathway activated by AngII is in parallel with the EGFR transactivation pathway. AngII activates Rho/ROCK through RhoGEF (PDZ, Vav), leading to vascular contraction, migration, hypertrophy, and inflammation. MLC, myosin-light chain; MLC-p, phosphorylated MLC; MLCP, MLC phosphatase; Mnk-1, MAPK signal-integrating kinase; PHAS-1, phosphorylated, heat and acid stable regulated by insulin protein-1.
http://www.clinsci.org/content/112/8/417

心筋肥大や線維化といった心血管系のリモデリグンの機序は、いまだ不明な点があるが、アンギオテンシンのこの作用は、血管ADAM17を活性化してその結果EGFRを活性化していることが想定される。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27480833

シェディング:細胞膜貫通型の蛋白質を細胞外の膜近傍で選択的に切断し、細胞外領域を可溶化するという翻訳後修飾機構であり、切断される蛋白質のみならずそれを発現している細胞の機能を比較的迅速にかつ不可逆的に制御できる極めて有効な分子機構。

http://www.careerpath-prj.keio.ac.jp/kanrinmaru/scholar/shirakabe/

参:ヘパリン結合型EGF様増殖因子:HB-EGF
HB-EGFは心臓や皮膚、肺の発生に関与し、個体発生や恒常性の維持に関与しているだけでなく、ガンや、心臓病、動脈硬化や高稀有圧などの様々な疾患に関与しており、EGFファミリーの中でも生理的、病理的に重要な役割を果たしている。
HB-EGFは1型膜蛋白質(N末端が細胞外)として合成され(下図a)、炎症サイトカイン、活性酸素、浸透圧ショックなどの様々な細胞外刺激によりシュディングを受け、分泌型(sHB-EGF)となって細胞外に分泌され、EGF受容体(ErbB1あるいはErbB4)と結合し、細胞内にシグナルを伝達するようになる。
sHB-EGFは、血管平滑筋細胞や線維芽細胞、表皮細胞などの細胞増殖や運動亢進をさせる。
また、HB-EGFは分泌型としてではなく、膜結合型(proHB-EGF)として細胞間のシグナル伝達蛋白質としても機能している。このジャクスタリンと呼ばれる細胞接着を介した細胞間シグナル伝達は上記分泌型シグナル伝達物質が離れた細胞に働くパラクリンとは異なり、接着している細胞だけにシグナル伝達をする。
その他にシュディング受けた後のC末端側断片(HB-EGF-CTF)が核内並行へ移行し、イントラクリン様式で種々の遺伝子発現を制御することも報告された。

HB-EGFのシュディングはTPA(12-O-テトラデカノイルホルボール13アセタート)などのホルボールエステルやCa2+イオノフォア、種々のG蛋白質共役型受容体リガンド、炎症サイトカイン、活性酸素、浸透圧ショックなどの細胞性ストレスなどの様々な外的要因により誘導される。TPAの場合はプロテインキナーゼC経路、G蛋白質共役型受容体リガンドの場合はRas-ERK経路、細胞性ストレスの場合はp38MAPキナーゼ経路という具合に、刺激の種類によって異なる細胞なシグナル伝達経路が関与していることが培養細胞の研究から判明した。

リゾホスファチジン酸やアンジオテンシン2、エンドセリンなどG蛋白質共役型受容体リガンドによるG蛋白質共役型受容体の活性化がRas-ERK経路を活性化し、HB-EGFのシュディングを誘導し、分泌されたsHB-EGFがEGF受容体を活性化し、さらにその下流で、Ras-ERK経路が活性化される。つまり、HB-EGFのシュディングのみならずHB-EGF自体の発現も誘導し、細胞増殖シグナル、移動促進シグナルの正のフィードバックが形成される。
この正のフィードバックループの形成が、心肥大や動脈硬化、高血圧、発癌などの病理にも深くかかわっている。
このHB-EGFのシュディングに関与する切断酵素としては、おもにADAM(a disintegrin and metalloprotease)ファミリーあるいは、マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)ファミリーに属するメタロプロテアーゼ(matrix metroprotenase)ファミリーに属するメタロプロテアーゼが示唆されている。
なかでもADAM17(TACE:TNF α converting enzyme)がその候補として有力視されている。


膜貫通領域を持たない分泌型変異HB-EGFを発現するノックインマウスを作成し、解析を行った。この分泌型変異HB-EGF発現ノックインマウスでは、HB-EGFはシュディングの過程を経ずに合成されると直ぐに分泌されることになる。一方の対立遺伝子のみ分泌型変異HB-EGF遺伝子に置き換わったキメラマウスあるいはそのF1ヘテロマウスは、胎生期あるいは生後すぐに死亡することが観察された。その発現系の特徴として、皮膚あるいは心室の著しい肥大など組織の過形成異常が認められた。
HB-EGFの切断部位のアミノ酸残基を置換することで切断されないようにした非切断型変異HB-EGFを発現するノックインマウスを作成し、その表現型の解析を行ったところ、多くの異常がHB-EGFノックアウトマウスと一致し、マウスの生体でのHB-EGFの機能発現にはシェディング過程が不可欠であることが分かった。これらの結果から、HB-EGFのシェディングは、正にも負にも厳密に制御されている必要があることが、生体レベルで明らかになった。
また、G蛋白質共役型受容体リガンドによるEGF受容体トランス活性化機構を介したHB-EGFのシェディング亢進が、心臓肥大、動脈硬化、高血圧、肺疾患、発癌などの種々の疾患病理とかかわっていることもHB-EGFのシェディング制御が生体の恒常性維持に非常に重要であることを裏付けるものでもあった。


シェディングが起こるか起こらないかによって、HB-EGFには三種類の分子形態が存在することになる。
起こらない場合には、膜型proHB-EGFが、起こる場合には、分泌型sHB-EGFと残りのC末端側断片HB-EGF-CTFとが同時に生成する。
以下のような解析基準によって、マウス生体でのHB-EGFの機能様式が予想できる。
1. HB-EGFノックアウトマウスと非切断型変異HB-EGFノックインマウスとで同様な異常を呈する場合。
(ア) HB-EGFの発現部位と異常部位が離れている場合=sHB-EGFがパラクリンにより機能する
(イ) 発現部位と異常部位とが同じ場合=sHB-EGFがオートクリンにより、あるいはHB-EGF-CTFがイントラクリンにより機能。
① EGF受容体などの受容体が関与している場合=sHB-EGFがオートクリンにより機能
② 受容体が関与していない場合=HB-EGF-CTFがイントラクリンにより機能。
2. ノックアウトマウスでは異常だが変異ノックインマウスでは正常である場合=proHB-EGFがジャクスタクリンにより機能。

