脳神経系

2019年8月24日 土曜日

復職に向けて 会話や適切な記憶・判断は 佐々木信幸先生

2019年6月2日 
演題「復職に向けて リハビリテーション医学の立場から」
演者: 慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座 佐々木 信幸 先生
場所:品川区立総合区民会館 きゅりあん
内容及び補足「
次に復職に当たり考えるべきこととして『会話や適切な記憶・判断はできるのか』について、以下の項目について述べていく。
アパシー
失語症
記憶障害
前頭葉機能障害

脳の各部位の大まかな働きを見てみると下図のようになる。

左右の大脳半球のうち、ある特定の機能に密接に関係している大脳半球を有意半球(Dominant hemisphere)、そうでない大脳半球を劣位半球(Minor hemisphere)と呼ぶ。左大脳半球が言語機能に密接に関係している場合、左大脳半球が言語有意半球である。
右利きの場合、95%で有意半球は左であり、左利きの場合は、60~70%で左が有意半球である。


http://www1.odn.ne.jp/~aag13140/chap12.pdf

有意半球の検討に非常に有意であったのは、難治性てんかん患者に対して行われてきた脳梁離断術の症例者たちの情報である。
脳梁離断症候群:企図解離と情動解離がみられる。
企図解離:言語表出と左手動作とのズレが認められる。また全身動作(例えば歩行)と手の動きや言語表出にずれが認められる場合がある。
情動解離:情動体験と言語表出にずれが認められる。例えば悲しそうな表情をしているにもかかわらず明るい言語表出をする。
脳梁離断症候群の検査にキメラ図形検査がある。向かって右に男の子、左に女の子のキメラ図を2秒間提示する。

何を見たかと質問すると男の子と答え、それ以外のものは見てないと答えた。
30秒後に男の子を患者の左側に、女の子を右に提示し、各々を充分認識させたうえで、先に見たものを質問すると、「こちらです」と右手で男の子を指さした。しかし、その時左手は、右手を抑えようとし、女の子を指そうとした。患者に右手をしまうように指示すると、男の子ですと言いながらも左手で女の子を指さした。

「貴方は、自分の意志で男の子と思っているのですか?」と問うと、「そうです。女の子のことは知りません。」と答えた。


アパシー:Apathy感情がなくなった状態。何事にも関心を示さない心理的な状態で、自発的な目的講堂の量的な減少である。
抑うつの場合には、自発的に「拒否」という行動をとっている。

「自発的に目的のある行動をする」とはどういう現象か?
「行動する理由」は「報酬」を得るためである。
腹側被害野にはA10神経系と呼ばれる細胞が集まっており、興奮すると快楽を強めるドーパミンを次々と放出する。そのルートの一つは左右の大脳半球にある側坐核へ延びるルートで、もう一つは、記憶と学習にかかわる前頭前野へと延びるルートである。側坐核はドーパミンの入力を受けると、高揚感をもたらす。通常の場合には、ドーパミンは再吸収されて、高揚感は終息する。アルコールや薬物などの強い刺激はドーパミンの再吸収を阻害し、高揚感が持続する祭り状態となり、さらに悪化すると依存症になり、さらにドーパミンの再吸収がブロックされる。
アパシーはこの報酬系であるドーパミン系の機能不全の状態である。

もう一つのルートでドーパミンの入力を受けた前頭前野では快楽や高揚感を鮮明に記憶して、「またあの感覚を得たい!」とう衝動的な気持ちが強化される。
記憶回路による期待感のブーストが起こる。つまり記憶からドーパミン系が賦活される。海馬におけるアセチルコリン系の神経群も関与していることになる。

脳幹網様体賦活系は、覚醒状態を維持する脳内機序である。
青斑核は広く脊椎動物の中枢神経に認められる今日の背側に位置する小さな神経核である。中枢神経系の中で最も多数のノルアドレナリン含有ニューロンが集合している場所。覚醒のレベルの制御、選択的注意、ストレス、痛みの中枢性抑制、姿勢の制御に関与している。
麻酔下あるいは無麻酔下の動物では、青斑核ニューロンは5Hz以下のゆっくりとした自発発火を示している。青斑核に存在するすべてのニューロンは同期して発火する。動物の覚醒に先行して発火頻度を増加し、ハッカ頻度が高くなるとともに覚醒レベルは高くなる。青斑核ニューロンの発火頻度は、ノンレム睡眠時に減少し、レム睡眠時ではほとんど消失する。青斑核ニューロンを興奮させると動物は覚醒し、抑制すると動物の意識レベルは低下する。青斑核ニューロンは外界からのすべての感覚刺激に対して発火頻度を増やし、特に痛み刺激に強い興奮を示す。したがって、外界からの感覚刺激によって、眠っている動物が目覚め、覚醒している動物が覚醒レベルをさらに上げるのは、外界からの感覚刺激によって青斑核ニューロンが興奮し、脳全体にノルアドレナリンを放出する為である。


A.脳の正中矢状断面図 B.上丘を通る中脳横断面 C.下丘を通る中脳・橋横断面 D.橋上部横断面.図A中の破線b, c, dはそれぞれ図B, C, Dのレベルに相当する
図中の部位:1.中脳傍正中網様体(斜線はMorruziとMagounの実験で傷害された領域) 2.脚橋被蓋核 3.背外側被蓋核 4.視床(核群) 5.青斑核 6.背側縫線核 7.正中縫線核群 8.視床下部外側野 赤丸はノルアドレナリン作動性ニューロン群、青丸はアセチルコリン作動性ニューロン群、緑はセロトニン作動性ニューロン群

