循環器系

2013年11月25日 月曜日

冠動脈疾患 小山田和弘先生

2013年11月18日 ホテルキャメロットジャパン
演題「冠動脈疾患の最近の話題提供と循環器領域の病診連携について」
演者:けいゆう病院循環器内科副部長 小山田和弘先生
内容及び補足(含質疑応答)「51歳男性、胸焼けが主訴、脂質異常症、一年前に禁煙、父が若いころバイパス術をうけていた。内視鏡検査で逆流性食道炎があり、PPI投与で症状改善するも、関知しないため、再度受診され、虚血性心疾患が疑われ紹介受診。負荷心電図で5Mets程度であり、1~2枝病変と考えていたが、右#2に100%狭窄があり、左前下行枝、中核枝に高度狭窄があり、バイパス術が施行されたが、一年後に吻合部に90%の狭窄が生じた。吻合部はバルーンで拡張し、右胃大網動脈のバイパスには、3本ステントを挿入した。確認してみると、胸焼けは早朝通勤時に認めており、休むと消失していたことより、この『胸焼け』の訴えは狭心症の症状だった。
51歳男性、49歳時より労作時胸痛があり、脂質異常症に対してベザトールの処方、糖尿病に対しては食事指導のみで、二年前に禁煙をしていた。父が若くして心臓発作を起こしている。他院でMulti-slice CT検査を受けていたが、怖くて結果を聞きに行っていない。心カテ検査結果は右#2,3に75-90%の狭窄、4AVは枯れ枝上、左前下行枝は薄く描出され、左回旋枝は、ぼろぼろで、角度を変えて確認すると左主幹部には90%の狭窄があり、7か所にバイパスをかける手術となった。
39歳女性、糖尿病があり、インスリン治療を受けていて、その他に高血圧、脂質異常症があり、三年前から禁煙しているBMI 30.9の女性が心筋梗塞で入院した。
上記三例ともNIPPON DATA 80に照らし合わせると危険度が3%以下の人たちである。
共通している危険因子は、若年からの喫煙、男性二人には家族歴がある。
危険因子の強さは、男女で異なり、男性では:高血圧、喫煙、糖尿病・耐糖能障害、家族歴、脂質異常症の順であり、女性においては:喫煙、糖尿病・耐糖能障害、高血圧、家族歴、脂質異常症と言われている。
禁煙により虚血性心疾患のリスクは低下する。
最近はチャンピックスというニコチン代替え療法でない禁煙補助薬が出てきており、その後の経過でも、禁煙率は以前のものに比べ良好である。

若年者の冠動脈疾患の予防には、より積極的な禁煙指導が望まれる。
現在いくつかの病院において、虚血性心疾患の地域連携パスが作成され、その成績がいくつか報告されている。逆に言うと、まだそれぐらいの報告しかできない問題点がると言えるが、当院のような中規模病院においても、取り組んでいきたいと考えており、地域連会に力を入れており、ホットラインを作り、専門看護師が対応して、お待たせしないで患者さんの引き受け体制を強化しており、顔が見える地域連携を積極的に行っていきます。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2013年11月 5日 火曜日

心拍数から循環器治療を考える 山科章先生

2013年10月29日 ホテルキャメロットジャパン
演題「心拍数から循環器治療を考える -β遮断薬の役割-」
演者:東京医科大学第二内科主任教授 山科章先生
内容及び補足(含質疑応答)「1977年の健診を受けた40~64歳の男性573人を1994年まで経過を見た。心拍数を60未満、60-69、70-79、80-89、90以上に分けたところ。60未満の群で一番死亡率が低く、90以上の群は60万の群に比較して38.2%も上昇していた。


安静時の心拍数と突然死の関係を見てみると、男性では、65未満に比較すると88以上は5倍以上に上昇しており、安静時心拍数が10拍/分上昇すると突然死発生率が約二倍増加することになる。一般市民を対象とする5つの代表的な疫学研究結果をまとめてみても、心拍数が上昇するごとに死亡リスクが上昇することがわかる。

40歳以上の1780名の日本人で調べた大迫研究では、早朝家庭心拍数が5拍/分上昇するごとに心血管死亡リスクが17%上昇する結果となった。家庭血圧が135mmHg未満でも、心拍数が70以上であれば、相対危険度は2.16と高くなった。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)61198-1/fulltext
心不全患者においても同様の結果であり、その変化はより顕著だった。(ただし心不全患者の場合65未満も危険度がやや上昇している傾向を認めた。)

135164人のうち6.5%にあたる8819人の人が入院中にイベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)になった。その人たちの心拍数の関係を見たのが下の表になる。60-69拍/分の群において一番イベント率が低く、50未満で1.43倍、130以上で1.43倍とリスクの上昇がみられた。

日本人のデータでも、心拍数が58以下の群、59-64の群、65-70の群、70を超える群に分けて経過を見てみると高血圧になるリスクはそれぞれ、4.5%:6.8%:6.0%:7.2%であり、1:1.53:1.35:1.61と高値になるにつれ上昇した。

日本人間ドック学会も2012年4月より、心拍数の基準値を変更し、40-44/分、86-100/分を要経過観察・生活改善群とし、39未満と101以上を精査群と心拍数の基準値を新たに創設した。

Circulationに掲載されたこの冠動脈造影の写真を見て分かるのは冠動脈のプラークのラプチャーである。

冠動脈プラークのラプチャー危険因子の解析結果を見ると、平均心拍数が80を超えると危険度が上昇することとなる。

HR indicates heart rate; IVS, interventricular septum; PPF, fractional pulse pressure; and ACE, angiotensin-converting enzyme.