今まで得られた結果を簡単に以下に記載する。
1. 心機能の維持:HB-EGFノックアウトマウスは生後その多くが死亡し、これらの心臓では心室の拡張や機能不全が生じている。HB-EGFの発現が心臓で確認され、HB-EGFは心筋細胞の生存あるいは収縮性の維持に寄与していると考えられる。また、非切断型変異HB-EGFノックインマウスも同様の心臓不全を呈することから、この過程ではシェディングが必須であることがわかる。ただし、この過程においてsHB-EGFとEB-EGF-CTFのいずれが機能しているかはまだ未解明。
2. 心臓弁の形成:HB-EGFノックアウトマウスおよび非切断型変異HB-EGFノックインマウスはともに、心臓弁の形成過程において便間質細胞の過増殖を伴った心肥大を呈する。HB-EGFは弁内皮細胞に限局して発現し。シェディングによって生成したsHB-EGFがパラクリンにより弁間質内の間質細胞に働き、その増殖を負に制御している。ADAM17ノックアウトマウスも同様の弁肥厚を呈することがわかっており、ADAM17がHB-EGFのシェディングに寄与していることが予想されていた。
3. 目蓋(まぶた)の形成:HB-EGFノックアウトマウスおよび非切断型変異HB-EGFノックインマウスはともに、目蓋の形成過程において目蓋の閉鎖が遅延した。HB-EGFは目蓋閉鎖に伴って移動する上皮細胞シートの先端部に限局して発現し、シェディングによって生成したsHB-EGFが後方の上皮細胞シートにパラクリンにより働きその移動を促進している。
4. 表皮創傷の治癒:目蓋の形成過程と同様の機構で、移動上皮の前方で生成したsHB-EGFが上皮シート全体の移動をパラクリンにより促進している。
5. 表皮の肥厚:レチノイン酸の塗布によって誘導される上皮の肥厚が、HB-EGFノックアウトマウスおよび非切断型変異HB-EGFノックインマウスでは著しく減弱する。この時、HB-EGFは上皮最外層に限局して発現が誘導され、一方、増殖の亢進が上皮基底層細胞で起こることから、最外層の上皮細胞でシェディングによって生成したsHB-EGFが基底層の上皮細胞にパラクリンにより働き、その増殖性を亢進させている。
6. 肺胞の形成:HB-EGFノックアウトマウスでは周産期末梢肺の肺胞細胞の過増殖を伴って肺胞壁が著しく肥厚するが、非切断型変異HB-EGFノックインマウスの肺は正常に発生することから、この過程ではproHB-EGFがジャクスタクリンにより肺胞細胞に働き、その増殖を負に制御していることが予想される。



http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=2009&number=5413&file=CPLUSgOThVWZN9b1STkxKXgXg

A Disintegrin And Metalloprotease Domain 17(ADAM17、TACE):1997年に腫瘍壊死因子のTNFαを切断する酵素としてクローニングされた。824アミノ酸からなる1型膜たんぱく質で、N末端側のプロドメインがFurinによって切断されることにより活性化する。触媒ドメインには亜鉛イオン結合配列が存在する。様々な臓器に偏在するが、成人では心臓や骨格筋で多く発現している。
様々な膜たんぱく質を膜近傍で切断し、膜から切り離す。TGFα、Notch、TNFα、APPなど基質の種類が多いため、炎症やアルツハイマー病、心臓疾患、糖尿病、腎疾患など様々な疾患と関連する。
アルツハイマー病の原因とされているβアミロイドは、β-、γ-セクレターゼによって切断されたAPPの断片である。TACEはαセクレターゼとしてAPPに作用することによりβアミロイドの中央付近を切断するため、その産生を阻害する。このため、TACEを標的としたアルツハイマー病の治療薬の開発も行わせている。

http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/genome300/ADAM17.html




http://ajpcell.physiology.org/content/291/1/c1


http://ajpcell.physiology.org/content/297/5/C1059

Ang2投与により血管中膜の肥厚、心臓、腎臓、血管の肥大や心臓や腎臓の血管周囲の線維化が生じる。EGFR阻害薬であるErlotinibを投与することにより高血圧には影響せず、血管のリモデリングや心肥大を減弱した。
Ang2によりEGFRの発現やADAM17の発現は亢進したが、Erlotinibの投与によりこれらの発現は抑えられた。

Effects of EGFR inhibitor, erlotinib, on cardiovascular remodeling induced by AngII. C57Bl/6 mice were infused with saline (n=8) for 2 weeks, or AngII (1 µg/kg/min) for 2 weeks with (n=8) or without (n=8) treatment of erlotinib (10 mg/kg/day intraperitoneal injection). Hearts and kidneys were stained with Sirius red and aortas were stained with Masson trichrome (Mean±SEM). A: Representative staining (200x) is presented. B: Quantification of medial area to internal arterial area of the coronary and renal arteries, and quantification of perivascular fibrosis area to vascular area of these arteries. C: Quantification of medial thickness of the thoracic aorta. D: Heart weight (HW) body weight (BW) ratio. E: Mean arterial pressure (MAP) was evaluated by telemetry. F: Heart sections were immuno-stained with antibodies as indicated (n=4). Antibodies against KDEL and CHOP were used to assess ER stress. Antibody against nitro-tyrosine (nTyr) was used to assess oxidative stress. *p<0.05 compared with control saline infusion. †p<0.05 compared with AngII infusion.
http://pubmedcentralcanada.ca/pmcc/articles/PMC4433406/

これらの実験結果は、はたして人に対して応用できるのであろうか?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26541681

実際にヒトの大動脈の標本を手に入れることは臨床上困難であるが、大動脈解離の手術標本で検討した研究がある。
Ang2とβaminopropionitrile(BAON)を投与して作成した腹部大動脈瘤を有するC57BL/6マウスにErlotinibを投与した群としなかった群での検討がある。Erlotinibを投与しない場合は64.3%大動脈破裂で死亡した。生存したマウスでは、腹部大動脈瘤にEGFRの過剰発現を認めたのに対し、Erlotinibを投与した群ではEGFRの発現亢進やEntoplasmic Reticulumストレス、酸化ストレス、インターロイキン-6の発現やMatrix Depositionは見られなかった。つまり、平滑筋も非投与群では切断されているが、投与群ではきれいな像が観察されている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25531554

人においても同じことが言えそうである。
血圧を下げなくても、ARBのようなRAS系を抑えることにより、高血圧の合併症の一部を抑えることができる可能性がわかった。
ARBなどの使用により、RAS系を抑える方法以外にも、老化を遅らせる方法として、カロリー制限が有名であるが、この機序は、ミトコンドリアの機能を刺激することによっておこっていると考えられている。

The scheme shows several mechanisms that may contribute to the age-retarding effects associated with RAS blockade, i.e. up-regulation of PPARs, up-regulation of sirtuins and klotho gene expression, and cytoskeletal and ECM changes, all of which can have a stimulatory effect on mitochondrial function. Apart from other effects that are specific for each intervention, both CR and RAS blockade were shown to up-regulate PPARs and sirtuins. Overexpression of SIRT1 modulates mitochondrial biogenesis by deacetylating PGC-1α, and SIRT3 plays a role in mitochondrial functioning by deacetylating acetyl-CoA synthethase 2. RAS blockade up-regulates anti-ageing Klotho, and we hypothesize that by up-regulating PPARs CR may also up-regulate Klotho. Our hypothesis on a central participation of PPARs in the retardation of ageing mediated by RAS blockade is based on evidence showing that (i) mitochondrial function and oxidant production are active participants in the ageing process; (ii) RAS blockade delays the deleterious effects of ageing, improves mitochondrial function, and also up-regulates PPARs; (iii) PPARs, by regulating mitochondrial function and UCPs, seem to play a major role in the age-retarding effects of CR; and (iv) experimental CR and experimental and clinical RAS blockade display overlapping physiological and molecular events (Table 1), most of which involve changes in mitochondrial function. Future work will allow to either confirm or refute this hypothesis.
Cardiovasc Res. 2011;89(1):31-40

参:ミトコンドリアMitocondria
真核生物の細胞小器官で二重生体膜からなり、独自のDNA(mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。ATPの合成以外にも細胞のアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞においては、数百~数千個のミトコンドリアが細胞の中に存在し、細胞質の約40%を占めている。平均では細胞中に300~400個のミトコンドリアが存在し、体重の10%を占めている。ヤヌスグリーンで青緑色に染色される。
直径は、0.5μm程度であるが、細胞の状態により、球形、円筒形、紐状、網目状などいろいろな形状を取り、長さが10μmに達するものもある。

外膜と内膜に囲まれており、内膜の内側をマトリックス、内膜と外膜に挟まれた空間を膜間腔と呼んでおり、マトリックス側に陥入しているクリステ(稜)と呼ばれる特徴的な構造を持っている。

1.内膜 2.外膜 3.クリステ(平板状) 4.マトリックス

ミトコンドリア 典型的な動物細胞の模式図: (1) 核小体(仁)、(2) 細胞核、(3) リボソーム、(4) 小胞、(5) 粗面小胞体、(6) ゴルジ体、(7) 微小管、(8) 滑面小胞体、(9) ミトコンドリア、(10) 液胞、(11) 細胞質基質、(12) リソソーム、(13) 中心体