Default Mode Network(DMN)
『ぼんやり』と何もしないときに脳が勝手に仕事をしてくれるという脳内ネットワークの活動を言う。
意識する行動がすぐにできるように他の領域と連携して脳内ネットワークをアイドリング状態に保っている。
内側前頭前野(MPFC):前部内側前頭前野はエピソード記憶の検索、将来の出来事の期待、計画や展望記憶、課題準備や課題セットの生成と維持、自己や他者に関する情報処理、社会的情報の処理などに関係している。
脳の後部帯状回(PCC):エピソード記憶の検索、視空間的イメージなどに関係している。
DMNとして活動している場合は、内側前頭前野は記憶に基づいて自己に関係した心的シュミレーションを行うサブシステムであり、外側側頭葉は過去の記憶や先行する経験に基づいてシュミレーションの材料を提供するサブシステムであり、後部帯状回/楔前部は内側前頭前野と外側側頭葉に二つのサブシステムを統合する機能を持つ。



脳内アミン
ドーパミン神経:黒質から線状体に投射する黒質線条体系(運動系)、腹側被蓋ドーパミン細胞から辺縁系皮質に投射する中脳皮質系(作業記憶などの認知機能)、腹側被蓋ドーパミン細胞からそれ以外の辺縁系に投射する中脳辺縁系(報酬系)がある。
ノルアドレナリン神経:ノルアドレナリン神経の細胞体は中枢神経系では主に、橋中心灰白質内の青斑核にあり、そこから脳全体に投射する。
セロトニン神経:セロトニン神経の細胞体は、橋や脳幹にある縫線核群(B1~B9)から大脳・小脳・脊髄全体に軸索を投射している。大脳皮質、扁桃体には背側縫線核から、海馬には正中縫線核から当社があり、それぞれの起始核は異なる。
アパシーをきたす疾患群としては、アルツハイマー認知症の70%、脳卒中の30%、パーキンソン病の27%に見られる。


Diffusion Tensor Imaging拡張テルソン画像は、微細白質構造をとらえることができる撮像手法。脳内の水分子の拡散能を評価するのにつかわれてきた撮像手法で、急性期脳梗塞の診断に用いられてきた拡散強調画像DWIをベースにしている。脳において水分子の核酸方向は神経の走行する方向によって決定される。

このような拡散異方性は軸索の細胞膜やミエリン槽など水の自由拡散を妨げる構造物が存在するために生じる。拡散異方性の強さと方向の情報をTensorと呼ばれる楕球体にフィッティングすることで表現するのがDTIである。DTIから得られる指標としては二種類あり、一つは拡散異方性の程度を表すFA:Fractional Anisotropyであり、もう一つは見かけの拡散の大きさを表すADC:Apparent Diffusion Coefficientである。FAは0から1の間の値を取り、脳脊髄液のように水が自由に拡散できる部位では、0に、白質のように拡散が制限される場所では1日近づき、灰白質ではその中間の値を取る。ADCは異方性とは関係なく、脳脊髄液では水が自由に拡散できるため大きな値を取り、白質のように自由に拡散できない部分では小さな値を取る。

これらの指標の変化に対応する病態生理についてはいまだ解明が不十分ではあるが、以下の表のように求められている。

ACC:Anteror Cingulate Cortex前帯状皮質
脳の左右の大脳半球間の神経信号を伝達する線維である脳梁を取り巻く襟の様な方七をした領域。この領域には背側部(ブロードマン脳地図における24野)と腹側部(ブロードマン脳地図における32野)が含まれており、血圧や心拍数の調節のような多くの自律的機能のほかに、報酬予測、意思決定、共感や情動といった認知機能にもかかわっている。エラーの検出、課題の予測、動機づけ、情動反応の調節といった機能に関連するという研究結果も多くある。この部位への電気刺激がうつ病の治療に役立つという研究もある。

DTIを用いたネットワーク障害と症状の関連性の研究から、白質ネットワーク障害がアパシーを惹起させ、その結果二次的にうつ病を発症する機序も考えられている。

Diffusion Tensor Imagingを用いた精神疾患の研究

治療:
アパシーは一定の臨床症状を示す症候群であり、病態により治療も異なってくる。
パーキンソン病などにドーパミン神経系の遺贈が推定される患者では、ドーパミン賦活剤が、アルツハイマー病やレビー小体型認知症などのアセチルコリン神経系の異常が想定される患者ではドネペジルやガランタミン、メチルフェニデートの有効性が報告されている。


失語症:高次脳機能障害の一種であり、主には、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷されることにより、獲得した言語機能(「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」)が障害された状態。
聴覚理解:聴覚のシグナル情報は、それが言語性、非言語性であれ蝸牛から脳幹、視床の内側膝状態を経て側頭葉の上面のHeschl回(横側頭回)に伝わる。聴き取られた言語の認知や記号化された聴覚情報の保持は左半球のHeschl回後方のウェルニッケ野が重要な役割をになう。また側頭峡は聴覚情報をウェルニッケ野に伝えるのに重要な役割を持つ。これらの経路の傷害は聴力障害がなくとも聴覚理解の障害が生じる。
発語:発話の実行には左前頭葉のブローカ野が重要な役割を担っていると考えられている。その領域は三角部とその後ろの弁蓋部に分けられ、弁蓋部は島へさしかかっている。内包膝部も発話に関与する。発話の起動は補足運動野や帯状回、尾状核を結ぶ経路が重要ダルと考えられている。これらの障害では無言の状態が起こることもある。
復唱:Lichitheimは復唱のために特殊な経路があると述べている。しかし、伝導失語では、字性錯誤を合併することが多く、責任病巣が同じである可能性もある。縁上回皮質下の弓状束はウェルニッケ野とブローカ野を結び、この部位の傷害で復唱障害が起こるという説もある。
呼称:現時点では不明な点が多い