2010年に出された循環器病の診断と治療に関するガイドラインでも取り上げられているが、心不全における大規模試験のエビデンスがあるβ遮断薬は、β1選択性の目とプロロールとビソプロロール、β非選択性でα遮断作用と抗酸化作用を持つ軽部字ロールの三種類のみであり、いずれもISA(-) で脂溶性である。Japanese Coronary Artery Disease研究では脂肪性β遮断薬を処方されたものの予後が水溶性のβ遮断薬を処方されたものよりも予後が良好であったと報告されている。

過去のメタ解析でβ遮断薬の有効性を否定している報告は、すべてメトプロロールとカルベジロールを含んでいない研究の解析結果である。

心室筋の活動電位を遅らせ心拍数のみを低下させるIvabradineを心不全患者に投与する
SHIFT研究は、5拍の心拍数低下が、死亡率を18%低下させることを示している。


β1-AdrenoceptorのArg389がGly に変化している人はカルベジロールの効きが悪いが、メトプロロールに関しては、変化がないことが示された。日本人においては紺変異が比較的多く見られ、臨床的にカルベジロールが効きにくい人がいる理由の一つと考えられる。」

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2013年11月 5日 火曜日

心房細動治療を再考する 清水渉教授

2013年10月29日 ホテルキャメロットジャパン
演題「心房細動治療を再考する -β遮断薬のエビデンスと意義-」
演者:日本医科大学内科学主任教授 清水渉先生
内容及び補足(含質疑応答)「心房細動は年齢とともに上昇し、70歳代には男性では3%を超し、2030年には患者数が100万人を超えると推計されている。

一般的には心房細動と診断された時は発作性であり、一週間以内に治療抵抗性となり、その後1年以内に持続性となると言われている。

心房細動治療の主流は洞調律に戻すRhythm controlと心拍数をコントロールするRate controlに分けられる。前者は主にⅠ群やⅢ群の抗不整脈薬が使用され、後者はβブロッカーやジギタリスが投与される。2002年に発表されたAFFIRM試験で両者において有意な統計上の差はなく、しかもレートコントロールの方がやや良い結果となったこともあり、治療の主流は、それ以降レートコントロールとなった。

2011年に発表された日本人の臨床研究J-Rhythm Registryでも、7937名の心房細動患者で同様の結果であった。

ヨーロッパ心臓病学会の2010年のガイドラインでは、心疾患があるかないかで治療方針を分けている。

高齢者の治療においては、以下の図のような薬剤を推奨している


pAFの場合には日中運動時に起こる交感神経緊張型の場合にはβ遮断薬やピュアなNaチャンネル遮断薬であるピルジカイニド、プロバフェノン、フレカイニドを、夜間安静時や食後に起こる副交感神経緊張型には抗コリン作用のあるシベンゾリン、ジソピラニド、リスモダンなどが勧められている。
2008年の日本循環器病学会が出した心房細動の薬物治療ガイドラインにおいてWPW症候群においての治療が以下のように分類されている。

レートコントロールの継続性は治療薬の種類によって異なり、βブロッカーが良好である。
心拍数の治療目標を決める試験結果が2010年に発表された。安静時80/分未満で、中等度の運動時で110/分未満を目標にした厳格群と安静時110/分未満を目標にした緩徐群で比較した試験である。両群間で有意な差がなかったが、緩徐群においても心拍数は85前後にコントロールされており、しかも緩徐群は単剤での治療が65%であるのに対し厳格群は68%以上の症例において複数の薬剤が使われていたことを考えると、β遮断薬単剤で心拍数を80前後にコントロールすることが治療の目安としてもよいであろう。

Rateコントロールでのジゴキシンとβブロッカーの違いは、βブロッカーの方が心拍数が低下しやすいこと、運動時においてジゴキシンは心拍数の上昇を抑えることができないが、βブロッカーは運動時においても心拍数の上昇を抑えることができる点である。

カナダにおいてレートコントロール薬剤の主流は2000年以降βブロッカーの方が使用されるようになってきている。

日本において心房細動に使用することができるメインテートとアーチストの比較試験がいくつか報告されている。
217例の心不全患者にメインテートとアーチストを投与した臨床研究がある。全体ではメインテート群で心拍数は-27.9拍/分、BNPは-50.3、アーチスト群心拍数は-17.4拍/分、BNPは-42.3、心房細動合併例83例では、メインテート群で心拍数は-38.5/分、BNPは-69.0、アーチスト群心拍数は-27.2拍/分、BNPは-41.5であり、これらのβブロッカー投与中の心房細動除細動率がメインテート群(43例)で40%、アーチスト群(40例)で16%とメインテート群の方が良いように思われた。
(スライドには引用文献としてCirc. J. 2010 74 1127-1134となっておりましたが、この文件は糖尿病患者さんにメインテートとアーチストを投与した比較試験で別のものと思われます。)
冠動脈バイパス術後の心房細動の治療において、メインテートの方が血圧には変動を与えず、心拍数が有意に減少していたと報告されている。」

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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