機能:ミトコンドリアの主要な機能は電子伝達系による酸化的リン酸化によるATP産生である。ほとんどの細胞の活動エネルギーは、ミトコンドリアからのATP供給で賄われている。それ以外にも細胞ごとに様々な機能を担っていて、ステロイドやヘムの合成などの代謝、カルシウムや鉄の細胞内濃度の調節、細胞周期やアポトーシスの調整にかかわっているものもある。これらの機能には多数の遺伝子がかかわっており、それらの変異が自然免疫で排除されない場合には、ミトコンドリア病を引き起こすことになる。
ミトコンドリアの構造と電子伝達系及びクエン酸回路の模式図


エネルギー変換:ATP産生がミトコンドリアの主たる機能である。
細胞質には解糖系があり、グルコースを代謝することでピルビン酸とNADHが作られる。酸素が不十分な場合には解糖系の産物は嫌気呼吸により代謝される。酸素が十分にある場合好気呼吸で処理され、嫌気呼吸で1分子のグルコースから2分子のATPしか得られないが、好気性分解では38分子のATPが合成される。ピルビン酸だけでなく、脂肪酸も利用でき、植物のミトコンドリアは酸素がなくとも亜硝酸を使用してある程度のATP産生が可能である。
細胞質基質で解糖系反応が起こり、合成されたピルビン酸はピルビン酸共輸送体(ピルビン酸/H+)でNADHはリンゴ酸-アスパラギン酸シャトルにより、TCA回路や電子伝達系反応が起こるミトコンドリアへ輸送され、ADPはATP/ADPトランスポーターにより細胞質からミトコンドリアへ輸送される。H2O、O2、CO2、NH3に限ってミトコンドリア内膜を通過することができる。

クエン酸回路:
解糖系で生じたピルビン酸は内膜を能動輸送により透過し、マトリックスで酸化され、補酵素Aと結合し、二酸化炭素、アセチルCoA、NADHを生じる。アセチルCoAはクエン酸回路へ入る基質である。
クエン酸回路の酵素群は、内膜の呼吸鎖複合体2になっているコハク酸デヒドロゲナーゼ(ユビキノン)以外はマトリックスに存在している。
クエン酸回路はアセチルCoAを酸化して二酸化炭素を生じ、その過程で3分子のNADHと1分子のFADH2、1分子のGTPを生成し、二酸化炭素をミトコンドリア外に排出する。
クエン酸サイクルでは、サイクルの位置回転ごとにクエン酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸などの中間体が再生される。これらの中間体の量が増えると、その後他の中間体に変換され順次増加していき、補充反応(アナプレロティック反応)効果を示し、中間体のいずれかの除去は消費反応(カタプレロティック反応)効果を示すので、これらの補充反応や消費反応は、クエン酸を形成するために利用可能なオキサロ酢酸の量を増減させることになり、ミトコンドリアによるATP造成量と細胞へのATP供給量の増減が生じる。

細胞質での解糖系とミトコンドリアでのピルビン酸の脱炭酸とクエン酸回路。

電子伝達系:
TCA回路からでなく、細胞質の解糖系で生じた還元等量はマロン酸-アスパラギン酸対向輸送系やリン酸グリセロールシャトル系を通じて電子伝達系に供給される。内膜の電子伝達系には、NADH脱水素酵素、チトクロームC還元酵素、チトクロームC酸化酵素が存在しており、プロトン(H+)を膜間腔へくみ出す。この過程が非常に効率的であるが、不十分にしか反応できないときには活性酸素が生じてしまい、酸化ストレスとなり、ミトコンドリア機能の低下や老化が起こると考えられている。
グルコーストランスポーターであるGLUT1を介してデヒドロアスコルビン酸がミトコンドリアに輸送され、その後ビタミンCに還元され、活性酸素によるフリーラジカルの大部分が産生される場所であるミトコンドリアに蓄積され、活性酸素から、ミトコンドリアのゲノムと膜を保護する。
プロトンが膜間腔へくみ出されることにより、内膜の内外でプロトン濃度差(電気化学的勾配)が生じる。くみ出されたプロトンはATP合成酵素を通じてマトリックスへ戻ることができ、この時にADPと無機リン酸(Pi)からATPが作られる。生成されたATPはATP/ADPトランスポーターによりミトコンドリアから細胞質へ輸送され、細胞の活動エネルギー源となる(化学浸透説)。

筋肉とミトコンドリア
速筋線維はミトコンドリアが少なく、グリコーゲンが比較的多いので白く見え、糖分解により乳酸ができやすい。乳酸性閾値から、運動強度が高い場合は、速筋線維が多く使われる。遅筋線維や心筋はミトコンドリアが多いので赤く見え、乳酸を作るよりは、乳酸を外から取り込んでエネルギー源として使っている。運動強度が低い場合は、遅筋線維が主として働いている。つまり速筋線維のグリコーゲンが消費された際に産生された乳酸が、遅筋線維や心筋のミトコンドリアで使われている。乳酸の代謝では、細胞膜を通過して他の細胞に乳酸が輸送される過程が重要である。この乳酸の輸送はピルビン酸の輸送にもかかわっており、モノカルボン酸輸送担体(Monocarboxylate Transporter:MCT)と呼ばれている。

乳酸シャトル説(Lactate shuttle)とモノカルボン酸輸送担体(MCT):
従来乳酸は運動中の細胞内好気的代謝系の容量限界を超えた運動強度による相対的な酸素不足によって生じる一種の老廃物という考えが一般的であった。最近のトレーサー実験の結果から、比較的低強度の運動中や食事による栄養補給などによる各組織へのエネルギー基質分配の媒体として乳酸が重要であることが明らかとなった。各組織の細胞膜表面に促通核酸(Facilitated diffusion)による乳酸の輸送担体が同定され、四種類あることが報告されている。その内運動時に重要なのが、MCT1とMCT4である。
MCT1は主に心臓、骨格筋の遅筋(SO)線維に多く分布し、細胞外から内への乳酸輸送を促進する。一方、MCT4は骨格筋の速筋(FOG)線維に多く分布し、細胞内から外への乳酸輸送を促進する。骨格筋の遅筋線維のミトコンドリア膜においてもMCT1が同定され、Brooksは下図に示すような乳酸シャトル説を提案した。すなわち、主として速筋線維で産生された乳酸は血液に拡散し、心臓や骨格筋の遅筋線維内に輸送され、ミトコンドリア内でエネルギー基質として利用される。一方、肝臓では、MCT2を介して、血中乳酸が細胞内に取り込まれ、グリコーゲンの合成に使用されるという説である。

http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject09/no4/html/section1.html


熱産生:
ある条件下では、膜間腔のプロトンはATP合成に関与することなく、促進拡散によってマトリックスに戻ることがある。これは「プロトンのリーク」、「ミトコンドリアの脱共役」と呼ばれ、蓄積されていた電気化学的ポテンシャルを熱として開放される現象である。Thermogeninをはじめとする一群のプロトンチャンネルが媒介しており、非震え熱産生にかかわっている。Thermogeninは若齢や冬眠中の哺乳類に見られる褐色脂肪組織のミトコンドリアに存在している。

アポトーシス:
DNA損傷などのストレスは、アポトーシス誘導分子p53やアポとーシスを調節するBcl-2ファミリー蛋白質を介して、ミトコンドリアの膜電位を変化させ、その結果、ミトコンドリアからチトクロームCが漏出し、アポトーシスへと誘導される。チトクロームCは、細胞質に存在するApaf-1やカスパーゼ(Caspase)-9と結合して、アポトソーム(apoptosome)と呼ばれる集合体を形成し、これによって活性化されたカスパーゼ-9が、下流のエフェクターを活性化してアポトーシスが起こる。