古典的な失語症の分類は、発語の状態で分け、理解障害があるかどうか、復唱が可能かどうかで分類していた。



しかしいろいろな研究から、理解障害が無い失語症はほとんどないことが分かってきた。
一見理解がよくても病巣的に疑われれば精査を行う。特にWernickeでは話しを「作る」。
失行・失認は除外したあと、「目を開けて・手を上げて」などの単純な命令をし、「左の手で右の耳を触って」などの左右の要素を入れた命令をし、「左手で膝を3回から叩いてから舌を出して」などの多段階命令を行う。「お腹すきましたか?」「おなかすいてはいないですか?」というように反対の意味の質問を行うことも有効である。


脳の障害部位と失語のタイプ
Aが侵されると言語理解の障害と復唱障害を主とする失語症が発現する(ウェルニッケ失語)。
M障害がされると言語理解は保たれるが自発発語も復唱もできなくなるタイプの失語が生じる(ブローカ失語)。
A→Mが離断した場合に伝導失語が生ずる。伝導失語では、言語理解文字発語も良好だが復唱は侵される。
A→概念中枢が離断した場合に超皮質性感覚失語が生じる。超皮質性感覚失語では復唱はよく保たれるが言語理解は障害される。
概念中枢→Mが離断した場合には超皮質性運動失語が生じる。超皮質性運動失語では、復唱は保たれるが自発発語が侵される。
A→Aが離断すると純粋語聾と呼ばれ、聴覚的言語理解だけが侵され、書字理解は保たれる。
M→mが離断すると純粋語唖が生じ、書字障害を伴わず発語の異常だけがみられるようになる。
純粋語聾と純粋語唖を皮質下性質語と呼ぶ。

この関係を脳の部位でみてみると下図のようになす。

Neurology

鶏の鳴き声を考えてみよう。同じ音を聞いて日本人は「コケコッコー」と表現するが、アメリカ人は「Cook A Doodle Doo!」と表現する。

それぞれの国の使用している言語の母音、子音で聞いた音を表現する際に差が生じ、長年の間にその音に対して、文化的、宗教的な意味が加味され蓄積されているが、個人の脳の中でも、耳位で聞いた音を聴力器官から、神経信号に変換し、聞いた音を復唱したり、その言語の持つ意味を理解し、過去に記憶された情報と照合する。その上で、何かを発言するのであれば、意志と関連し会話の土台をつくり、設定さ多言語を運動に反映する

記憶されている言語情報は、それぞれの単語で記録されており、一音節ずつ区切って発語すると、記憶の情報とのすり合わせが非常に困難となるため、かえって悪い対応をしていると言える。

日本言語の記憶は、文字として情報を記憶しているのであり、かな変換して記憶しているのではないため、ひらがなで提示するよりも漢字の方がよりリハビリに適している。言語習得前の小さい時期に時間が逆戻りしているのではなく、一度記憶した情報が取り出せない・取り出しにくくなっている状況である。


記憶障害:記名、保持、想起の三段階からなる記憶が障害され、大きく分けると記名障害と追走障害に分けられる。
記名:符号化encodeして覚え込み
保持:貯蔵storeし情報を維持し
想起:記憶された情報の中から検索retrieveして思い出す。


記憶は過去を想起するときの把持時間の短い順に即時記憶(immediate memory:数秒~数十秒)、近時記憶(recent memory:数分~数か月)、遠隔記憶(remote memory:数年~数十年)に分類される。即時記憶が短期記憶(short-term memory)、近時記憶と遠隔記憶は長期記憶(shlong-term memory)に分けられ、長期記憶は、陳述記憶(declarative memory)と非陳述記憶(non-declarative memory)に分けられる。
 

GazzanigaらがSquireらの長期記憶の分類をさらに発展させ、それぞれの機能と対応する嚢部位を明示させた分類を下に示す。

Congnitive Neuroscience Second Edition pp301-350、Norton, New York 2002

知識や経験など記憶内容がイメージとして再現できて言葉で表現できる記憶を陳述記憶と呼ぶ。陳述記憶は、意識に上る記憶、すなわち本人が意図的に学習して習得する知識や情報であることから顕在記憶(explicit memory)ともいわれる。1972年にTulving は言葉や様々なシンボルで表象・表出できる知識・情報、すなわち陳述記憶を命題記憶(propositional memory)と定義し、その命題記憶を個人的な体験の記憶に対応する「出来事記憶(episodic memory)と世界に関する知識に対応する「意味記憶(semantic memory)」に分類した。