ミトコンドリアの融合と分裂:
ミトコンドリア特異的蛍光色素やミトコンドリア局在化蛍光蛋白質を用いてミトコンドリアの培養細胞内での生細胞観察を行うと、細胞内でのミトコンドリアの動的構造変化を観察できる。つまり、別々のミトコンドリアがつながり融合して一つのミトコンドリアになったり、分裂していく様子を観察することができる。
ミトコンドリアの融合が活性化すると、ミトコンドリアの長いネットワークが形成されるが、逆に分裂が活性化すると、小さなミトコンドリアの数が増加する。この融合と分裂両方を停止させた酵母では、ミトコンドリアの形態が野生型とほぼ同様の正常な形態に回復することから、ミトコンドリアの形態は、融合と分裂のバランスによって維持されていると考えられている。

ミトコンドリアの融合と分裂に三種類のGTPaseが関与していて、外膜を貫通しているMfn1/Mfn2(Mitofusin)は融合に機能しており、Opa1は膜間スペースで内膜に結合しており、融合と内膜のクリステ構造の形成に機能しており、Mgm1. Drp1は細胞質からミトコンドリア分岐点に局在化し、ミトコンドリア分裂に機能している。

ミトコンドリアの融合を可視化するためにミトコンドリアのマトリックスに二色の異なる蛍光蛋白質を発現するHeLa細胞をそれぞれ作成し、融合させることができ、哺乳類のミトコンドリアは融合してそのマトリックスの内容物を交換できることが明らかとなった。
細胞質に存在するダイナミン様蛋白質Drp1の機能を抑制すると、ミトコンドリアの分裂が抑制され、長いミトコンドリアのネットワークが形成される。

さまざまな阻害剤を用いてミトコンドリア融合の特性解析を行ったところ、CCCPの転嫁により、ミトコンドリアの融合がほぼ完全に停止することがわかった。この融合阻害は可逆的であり、薬剤を洗い流すことで融合活性が回復することもわかっている。融合反応時に微小管の重合を阻害するノコダゾールを添加すると2色のミトコンドリア蛍光の混合は強く阻害されるが、CCCP処理後のWash out時にノコダゾールを添加しても融合は観察されるので、微小管はミトコンドリアの融合自身には必須でないことがわかる。
通常の融合反応におけるノコダゾールの阻害は、ミトコンドリアの細胞内移動が阻害されることでミトコンドリアの均質化が阻害されたためと考えられる。
タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドを添加しても融合反応自体は阻害されないが、CCCP処理後のWash outに伴う融合活性回復時にシクロヘキシミドを添加した場合には融合の回復が見られない。この薬剤を使ってミトコンドリア膜電位を変化させて、水戸根dのリアの融合活性を変化させることによりいろいろと実験できるようになった。

ミトコンドリアの膜電位消失時には、ミトコンドリア内のL-Opa1のN末端部分の蛋白質が切断され、S-Opa1になる。この切断によりミトコンドリアは融合活性化能を失う。障害を受けたミトコンドリア部分は膜電位を失い、Opa1の切断を介して、融合活性を失うことにより、ミトコンドリアネットワークから隔離され、Parkin局在化を引き金として、オートファージ分解される。

http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/83-05-02.pdf


さまざまなミトコンドリアの機能は、融合と分裂のバランスの元に維持されている。


ミトコンドリアは細胞内で新規に合成されないため、現存するミトコンドリアが増殖し(大きくなり)、分裂することで細胞分裂時に娘細胞にミトコンドリアを分配していくと考えられている。しかし、実験でミトコンドリア分裂因子の機能抑制を行うと、長いミトコンドリアのネットワークが形成されるが、この場合に必ずしもミトコンドリア増殖は減少していない。
ミトコンドリア分裂因子Drp1の突然変異が重篤な新生児致死の原因となることが報告され、全身でDrp1を欠損したマウスは胎生致死となることからミトコンドリア分裂も初期発生・分化に必須な機能を持つと考えられる。
神経細胞で特異的にDrp1欠損マウスでは、出生直後に神経変性により致死となり、神経細胞内でミトコンドリアは分裂不全となりきわめて大きなミトコンドリアとなり、シナプス形成がほとんど観察されなかった。正常な神経細胞では神経突起の中に多数の小さなミトコンドリアが観察されるが、分裂を抑制すると神経突起内に分布するミトコンドリアはあまり認められず、その結果シナプス形成異常になると考えられる。

疾患とミトコンドリア機能:
ミトコンドリアの機能不全は、糖尿病などの代謝性疾患、がん、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患などで見られる。
ミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖複合体において酸素を用いてATPを産生する際に、その副産物として活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)を作り出す。もともとミトコンドリアに備わっているROSの除去機能を超える量のROSが産生されると、ミトコンドリア機能不全がもたらされ、老化や発がん、動脈硬化の原因になると考えられている。また、突然変異型mtDNA分子種が、糖尿病、神経変性疾患の患者組織やがん組織、老化個体の組織からも検出される。
障害を受け機能不全になったミトコンドリアに、パーキンソン病の原因因子PINK1やParkinが局在化し、その結果選択的なオートファージ分解(マイトファジー)により分解される。パーキンソン病の発症は、異常ミトコンドリアの蓄積に伴いマイトファージ―機構の破たんによる側面も考えられている。
中枢部位の神経細胞は、ミトコンドリアのエネルギー代謝が高く、ミトコンドリアの機能欠損による影響を受けやすい。
アルツハイマー病の発症に深くかかわっているβアミロイドが、細胞内のNO産生を促し、それによりS-ニトロシル化された活性型Drp1が分裂を促進し、神経細胞に損傷を与えることが報告されている。
ハンチントン病の原因となるグルタミン鎖が異常に伸長したハンチントン蛋白質がDrp1に結合し、GTPase活性およびオリゴマー化を促進し、過剰なミトコンドリア分裂を誘起していることも報告されている。
乳癌細胞株MDA-MB-231/436において、ミトコンドリア分裂抑制により、転移にかかわる細胞移動能・浸潤能が低下し、逆にミトコンドリア融合抑制によって細胞移動能・浸潤能が上昇するとの報告がされている。

ミトコンドリア融合・分裂機構:
ミトコンドリアの融合にかかわるGTPaseは、900残気ほどの膜貫通領域を持つたんぱく質である。
ミトコンドリア外膜の融合には外膜のGTPase:mitofusin(Mfn:酵母ではFzol)が関与している。MfnにはMfn1とMfn2があり、Mfn1はGTP加水分解に依存して、2つのミトコンドリアが繋留し、Mfn2と協調的に融合に機能する。外膜融合後に、Opa1により内膜融合が起こる。Opa1は内膜貫通領域を持つL-Opa1と、プロテアーゼにより膜貫通領域が欠損したS-Opa1の2つのフォームで存在しいるが、詳細な機序についてはまだ不明である。


ミトコンドリア分裂には、ダイナミン様蛋白質Drp1(酵母ではDnm1)が関与している。
哺乳類では、Drp1が外膜のMffおよびMid蛋白質と複合体を形成し、分岐点に集積する。
酵母では、Dnm1がMdv1とCaf4との結合を介して外膜のFis1と複合体を形成する。哺乳類では、Fis1は、Drp1のミトコンドリアへの局在化に直接関与しないと考えられている。
分岐点での、Drp1/Dnm1の自己会合体形成に伴い、ミトコンドリア膜の変形が起こる。
GTP加水分解によるDrp1/Dnm1の構造変化により、脂質膜の分裂が促進する。

https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=315






Cell Metabolism 21(2):195-205 · February 2015

参:ミトコンドリアと葉緑体はどこから来たか
生物は原核生物として誕生し、間もなく真正細菌ドメインと古細菌ドメインを形成する生物群に分岐した。続いて古細菌ドメインから真核細胞ドメインが分岐し、アメーバ・粘菌界、動物・粘菌界(後方鞭毛生物界)、植物界が誕生した。
αプロテオ細菌(α-purple bacteria)が、宿主生物に共生し、ミトコンドリアを含む原始真核細胞生物が生まれた。この真核生物がすべての生物の要となった。この原始真核細胞にシアノバクテリア(Cyanobacreria)が共生し、葉緑体となり、植物が生まれた。

分裂早期(A、C)と分裂晩期(B、D)の葉緑体の赤道表面を走査電子顕微鏡(A,B)とNP-40処理後のネガティブ透過型電子顕微鏡(C,D)で観察するとリング(Plastid-dividing ring:PD ring)が巻き付いているのがわかる。リングは絞り込まれる前後で同じ直径の6~7nmの繊維で形成されている。この繊維の滑り込みによって、色素体の分裂面は絞り込まれ、分断されると考えられる。

色素体の分裂(A、C)はまず、細菌由来のFtsZリングが基質(Stroma)に形成される。続いて、内外のPDリングが形成され、最後にダイナミンリングが形成されて、分裂が終了する。類似のことがミトコンドリアにも見られた(B、C)。ミトコンドリアも色素体も分裂の最後を制御しているのは、PDとダイナミンリングのような宿主細胞ゲノムによって形成されたリングである。宿主細胞核ゲノムは、オルガネラの増殖を制御するために、戦略としてPDリングやダイナミンリングを作ったと考えられる。

http://www.toray.co.jp/tsf/kouen/pdf/54-h16_2.pdf
江口暁先生の紹介
https://medicine.temple.edu/satoru-eguchi

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2017年3月 9日 木曜日

左室肥大でMRIまで撮る? 納富雄一先生

2017年2月22日 
演題「左室肥大でMRIまで撮る?」
演者:けいゆう病院心血管画像センター部長 納富 雄一  先生
場所: ローズホテル横浜
内容及び補足「
  良性の心臓
    ↓↑
肥大型心筋症←左室肥大→スポーツ心臓
    ↓↑
  高血圧性心臓
左室肥大は肥大型心筋症となると問題があるが、スポーツ心臓は問題ないのか、左室肥大自体問題があるのではなか、この点について考えてみました。
心臓のMRI検査はMRI施行例の1%程度である。けいゆう病院では、年50人程度であり、一般的な頻度と同じ程度である。
自分が健診で心電図をチェックしていた間の4144人の所見を見てみると、82%が正常、洞性不整脈4%、不完全右脚ブロック4%、左室肥大3.4%、心室性期外収縮1.3%、完全右脚ブロック1%、上室性期外収縮0.6%、陳旧性心筋梗塞0.3%、心房細動0.2%という頻度であった。
横浜市男性180万人の3%に左室肥大があるとすると6万人が該当することになる。

心電図で左室肥大がある人2688人にTelmisaltanを、2655人にPlaceboを投与し、変化を見てみると、12.7%→10.5%→9.8%と治療群では左室肥大の頻度が減少したが、Placebo群では12.8%→12.7%→12.8%と変化がなく、降圧薬の治療により、心電図の差室肥大所見が改善することが示されている。
左室肥大があることは何が悪いのだろうか?
Framingham研究のデータでは、35~64歳男性の冠動脈の頻度(/1000人・年:年齢調整)は心電図で左室肥大所見がない人が12.0に対し左室肥大所見があると19.5と高値であり、女性においても5.0に対して9.0と有意に高頻度であった。(Drugs 1986; 31(Suppl 1):S1-11)
40歳以上の住民3220例の心重量を心エコー所見で分類し、4年間追跡調査した研究では、心血管疾患の発症頻度は,90 g/m(身長)未満では男性4.7(/4年間・1000人)、90~114 g/m 7.3、115~139 g/mでは7.5、140以上では12.2と左室筋重量が50 g/m増加すると危険度は1.49へ増加し、女性も同様に左室筋重量の増加に伴い心血管疾患発症の危険性を増し、左室筋重量が50 g/m増加すると危険度は1.57へ上昇した。

New Engl J Med 1990;322:1561-6
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199005313222203#t=article
Framingham心臓研究で心エコー上左室頻度は、男性は14%、女性で18%である。人種別にみてみると、アフリカ系米国人の左室肥大の頻度は白人よりも多いが、高血圧の影響と考えられている。Am J Med Sci 1999; 317: 168-75。
心電図と心エコーでは左室肥大を見ている側面が異なる。
心エコー検査で左室肥大があることにより心電図所見とは独立して、総死亡のリスクが1.44、心血管死のリスクが2.38上昇する。心電図異常があると心エコー所見と独立して、総死亡が2.89上昇することが示された。

http://circ.ahajournals.org/content/103/19/2346

突然死の危険因子として循環器病の診断と治療に関するガイドラインが2009年度合同研究班報告として提出され、2010年に改訂版として心臓突然死の予知と予防法のガイドラインが出された。
一般的な危険因子としては、年齢、性別(男>女)、突然死の家族歴、心拍数(>75/分)、生活習慣(喫煙、食事など)、激しい運動、高血圧、糖尿病、左室肥大が挙げられている。
心電図所見に左室肥大とT波異常が同時に存在すると、Framinghamのデータでは5年間の死亡率は男性で33%、女性で21%高値となる。
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010aizawa.h.pdf

心臓のMRI画像は心臓の動きを映すことができる。左心耳もよく描出できる。
https://www.youtube.com/watch?v=G4dFVeP9Vdo
正常な心筋の場合にはMRI造影剤のガドリニウムGdを注入すると、速やかに造影され、洗い出(wash out)されるが、線維化が生じた心筋には造影剤が残り、遅延造営される(10~15分後に撮影)。
適応疾患としては:虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、不整脈源性心筋症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、薬剤性心筋症)、心筋炎、心臓腫瘍、心膜炎がある。

遅延造影所見
臨床症状が大切ではあるが、遅延造影のパターンから虚血性心疾患か非虚血性心疾患に分けることが可能である。
虚血性心疾患の場合には、梗塞が内膜下から進行していくのが特徴的で、遅延造影においてもその病態を描出できる。

非虚血性心疾患の場合には、心筋壁のどこに線維化が起こっているかを反映していると考えられ、それぞれの疾患に特徴的な遅延造影部分がみられることになる。
拡張型心筋症、肥大型心筋症、右室負荷、サルコイドーシスや心筋炎は中層優位に遅延造影を認める。
サルコイドーシス、心筋炎では外膜優位に遅延像を認めることもある。
アミロイドーシス、心移植後では全内膜下に遅延造影を認める。
中隔肥大型心筋症では中隔の部分に、Gdの遅延造影が、心尖部肥大型心筋症では、心尖部にGdの遅延造影がみられる。

http://ikee.lib.auth.gr/record/284925/files/Karamitsos-2009-The%20role%20of%20CMR%20in%20heart%20failure_JACC.pdf

前壁中核心筋梗塞:黒く描出された性状心筋に対して、前壁中核内膜側に遅延造影像を認める。

心臓サルコイドーシス:前壁~中隔外膜側に遅延造影像を認め、線維化した心筋を認める。

http://www.twmu.ac.jp/HIJ/sinryo/care/mri/

スポーツ心臓において線維化が起こらないのかどうかを検討してみたところ
92例中1例においてMRI遅延造影効果が中隔から下壁よりに認められ、心筋症と診断するに至った1例がいた。

参:19歳の症状のないバスケットプレーヤーで症状がなく、心電図変化を認める症例のMRI画像の変化を示す。Baselineでは14mmの後中核壁の肥厚を認めるのみであったが、三か月後の運動中止では心筋壁の変化は認めなかった。造影MRIを行ったところ遅延造影が軽度肥厚した心筋の局所に認められ、肥大型心筋症と診断された。

http://www.acc.org/latest-in-cardiology/articles/2016/03/10/12/50/cardiovascular-magnetic-resonance-imaging-in-the-assessment-of-athletes-with-heart-disease