意味記憶は、知的記憶(intellectual memory)とも呼ばれ、専門用語や客観的な事実・情報など意図的な学習によって習得される一般的な知識や教養に相当する。Tulvingは出来事記憶を意味記憶とは言費させて定義した。出来事記憶は常に新たな刺激・情報が入力されることから、変化しやすい状態にあり、保存された情報が変容したり検索が困難になることがあり、加齢によって減衰しやすい。これに対して、意味記憶は加齢の影響を受けがたい。また、出来事記憶は情報を時間軸上に配置して保持するのに対して、意味記憶では、意味の近い情報は空間的に近く配置され、意味の遠い情報は空間的にも離れて配置されると考えられている。
出来事記憶では、知覚情報がそのまま記憶されるのに対して、意味記憶では知覚情報をいったん解釈して記号化され情報としてしか記憶されないことがある。すなわち、出来事記憶は直接的な一時的知識・情報(first-hand knowledge)が登録されるのに対して、意味記憶はいったん処理された間接的な知識・情報(second-hand knowledge)が登録される。
Tulving の想定したSwrial-parallel-independent:SPIモデルでは、出来事記憶、作業記憶、意味記憶、知覚表象システム(perceptual representation system:PRS)を認知表象システム(cognitive representation systems)とし、さらに手続き記憶を加えた全5階層からなるとした。(Ann Rev Psychol 53:1-25, 2002)


意識の中に再現されなくとも自然に体が動くような技量や無意識の経験など、言葉で表現できない記憶は非陳述記憶といわれる。非陳述記憶は、本人が明確に意識できない記憶で、意図的に早期もできないが長期に保存されている無意識的な記憶であることから潜在記憶(implicit memory)といわれる。非陳述記憶は、さらに手続き記憶、(procedural memory)、プライミング(priming)、条件付け(conditioning)
手続き記憶:時間をかけて学習した刺激応答などのパターンを体が覚えている簡単には言葉で説明できない、意識しなくても使うことができる記憶。自転車の乗り方、タイピング、楽器、水泳などの練習。
プライミング効果:先行する刺激(プライマー)の処理によって、後続刺激(ターゲット)の処理が促進または抑制される効果。抑制される場合にはネガティブプライミング効果と呼ばれる。プライマーとターゲットの関係性から、直性プライミング効果と間接プライミング効果に分類される。
直接プライミング効果:プライマーとターゲットとで同じ刺激が繰り返されることで起こるプライミング効果のことを指し、通常は近くレベルで観察される現象。反応時間が早くなることで効果を同定できる。
間接プライミング効果:プライマーとターゲットが異なる場合に起こるプライミング効果であり、通常は意味レベルで観察される。例えばプライマーとして「トラ」が提示された際に、ターゲットとして「ライオン」が提示された場合には、「ヒマワリ」が提示された場合と比較して、ターゲットの語彙判断に要する時間が有意に早くなるなどの効果で評価される。
条件付け:古典的条件付けとオペラント条件付けがある。
古典的条件付け:梅干を見るとだ液が出るなどのように、経験の繰り返しや訓練により本来は結びついていなかった刺激に対して、新しい反応(行動)が形成される現象をいう。
オペラント条件付け:道具的条件付け、あるいはオペラント学習とも呼ばれる。オペラントはoperate(操作する)から派生した造語で、「働きかけるもの」という意味を持つ。古典的条件付けは、与えられる刺激に自然に反応する図式であるが、施行錯語学習に近い意味で、動物が自発的に環境に働きかけた結果、動物の行動が変化することをオペラント条件付けという。自分が行動した直後の環境の変化に好応し、その行動を繰り返す頻度に変化が生じることをオペラント行動と呼ぶ。その後の行動の頻度に影響を与えることを強化
(reinforcement)と呼ぶ。頻度が増えるときにpositive reinforcement、頻度が減少するときにはnegative reinforcementという。勉強をしていると誰からも叱られないが、勉強をやめたら叱られるという環境下では、叱られるという不快な刺激を避けるために勉強をするという行為が強化され、勉強の頻度が増す。こうした状態もオペラント条件具家に相当する。

感覚記憶:目や耳などの感覚器で受け取った外界の情報を一時的に保持しておくための記憶。重要でないと判断されたものは視覚で1秒程、聴覚で4秒程しか保持されない。いみがあるとはんだんされたものだけが短期記憶に送られる。
視覚(iconic memory):映像的記憶で、視覚的な情報を一時保持する。ほぼ一瞬だけ目で覚えるといった記憶
聴覚(echoic memory):聴覚的な情報を一時保持する。数秒保持される
短期記憶は、感覚記憶よりももう少し保持期間が長い記憶で約20秒間保持される。ある行動をとるために短期間たくわえられ、行動が終わると忘れてしまう記憶のことをワーキングメモリーと呼ばれる。例えば電話で相手先の名前を聞き、それを他の人に伝え終わったらすぐに忘れてしまうような記憶。短期記憶で保持できる量は7±2程度と考えられている。
サルを使った実験によると短期記憶している際は、大脳前頭野が強く活動していることが報告されている。前頭連合野のほかに側頭連合野も反応を示すが、前頭連合野の活動の方が側頭葉よりも早く始まり活動レベルも高い。
大脳辺縁系の海馬が長期間記憶するかどうかを判断する。脳内で唯一細胞分裂を繰り返す神経細胞の集まりである。
短期記憶が海馬に送られ、1ヶ月程度保持される。その間に長期記憶するか否かを、「生きていくうえで必要か否か」という視点で診査され、それを通過した情報のみ、側頭葉などの大脳皮質へ情報が送られ、長期間記憶が保存されることになる。海馬は危険な状態に置かれえた情報を記憶しておき、同じ状況に合わないように回避したり環境の変化にうまく適応していくために情報を取捨選択している。仕事などで必要だと思う情報は、反復して、何度も海馬に情報を送り、生存上必要と思わせない限り情報は記憶化されず、忘れ去られてしまうと考えられている。なお恐怖を伴った記憶は、大脳辺縁系にある扁桃体に貯蔵されると言われている(池谷裕二氏著『最新脳科学が教える高校生の勉強法』)。
手続き記憶は「体で覚えている記憶」とも言われ自転車の乗り方やスポーツの技能など体の使い方に関する記憶で、言葉で言い表せない記憶で、小脳や大脳基底核で記憶されている。小脳は筋肉の動きを細かく調整し、スムーズに動くための情報が記憶され、大脳基底核では、脳が体の筋肉を動かしたり止めるような大雑把な動きを記憶している。


記憶のメカニズム:
19世紀末にJamesは短期間一時的に記憶する一次記憶(primary memory)と永続に記憶する二次記憶(secondary memory)に分類した。
1958年にBroadbentは感覚貯蔵庫と短期貯蔵庫、長期貯蔵庫を想定したモデルを提唱
し、その形状から「マルタ島の十字架」と呼んだ。このモデルでは、入力刺激は最初に容量制約のない感覚貯蔵庫へ入る。次に容量制約のある短期貯蔵庫へ送られ、最後に、長期貯蔵庫へ送られ貯蔵される。

1971年にAtkinsonとShiffrinが提唱した多重貯蔵モデルは、感覚登録機(sensory register)、短期貯蔵庫(short-term storage)、長期保存庫(long-term storage)の三つの機能から構成される。感覚登録機に入力された情報の売り選択的注意(selective attention)によって抽出されたものは、感覚記憶(sensory memory)として短期貯蔵庫に短期間保存される。短期記憶は、まさに短期間一時的に保存するシステムであり、短期貯蔵庫の容量は小さいので、新しい情報が入力されると古い情報は自動的に消去される。しかしながら、複数の保存場所(slot)を有する「リハーサル・バッファー(rehearsal buffer)というメカニズムによって情報を循環させながら保持することができると考えた。同じ情報を何度も繰り返して学習・復唱すること、すなわちリハーサルにより、その中のいくつかの情報は長期貯蔵庫へと転送され長期保存される。短期貯蔵庫から長期保存庫に転送された情報は忘却されることなく半永久的に保存される。リハーサルの頻度と選択的注意の強度が大きいほど、短期記憶の情報が長期記憶として定着する可能性が高くなる。

ここでは、視覚系を経由して入力された感覚記憶はアイコニック・メモリー(iconic memory)、聴覚系から入力された感覚記憶はエコイック・メモリー(echoic memory)と呼ばれる。
多重貯蔵モデルにおける短期記憶は、単語綴りや数字の組み合わせなどの短い情報を聞いて、その直後に思い出すような状況では活用されるが、短期記憶が単一の情報原からの入力のみに対応すると仮定、するとそこで処理される情報量は限定的である。情報処理量を増大させる機能が作動記憶(working memory)である。すなわち、作業記憶は、情報を維持しながら同時に処理する「システムの保持と情報処理の並列作業を行う機能」と定義され、「記憶のバッファ」あるいは「こころの黒板」ともわれる。


BaddeleyとHitchが「作動記憶は、種々の認知課題を遂行するために一時的に必要となる記憶」定義して以来、神経心理学の様々な領域でその役割が強調されている。
彼らは音韻ループ(phonological loop)と視空間スケッチパッド(visual-spatial sketchpad)という言語性作動記憶と視空間性作動記憶を担う下位機能と全体を制御する中央実行系(central executive)から構成されるモデルを提唱した。ここでは、作動記憶は、自発的で目標指向的な記憶システムとして認識され、その記憶の制御に注意の実行系を重要視していることが特徴的である。

Baddeleyは蔭位ループと視空間スケッチパッドに加える第3の下位機能として、エピソード・バッファ(episodic buffer)を追加した。エピソード・バッファは、映画の映像記憶などのように時系列に対応して音声情報、視空間情報、言語情報を統合する機能を有し、さらに長期記憶情報や意味情報と連携する機能も持ち合わせている。

記憶スパン(memory span):数系列や単語系列を読み上げたものを記憶して、その直後に系列をそのままの順序で思い出して報告するときの、再生に成功した系列の長さと定義され、短期記憶の機能を評価する一つの尺度である。記憶スパンにはおのずから限界があり、個人差が存在する。短期記憶の記憶スパンに関する機能として、Millerは「チャンク(chunk)」という概念を提案した。情報をひとまとめにして記憶するときの、ひと塊、すなわち構造化された情報単位を「チャンク」と呼ぶ。一度に覚えられる記憶スパンには個人差はあるものの、成人では約7±2チャンクで、これをマジカル・ナンバー(magical number)と呼ぶ。

長期記憶形成にかかわる分子メカニズム
アメフラシの培養細胞を使った実験で、以下のことが明らかになった。
短期記憶では、一次的なcAMP濃度の上昇によるPKA活性化により、主に蛋白質の修飾によるシナプス促通が行われる。これに対し、長期記憶ができる時にはPKAが長時間活性化することで新しい遺伝子発現、タンパク質合成が起こる。その結果シナプスを構成する分子や、シナプスの形が変わり、シナプス促通が長時間保たれる。
遺伝子発現は、CREB1(cAMP responsive element binding protein)という転写調節因子の働きによって調節される。CREB1は標準配列CRE(cAMP responsive element:TGACGTCA)に結合し、PKAによって活性化されRNAポリメラーゼなどと複合体を作って遺伝子を発現させる。CREB1同士は二量体を形成して作用するが、CREB2はCREB1と結合し、遺伝子発現を抑制する。