検査としてのMRIとエコー検査の利点・ふり点を比較してみると下表のようになる。
スポーツ心臓において線維化が起こらないのかどうかを検討してみたところ

この表からみるに、心臓の突然死を予見するために、心筋線維化を確認するために心MRI造影検査を行うことは意味のあることと考える。

スポーツ心臓:スポーツ選手に見られる心拡大と、それによる安静時心拍数の低下といった一過性変化を指す。強度の運動に耐えるための適応と考えられている。
スポーツ心臓と肥大型心筋症を鑑別する必要がある。
10歳台における肥大型心筋症の発症率は高くなく、例え発症していても特徴的な形態変化はきたしていない場合が多く、アスリートハートといわれるスポーツ心臓と肥大型心筋症を鑑別することは容易ではない。
スポーツ心臓の場合には、ハイレベルのトレーニングが持続的に行われていることが必要条件であり、トレーニング中止により心室へ機構の肥大は解消される傾向があり、現在のトレーニング状況を把握することが重要である。
心電図所見はスポーツ心臓でも再分極以上を認めるため、鑑別の根拠とはなりにくい。
スポーツ心臓の場合には、左室肥大はびまん性であり、限局した不均一な肥大は、肥大型心筋症を疑う所見であり、心エコー検査による形態・機能評価を行うべきである。
理論上(La Placeの法則)スポーツ心臓は、容量不可によって拡大した左室内腔の壁応力を代償すべく壁肥厚が増大する機序として、二種類に分けて考えられている。
運動が心臓に与える影響としては、持久性の活動で持続的に心拍出量を増加かせ(安静時の4~5倍に上昇させ、心拍数の著名な増加、一回心拍出量の増大、静脈拡張)、強度の強い活動で繰り返す血圧の上昇(収縮期血圧200mmHg以上、骨格筋の収縮、左室後負荷の増大)がある。

持続性の運動により、軽度から中等度の左室拡大を伴う肥大と右室拡張が起き、強度の強い運動により、中心性の左室肥大や右室のリモデリングが起こる。

左室壁が13㎜以上に肥厚した場合の心エコーによる計測では左室拡張末期径の増大(55㎜以上)を伴うはずである。一方、肥大型心筋症では、通常、病気の進行した末期拡張型心筋症に到った場合を除き、左室拡張末期径は45㎜以下であることが多い。またスポーツ心臓の形態計測での報告では70㎜を超える拡大は稀であり、そのような場合には、拡張型心筋症を疑う必要がある。
http://asecho.org/wordpress/wp-content/uploads/2016/01/athletes-heart-Final-2016-NJW.pdf

アスリートの左室径(白抜きバー)と健常コントロール(黒バー)をプロットしてみると下図のようになる。健常者では54㎜を超えるものはいないがアスリートでは18%が54㎜以上であった。いずれの対象においては左室の収縮や拡張機能には問題なかく、両群間での有意な差はなかった。

女性においても55㎜を超える健常者はおらず、アスリートで55㎜を超えるものは11%であった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1768829/

また、スポーツ心臓における心肥大では、心機能は正常か亢進しているが、肥大型心筋症では左室肥大による拡張機能異常を伴うことが多く、左室流入路血流速度パターン(E波、A波、E/A比)や組織ドップラー法によるEa波、E/Ea比の計測が鑑別に役立つ。


http://www.onlinejacc.org/content/accj/45/8/1322.full.pdf

肥大型心筋症の予後は以下のように分類できる。

http://www.onlinejacc.org/content/58/25/e212
競技中の突然死の死亡原因として
HCM 36%、おそらくHCMと思われるもの8%、冠動脈解剖学的異常17%、心筋梗塞6%、不整脈原性右室心筋症4%、僧房弁逸脱症4%、心筋架橋3%、大動脈弁狭窄3%、拡張型心筋症2%、大動脈弁閉鎖不全2%、サルコイドーシス1%、イオンチャンネル異常1%であった。

:2016年JACCに掲載された、1994年から2014年に突然失した運動選手連続357例をできる限り組織学的検索を行ったロンドンのある施設での検討をしめす。
平均29歳、男性92%、白人76%、競技中にイベントが起こった症例が69%であった。
突然不整脈死亡症候群(SADS)42%、特発性心肥大/線維症16%、不整脈原性右室心筋症13%、肥大型心筋症6%、冠動脈奇形5%、冠動脈硬化症2%、心筋炎2%、拡張型心筋症1%であった。
若年者においてはSADSの頻度が多く、加齢とともに不整脈原性右室心筋症と特発性心肥大/線維症の頻度が上昇してくるので、定期的な心臓のチェックが必要である。
SADSは心筋症など器質的な心臓病がない不整脈で、ブルガダ症候群、QT延長症候群、特発性心室細動(トルサード・ド・ポアンなど)が含まれる。
http://dobashin.exblog.jp/22794296/

http://www.onlinejacc.org/content/67/18/2108#02062_gr1

突然死の発生頻度を競技別に分けたデータでは、サイクリングが最も多く、次いでジョギング、サッカーと長時間ハードな運動が強いられる競技に集中している。


左室肥大化における心室性不整脈が出るメカニズム
スポーツ心臓の特徴である洞性除脈やWenckebach型房室ブロックは、迷走神経トーヌスの増加はTraining vagotonyとして古くから有名であり、心臓の迷走神経活動の変化によってもたらされると考えられている。
謀体育大学221名の学生におけるホルター心電図上の不整脈の出現頻度と某大学病院での健常者2056名との比較した表を見てみると、除脈性不整脈の頻度が多く、40/分以下の著明な洞性除脈が半数以上に見られている。それに伴う接合部補充収縮・調律や房室解離の頻度も高い。2℃の房室ブロックや同房ブロックの頻度も高いが、期外収縮の頻度は健常者より少ない。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/32/Supplement6/32_162/_pdf

2016年5月7日にブラジルで行われたサッカーのフレンドリーマッチでフリブルゲンセのMFベルナルド・リベイロが試合中に突然倒れ込み、すぐに救急車でスタジアム近くの病院へ搬送されたが、亡くなってしまった。直前の6日にもルーマニア1部デイナモ・ブカレストに所属するカメルーン代表MFパトリック・エケングも試合中の心臓発作でなくなった。
推測ではあるが、代表にまでなる選手は、身体チェックは行われていると考えられるので、事前の状態としては、突然死すると予測されるような不整脈や心疾患の指摘はなかったものと考えられる。
不整脈発生機序に関する研究は動物実験で得られたものであるが、心筋重量の増大に伴い、心内膜側の虚血が生じ、その結果心筋壁へのストレスに伴う不整脈への感受性が亢進する。遺伝的なイオンチャンネルの異常がったり、早期再分極が生じたりすることも影響する。
心筋間質の繊維かが生じた結果、リエントリーが生じやすくなることにより、致死的な不整脈が生じやすくなり、心突然死に到ると考えられる。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3596001/

参:肥大型心筋症の肥大パターンを見てみると下図のようになる。


肥大型心筋症の突然死の危険因子としては、失神、肥大心筋の増大、非持続性の心室頻拍、運動時の血圧の上昇が認められないことが挙げられている。

肥大型心筋症の壁肥厚の増大と危険因子の合併で突然死の危険度は上昇する。

file:///F:/2017%E3%80%80%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A%E5%8F%82%E5%8A%A0%E8%A8%98%E9%8C%B2/2017.02.22LVH/Freeman-Hypertrophic-Cardiomyopathy.pdf


心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2016年9月26日 月曜日

失神とけいれん発作 阿部治彦先生

2016年9月16日 
演題「失神とけいれん発作」
演者: 産業医科大学医学部 不整脈先端治療学教授 阿部 治彦 先生
場所:ハイアット リージェンシー 東京
内容及び補足「
失神
定義
「一過性の意識消失発作の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、または完全に意識の回復がみられること」基本的な病態生理は「脳全体の一過性低灌流」である。前駆症状(不動感、悪心、発汗、視力障害など)を伴うこともあれば、伴わないこともある。失神からの回復後に逆攻勢健忘を見ることもある。
原因疾患