展望記憶(prospective memory):将来行う行動についての記憶。計画した行為の内容をいったん意識の外に置き、手掛かり(キュー)が与えられるか、あるいは一定の時間が経過した後に記憶された予定行為を想起し実行する能力。展望記憶には意図した行為があるということ自体の想起である「存在想起」と意図した行為が何かという「内容想起」の二つの要素がある。
存在想起については前頭葉内側部、内容想起に関しては側頭葉と前頭葉の関与や、側頭葉内側部、視床背内側核、乳頭体を中心とする脳幹と前頭葉の一部の関与が示唆された。
fMRI(functional magnetic resonance imaging)などの脳機能画像を用いた研究では、前頭前野吻側部は展望記憶の意図が維持する際に関与、BA10内側部な内的に生起された思考の抑制に関する機能を担っており、BA10外側部が意図の維持に関与するという見解もある。また、前頭葉背外側部(BA9)や前頭葉腹側部(BA46)が二重の認知的操作や情報維持プロセスにかかわるという報告もある。
脳損傷者の展望記憶と時間認知に関する神経心理学的研究 黒崎 芳子



前脳基底部性健忘と検索手がかり
前脳基底部健忘:
1. 即時記憶は保たれているが慢性の経過をたどる前向性健忘を中心とした記憶障害が存在する
2. 意欲の低下、無気力、易刺激性、攻撃性増大や社会的不適応を示すなどの人格的変化や情動性の変化がある
3. 空想的内容の作話を伴うことがある
4. エピソードの時間的順序の障害、抽象的思考や問題解決力の障害、転導性の亢進、語流暢性の低下、意味的コード化の障害などの前頭葉性認知量買いも認められることが多い。
5. 名前や顔といった個々の刺激情報は覚えることができるが、それらを統合することができない
6. 刺激を時間的に正しく位置づけ配列して登録できない。できたとしても適切に呼び出すことができない
7. 記憶の欠損を埋めるための作話ではなく、空想的で自由気ままに作話する傾向がある
8. 再生や再任の障害が手掛かりを与えることによってかなり改善する
等の特徴がある。
潜在記憶の残存として、さまざまな情報や思考錯誤しながらの学習は誤りを排除できない。誤った情報が仮想現実として残存する。
これを避けるためにリハビリの際にErrorless Learning(間違えさせない学習)をする必要がある。
常に正しい情報のみを繰り返し入力し、謝ったら即時修正する。
短時間で完成できる課題と休息、担当者固定なども必要である。
記憶そのものの改善は困難で、メモリーノートを利用することも有効であるが、重症者はノートの尊大を記憶できない。


忘却のメカニズム:
学習した内容・情報、すなわち記憶痕跡が減少・消失することを忘却と呼び、減衰説(decay theory)、干渉説(interference theory)、手掛かり説(cue dependent theory)、抑圧説(repression theory)などがある。
減衰説:頭の中に形成された記憶痕跡は時間とともに薄れるという考え方。
100年以上前にEbbinghausは人の記憶が時間経過とともに変化する過程を忘却曲線(forgetting curve)により表現した。
健常人を対象に、子音・母音・子音からなる「jor, nuk, lad」といった無意味な音節綴りを記憶させて、時間経過に沿ってその際成立を測定して、記憶の保持と忘却の過程を研究した。20分後には58.2%は記憶されていたが、時間経過とともに記憶は失われ、1時間後には442%、9時間後には35.8%、1日後には33.7%まで減少し、その後記憶の低下は緩やかになり、6日後には25.4%、1ヶ月とには21.1%保持されていた。

すなわち、「人間の記憶内容は、記名した直後には、指数関数的に急速に減少するが、次第に緩やかな減少に転じ、一定時間が経過するとそれ以上の忘却がほとんど起こらなくなる」ことをしめした。記憶は時々刻々と減少傾向をたどるが、繰り返して何度も復讐することで一旦減少した記憶をその都度記名しなおすと徐々に固定化(consolidation)され保持されるようになることが示されていると考えられている。

減衰説に対して、複数の記憶痕跡同士が互いに干渉した記憶痕跡が消失して忘却するという考え方が干渉説という。過去に学習した内容が新たに学習した内容の早期を妨げることを順向干渉(proactive interference)、その逆に新たに学習した内容が過去に学習した内容の早期を妨げることを逆行干渉(retroactive interference)と呼ぶ。例えば、最初に会った人物の名前を「田村さん」と記憶したが、次に会った人物の名前を「村田さん」と記憶した時に、最初に会った人物の名前を「村田さん」と間違えて答えた時が順向干渉であり、逆に最初に会った人物の名前が頭から離れず、次に会った人物の名前を「田村さん」と間違えて答える時が逆行干渉である。

抑圧説は、精神的にショックを受けた出来事や外傷は、一時的ないし長期に渡って抑圧を受けるために、意識的に想起できない状態になることを指す。抑圧された記憶は、本人の心理的・行動的側面に様々な不適応症状を生じる原因となることが報告されている。

記憶の機能局在と健忘
重度の側頭葉てんかん患者の治療として両側の海馬を含む側頭葉内側部の切除を受けた症例HMは、眼前の情報に注意を向けているごく短時間の情報は記憶し、その情報内容について会話をすることも可能であったが、いったん注意が離れると、数分前の会話内容や行動内容も思い出すことができない重度の記憶障害を呈した。短期記憶を長期記憶に施行することが出来なくなった状況であり、それ以外にも術前10年間の記憶の一部も失われていた。手続き記憶は保たれていたので運動技能を新しく学習して上達することはできたが、自分が練習したことを思い出すことはできなかった。
その後動物実験や臨床報告から出来事記憶の障害は、大脳辺縁系の損傷により生じることが明らかとなった。
大脳辺縁系には、記憶の回路と呼ばれるPapezの回路と情動の回路と呼ばれるYakovlevの回路が存在する。
記憶の回路=Papezの回路:海馬体―脳弓―乳頭体―視床前核―帯状回―海馬という閉鎖回路、内側辺縁系とも言われる。どの領域でも両側性に損傷されると健忘が生じる。

情動の回路=Yakovlevの回路:扁桃体、前頭葉眼窩皮質、マイネルト基底核、視床背内側核がブローカ対角帯核を介して海馬と連結する回路である。嬉しい、楽しい、悲しいという情動に関する記憶は、昔のことでもよく覚えていて、このYakovlev回路がPapez回路と相互作用することで、感情的な記憶がよく記憶されると考えられている。


認知神経科学2011 13 118-132

損傷された脳の部位や病変の大きさ、原因疾患により症状は様々である。

Cummings JL, Mega MS.,br>Memory disorders. In: Neuropsychiatry and behavioral neuroscience. Oxford University Press, New York, 2003, pp.97-113

一般に損傷が優位半球(左半球)の場合は言語性記憶、劣位半球(右半球)の場合は視覚性記憶の障害が優勢となる。また、前脳基底部の障害による健忘と側頭葉や乳頭体や視床などを含む脳幹の障害などのそれ以外の部位の障害による健忘の間に、質的相違を認めたとの報告もある。
前脳基底部の損傷による健忘の特徴は、1.名前や顔などの個別の情報は覚えられるが、それらの統合ができない。2.刺激を時間的に正しく配列して記名することが出来ず、かりにできたとしても適切に想起することができない。3.再生課題の成績が手掛かり・ヒントによりかなり改善する。


健忘(amnesia)は、広義には認知症まで含め記憶障害の広い意味でつかわれることが多い。
分類:
内容から
   全健忘(global amnesia):健忘を呈する期間内のすべての出来事を想起することが困難な状態
   部分健忘(partial amnesia):思い出せる情報と思いだすことが困難な情報が混在する状態
時間軸から
   前向性健忘(anterograde amnesia):脳損傷を受けた時点以降の記憶が抜け落ちる状態、すなわち記名困難な状態
   逆行性健忘(retrograde amnesia):脳損傷を受けるより以前の出来事を思い出すことができない状態、すなわち想起が障害された状態
基礎疾患から
   器質性記憶障害:奇異質的脳損傷に起因する記憶障害、アルツハイマー病、血管性認知症、前側頭型認知症、レビー障害型認知症、ビタミンB1欠乏症に起因するWernicke-Korsakoff症候群、頭部外傷に起因する外傷後健忘、くも膜下出血や脳梗塞などの脳卒中、脳腫瘍、一過性全健忘などがある
   解離性障害(dissociative disorders)・解離性健忘(dissociative amnesia):心因あるいは精神疾患に関連した記憶障害
「重要な個人情報の想起が不可能になり、それがあまりにも広範囲にわたるため通常の物忘れでは説明できない状態」と定義される。全生活史健忘(generalized amnesia)や解離性遁走(dissociative fugue)なども含まれる。

前頭葉機能障害
前頭葉は人の発展に寄与した極めて重要な部位であるが、正未維持には重要ではないため脆弱である。
前頭葉は人が行動を開始し、または抑制する機能をつかさどっている。生活をする上で必要な情報を整理し、計画して処理・判断する機能に加え、自己を客観的にとらえることや感情を持つこと、言葉を発する機能もある。


障害を受けると以下の症状が出てくる。
遂行機能障害:論理的に考え、計画し、問題を解決し、推察し、そして行動することができない状態、またそれらを評価・分析できない状態となる。
作業のとりかかりが遅い、指示されたこと以外のことができない、時間の見積もりもうまくできず、モノを使用する際に工夫ができない、行動の先読みができないなどの症状も出てくる
易疲労性:急激な睡魔に襲われる、常に疲れやすいという症状が出てくるが、肉体的な疲労はない
意欲・発動性の低下:行動する意欲がわかない、自分から積極的に行動を開始できない
脱抑制・易怒性:身体の動静や感情を抑制することが困難となる
注意障害:表情の変化に乏しくなり、集中力が持続しない
非流暢性失語:左の前頭葉の損傷で生じることがある。本人が努力しても話がつっかえ、喋り方も遅く、リズムや抑揚に乱れが出てくる


中央実行系とはBaddeley&Hitchが1974年に提唱したワーキングメモリーモデルにおける中心的な構成概念であり、下位システムの記憶貯蔵庫(視空間スケッチパッド・韻音ループ)と相互作用して、それらの制御と情報処理を行う認知システムのことである。
SAS(supervisory attentional system):通常の習慣的な状況では、スキーマと呼ばれる刺激と反応とが定式化された自動的な系によってほとんどの行為が行われると仮定するが、何かしら通常とは異なる状況が生じた場合には、SASが意識的にスキーマの調整を行うことで、非習慣的な状況に対応するシステム