鑑別を要する疾患及び病態


共通する病態及び自動調節機構
「脳全体の一過性低灌流」
脳循環が6~8秒間中断されれば完全な意識消失に到り、収縮期血圧が60mmHgまで低下すると失神に到る。
脳への酸素供給が20%減少しただけでも意識消失をきたす。
血圧が変動しても、脳への血流を維持する機構で、生理的状態では収縮期血圧が70~150mmHgの範囲内で脳血流は一定に保たれる。
PO2が低下した場合やPCO2が上昇した場合に脳血管の拡張を促す代謝性・化学性調節機構がある。
動脈圧が低下した際に、交感神経緊張が反射性に亢進し心拍数を増加、心収縮性を増加、末梢血管抵抗を増加させて動脈圧を維持する圧受容器反射機構がある。
瞬時に動員されるものではないが、腎臓、ホルモン等により循環血液量を維持する機構があり、これらの機能が不十分であると、失神を生じやすくさせる。これらの代償機転にもかかわらず、脳循環の自動調節機構の範囲を超えて血圧が低下し、しかもある一定以上持続した場合にも意識消失が生じる。

疫学
Framingham研究によると一般人口における失神の発生率は6.2/1000人年、積算発生率は10年間で6%、年齢とともに高くなり70歳以上で高率となり、性差はなかった

一方問診票を用いた横断研究では、失神の発生率(一回は失神を経験していた割合)は19~30%であり、有意差を持って女性の発生率が高かった。失神の初発年齢の中央値は14~25差で、若年に発生のピークを認めた。

欧米の報告では、救急部門(emergency department:ED)受診者における失神疑いの一過性意識障害患者の頻度は0.9~1.7%で、入院率は36~68%であった。
我が国における全国規模での失神患者の統計は存在しないが、東京都内の大学病院における救急車搬送患者の主訴を検討した報告では、救急患者のうち一過性意識障害を主訴とする患者は13%で、一過性意識障害の79%が失神であった。
同一施設からの報告では、外因を含めたすべての救急車搬送患者のうち3.5%が失神患者であった。
平成21年度の東京都消防庁の救急出場件数は約65.6万件で概算すると東京都民1300万にのうち年間約2.3万人が失神のために救急搬送されていると推測され、我が国のEDにおいても失神の頻度は高い症候である。

原因疾患としてはFramingham研究では、心原性が10%、非心原性のうち血管迷走神経性が21%、原因不明が37%であった。EDを受診した失神疑いの一過性意識障害患者を対象とした欧米の研究では、心原性失神が5~37%、反射性(神経調節性)失神が35~65%、起立性低血圧が3~24%、原因不明が5~41%であり、この中には、3~20%の割合で非失神の病態による一過性意識障害が含まれていた。
年齢別に原因別頻度を検討した報告をまとめると、若年者では反射性(神経調節性)失神の頻度が高く、高齢者では心原性失神、起立性低血圧の頻度が高くなる傾向を認める。また、高齢者では失神の原因が複数存在する割合も高くなる。

  Framingham研究によると、心原性失神を起こした人は、失神を経験しなかったヒトと比較して、死亡のハザード比が2倍となり、心血管性イベントのハザード比は2倍以上であった。一方、心血管迷走神経性失神を起こした人は、死亡、失血管系イベントのハザード比ともに、失神を経験しなかったヒトと同等であり予後は良好であった。

失神の再発リスク
Framingham研究では失神の再発率は22~28%であった。質問病による横断研究では複数回の失神を経験している割合は47~64%と高率であった。
外傷合併のリスク
失神では立位保持ができなくなった際に受け身を取れずに転倒することが多く、外傷を伴いやすい。我が国の報告では、救急搬送された失神患者の17%に外傷を合併しており、欧米でのED受診者を対象とした報告では、外傷の合併率は26~31%、うち骨折等の重症外傷が5~10%、打撲や血腫などの軽傷外傷が21~25%であった。失神の原因と外傷の合併率には明らかな関連性は認めなかった。

診断へのアプローチ
基本的な診断方法および診断フローチャートを示す。
何よりも病歴聴取が重要で、それぞれの病態に特徴的な前駆症状、随伴症状の有無を確認する。
長時間の立位時に悪心・嘔吐を伴う場合は、神経調節性失神が疑われる。
運動時に動悸あるいは胸痛が先行すれば、基質的心疾患に伴う不整脈が疑われる。
降圧薬服用の有無、突然死の家族歴の有無も診断の参考になる。
身体所見では、基質的心疾患を示唆する所見、血管雑音、血圧の左右差、自律神経失調を伴う神経疾患に特徴的な所見、外傷の有無などに注意する。
病歴聴取、血圧測定を含む身体所見、心電図検査による初期表評価に加え、状況に応じて、頸動脈洞マッサージ、心エコー検査、心電図モニターチルト試験、神経学的検査や血液検査を施行する。


初期評価後も失神の原因診断が不明な場合には、まずリスクの階層化を行い、ハイリスク所見の有無をチェックする。

ハイリスク所見を有すれば、基礎心疾患や心機能などを考慮しながら、運動負荷心電図、ホルター心電図、さらには必要に応じて、心臓電気整理検査、心臓カテーテル検査、冠動脈造影検査などを行い原因の確定をする必要がある。
失神の頻度にもよるが、週1回以上の頻度で失神あるいは失神前駆症状を認める場合には、ホルター心電図が有用であるが、4週肝以上感覚がある場合には体外式イベントレコーダーが有用となる。また、植め込み型心電計(植め込み型ループレコーダー:implantable loop recorder)の使用は、発生頻度が少ないかあるいは不定期に繰り返す場合に考慮される。
平成21年10月より保険秀才され、約3年間電池寿命を有する小型の植め込み型心電用データレコーダーが使用できるようになった。(埋め込みから6週間以上経過していればMRI検査も可能。ただし横向き姿勢では行わないこと等の注意点がある。)
http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/products/pacemaker/ecg/confirm.html

https://square.umin.ac.jp/saspe/archive/37/37th_05.pdf

86名の原因不明の失神を主訴に来院した患者にILRを用いて検査を行った。61件71%で診断がついた。
心原性は42例、発作性房室ブロックが17例、Sicks Sinus Syndromeが15人、心房細動1例、心室細動が1例で、診断がつくまでの期間は1~3週間が30%で、4から6か月後に診断がつく例が半数いた。早期に診断がつく例は心原性が多く、診断に時間がかかる症例は反射性失神が多かった。

421人の失神患者を調べた調査では、迷走神経性が47%、脳血管性が9%であり、てんかん発作は8%であった。

http://heart.bmj.com/content/90/1/52.full

起立性低血圧
病態生理
仰臥位から立位変換で、心臓への還流血液量が約30%減少し、心拍出量減少・体血圧低下が生じる。この際、圧受容器反射系が賦活され、健常者ではこの反射系が機能し血圧を適切に保つことができるが、反射系異常、循環血漿量低下状態では、起立時に高度の血圧低下をきたす。
診断と原因疾患
仰臥位・座位から立位への体位変換後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか、収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、または拡張期血圧の10mmHg以上の低下が認められた際に起立性低血圧と診断する。
失神は朝起床時、食後・運動後に悪化する。
原因としては、体液量減少、血管拡張性薬剤の使用が最も多く、高齢者では薬剤によるものが多い。重症自律神経障害に本性が高ヒントに合併する。
治療
クラス1
急激な起立の回避
脱水、過食、飲酒などの誘因の回避
誘因となる薬剤の中止、減量。降圧薬、前立腺肥大症の治療薬のα遮断薬、硝酸薬、利尿薬など
クラス2a
循環血漿量の増加:食塩補給、糖質コルチコイド、エリスロポイエチン
弾性ストッキング
上半身を高くした睡眠
α刺激薬(塩酸ミドドリン、メチル硫酸アメジニウム、塩酸エチレフリン)
予後
基礎疾患の有無による、特発性を除き自律神経障害症例の予後は不良。加齢は起立性低血圧症例の死亡率増加をきたす。

神経調節性失神
神経反射性失神には神経調節性失神、頸動脈同症候群、状況失神等が含まれる。
臨床的特徴
神経調節性失神は1.心抑制型、2.血管抑制型、3.混合型に分類される。
発作直前に前駆症状を有する場合が多い。
長時間の立位姿勢、痛み刺激、精神的・肉体的ストレスや環境要因が誘因となる。
特に午前中に多く発生し、失神の持続時間は短く(1分以内)、転倒による外傷以外には後遺症を残さず、生命予後は良好である。
病態
立位により下肢静脈のうっ滞が起こり、心臓への静脈還流量が減少するために起こる。これによる動脈圧低下に対して、高圧系受容体反射により交感神経系の緊張と迷走神経系の抑制が生じる。立位姿勢を継続することにより、左室の機械的受容器を刺激し、血管運動中枢を抑制、迷走神経心臓抑制中枢を興奮させ血管拡張と心拍数減少をきたすと考えられている。
診断
前兆の有無、失神の最初から最後の発作期間が4年以上、意識回復後の悪心や発汗の有無、顔面蒼白、前失神状態の既往などが参考になる。
詳細な病歴聴取とHead-up tilt検査が有力。受動的立位として傾斜角60~80度で20~40分保持する。誘発されなければイソプロテレノール負荷、ニトログリセリン負荷検査を行う。評価は、同一臨床症状が誘発されれば問題ないが、一般的な診断基準は、収縮期血圧60~80mmHg未満への低下や、収縮期あるいは平均血圧の20~30mmHg以上の低下とされる。
ティルトテストの日内の再現性は良好であるが、日差変動がある。




治療
クラス1
病態の説明:8割の人に効果がある。
脱水、長時間の立位、飲酒、塩分制限などの誘因を避ける
α遮断薬、硝酸薬、利尿剤などの誘因となる薬剤の中止・減量
前駆症状出現時の回避法
クラス2a
循環血漿量の増加:食塩補給、鉱質コルチコイド
弾性ストッキング
ティルト訓練
上半身を高くした睡眠
α刺激薬、塩酸ミドドリン、メチル硫酸アメジニウム、塩酸エチレフリンの投与

失神回避方法:神経調節性失神の前兆を自覚した場合には、仰臥位などの体位変換あるいは等尺性運動を取らせることにより失神発作を回避あるいは遅らせることができる。
失神の予防治療:ペースメーカー治療、起立調節訓練法
起立調節訓練治療法:足を壁から15cmほど話して、背中を壁にぴったりくっつけてもたれかかり下半身を動かさないようにする方法である。
健康な人と神経調節性失神の人に同じ姿勢で立ってもらい脚の温度を測定すると、立った瞬間はどちらも同じように冷えている。

5分たつと健康な人の足首は冷えている状態であるが、立ちくらみがある人は足首の温度が上昇している。これは下に降りてきた血液を上に戻すことができなくて暖かい血液が下にたまっている状態である。健康な人は下にたまった血液を送り出すために交感神経が興奮して血管を収縮させて上に戻しているので足首の温度が低いのである。

起立調節訓練治療法
壁を背にして頭からお尻までを壁につけ、カカトを15㎝ほど壁から、離し足に力を入れないようにする。

失神しやすい人は、数分で顔色が悪くなり、7~8分ほどで姿勢保持困難となる。この耐性を気分が悪くなるまで一日一回毎日行ってもらっていると、多くの人は2~3週間で30分近くこの姿勢が維持できるようになる。この姿勢を取っているときの注意点は足に力を入れないことで、本を読んでいても、スマホをしても、テレビを見ていてもOKである。 
立ちくらみの予防法:
前兆が起きた時にしゃがみ込む。それ以外には、両腕を組んでギュッとお互いの手を引っ張る。

足を交差してギュッと力を入れる。

http://trendnews1.com/tameshite/12135/


予後
基質的心疾患が否定された神経調節性失神の予後は比較的良好であるが、交通事故や外傷などの原因になる可能性がある。
再発率:28%/3年、7%/1年~15%/21か月、33%/23ヵ月、30.2%/30.4ヶ月、35%/3年などの再発率の報告がある。

状況失神
ある特定の状況または日常動作で誘発される失神で、神経調節性失神症候群に含まれる。急激な迷走神経活動亢進、交感神経活動低下、心臓の前負荷減少により、徐脈・心停止もしくは血圧低下をきたし失神する。排尿失神、排便失神、嚥下性失神、咳嗽失神などが含まれる。
治療
クラス1
病態の説明
飲酒、血管拡張薬、立位での排尿などの誘因を避け、便通の調整、嚥下方法の工夫などを行う
前駆症状出現時の回避法
クラス2a
重症例や心抑制型の例に対するペースメーカー治療
予後
失神の再発は血管迷走神経性失神とほぼ同様
採血と失神
採血時の合併症の中で失神発作はもっとも頻度が高く、軽症で0.76%、重症は0.027%の頻度で発症すると報告されている。
採血開始5分以内に発生することが多いが、採血中、採血前にも発生する。心理的不安、緊張もしくは採血に伴う自律神経反射によって発生する場合が多い。

神経調節性失神患者でILRにより経過観察された症例のうちAsystolic syncopeが3秒以上またはNon-syncopal asystoleが6秒以上のものに対してペースメーカーを挿入するかどうかで経過をみたISSUE 3試験がある。


繰り返す失神に対してPace Maker治療が有用であることが示された。


側頭葉てんかんで長い心停止をきたすことがありIctal Asystoleと呼ばれている。
下記の図にその1例の経過を示す。
66歳男性で月2~3回の失神発作を1年半前から認めるようになった。心窩部の不快感、熱感、発汗、吐き気がしばしば前兆として認めていた。発作の頻度や重篤度が悪化して来院。安静時心電図は完全右脚ブロック+左講師ブロックを認めたが、心エコーや経食道エコー、負荷心電図、ambulatory ECG monitoring、胸部単純レントゲンでは異常を認めず、80度のhead-up tilt試験は30分間negativeであった。ILRを行ったところ3か月間に3回の失神発作を認めた。
まず洞性頻脈が起き、その後徐々に除脈となり、10秒間30~40拍/分の洞性除脈や118秒間の心停止ととなっていた。
16チャンネルの脳波計の記録では、両側性に前側頭葉に発作性のてんかん発射を認めた。
(Sicks Sinus Syndromeでは頻脈直後に心停止が来るので経過が異なる。)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jce.13009/abstract
てんかんに伴うictal bradycardiaやictal asystoleはてんかん患者3825例中0.27%に認められる。
Neurology 2007;69:434-441

ある報告では、呼吸の変化が起こってからictal bradycardia and asystoleが認められるのでcardiorespiratory reflexsが重要なのではないかとの報告もある。
J Neurol Neurosurg Psychiatry 1996;60:297-300
Epilepsy Curr 2009;9:91-95

波形記録した治療継続患者の8例0.12%にIAが認められた。CAIを判断できる脳波上Bilateral hypersynchronous slowing:BHSがはっきりと認められ、てんかん発作中にIAをみとめた10例とCAI徴候を認めない18例のてんかん発作を比較した。IAが始まってからてんかん発作が終わるまでの時間はBHSを認めた症例は10.5秒であるのに対して、BHSを認めない症例は28.3秒であり、てんかん発作の長さも短い傾向にあった。
このことは、脳の低酸素や虚血(cerebral anoxia-ischemia:CAI)はてんかんに伴う脳の過活動を自然に止める機序かもしれない。ただしictal asystole:IAが長引けばsudden unexplained death in epilepsy:SUDEPの原因となることもあり得るので注意が必要である。
Epilepsia  2010;51:170-173
参考HP
CS:失神の診断・治療ガイドライン(2012年)
JCS:失神の診断における電気生理検査の意義と適応について(2011年)
ESC/EHRA/HFA/HRS:失神の診断と管理(2009年)
JCS:失神の診断・治療ガイドライン(2007年)
失神の診断・治療ガイドラインダイジェスト JCS2007

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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