例えば「封筒の赤枠に捺印をせよ」という作業が与えられたときに、封筒が同じ大きさであれば同じ位置に捺印する作業を行うことになるが、違う企画の封筒が混じっていた際には、この封筒を横に避けたり、どう対応すべきかを上司に聞くなどの異なった講師に変更する必要が出てくる。
同じ大きさの封筒を処理している際にはSASは作動していないが、違う企画の大きさの封筒が出現した際にはSASが作動し、行為リストからいつもの作業の捺印するという行動から、別の行為を選択することになり、今まで思考をほとんど伴わずに封筒の同じ場所に捺印していた行為を、封筒を横に避ける、上司に聞くなどの別の行為を選ぶことになる。

前頭葉が障害されると、情報の一次保存ができないため、手にした封筒が同じものかどうかの(いつもの刺激なのか判断不能・情報の称号ができない)判断できず、行う劇更衣リスト自体が崩壊しているため、誤った行為を選択することになる。

前頭葉機能障害者への対応としては、
1. 十分な時間を与え、せかさない
2. やりたがることから開始する(カフェテリア方式)
3. 一度に多くの課題を与えない
4. 話には抑揚をつけて、短いキーワードを多用する
5. 落ち着いて集中できる環境をつくる(干渉刺激を避ける)
6. 戦略置換法:遂行すべき事柄をチェックしつつ行う
7. 遂行過程の言語性構造化:どのように遂行すべきか言語で説明させ自己分析させる
8. 賛否両論リスト作成訓練:あらゆる問題行動に対し、利点・欠点を列挙させる
 

今までのものをまとめると下図のようになる。


その他の頻度の高い高次脳機能障害

半側空間無視
左大脳半球頭頂葉項部の病変による右半側空間無視も見られるが、通常は右大脳半球頭頂葉項部の病変による左半側空間無視の方が多く、右半球の脳血管障害の約四割に見られる。
失認ではなく、注意障害と考えられている。見え無いのではなく、見ていないのでもなく、見えているもの左半分の情報を処理していないのである。
何時も右を向いている、顔を動かしても視線は左、左に曲がろうとせずぶつかる、車椅子の左ブレーキを忘れるなどの症状が出てくる。

左の脳波左側を注意できないのに比べ、右脳波右側もかなり注意できるため左半球の障害の場合には症状の出現頻度があまり多くないと言える。左半分の情報が処理できないために下図右のように右半分の絵が描かれていても花の絵だと認識される。

人物像や魚などの絵などをチェックすると右を向いているのがほとんどで、調べた人物像108人中106人が右を向いていた。


高次機能で左右半球の局在が知られているものを上げると以下の表になる。特に左利きの場合は非典型的なことが多い。有意半球中大脳動脈領域の皮質症状は言語に関連するものが中心である。失語、失書、失読などの言語関連の症状のほか、失行のうち肢節運動失行、観念運動失行、観念失行、口部顔面失行などが優位半球の症状となる。劣位半球の皮質症状は認知障害が主体となる、半空間無視、身体失認、病態失認、地誌的失見当などの認知障害のほか、失行のうち構成執行、着衣執行が右半球の症状となる。
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失行(Apraxia):運動障害もないのに学習された行為を合目的に遂行できない状態という高次機能障害
失行の検査:標準的な検査法としてはWAB失語症検査の行為の下位検査や標準高次動作性検査などがある。これらは神経心理学の経験が十分な検者が行うことで客観性を保っている。簡便な方法としては以下の様な診察方法がある。
1. 簡単な運動や動作:軍隊式の敬礼を行う、手指を順次屈曲させる、眼を閉じる、口を開く、口笛を吹く、起立する、歩行するといった動作を行う。鉛筆で嚙みに図形を書かせたり、模写をさせる事もある。
2. 物品なしに物品を使うマネ:金槌を使うマネ、ドアをノックする真似をさせる。
3. 物品を用いる簡単な動作:鍵や鉄鎚を実際に使わせる。衣類を着せ観たり、マッチ棒で図形を描いてもらう。
4. 運動の複合:マッチでろうそくに火をつける。ポットと急須を使い湯呑に茶を注ぐ。
失行患者の示す誤り
1. 形をなさない無意味な運動:指を広げる、腕を振り回す、手探りで探し回るといった無意味な運動が誘発される。
2. 運動が大まかになったり下手になったりする:軽度の麻痺や感覚障害、遅行運動障害との区別が難しい。
3. ある意味のある行動の代わりにほかの意味のある運動を行う:敬礼の代わりにバイバイを行ったり、鍵を歯ブラシのように使う。
4. 一連の運動のうちその部分行為を間違えたり、省略したり、物品との関係を間違える:マッチを点火せずろうそくにこすり付ける。ろうそくをマッチ箱にこすり付けるなど。
5. 前の運動の保続、保続の構成要素が新しくあらわれた運動と融合することもある。
6. 運度が中断したり、途方に暮れる。


代表的な失行

口腔顔面失行:観念運動失行が口腔顔面領域に起こった場合、口笛を吹く、舌打ちをするといった動作が出来なくなる。球麻痺と鑑別する必要がある。
脳梁性失行:脳梁前半部の障害で非優位側のみに随意運動の命令が伝わらなかった状態をいう。右手の命令動作はできるが左手の命令動作が出来なくなる。

治療:内科的な治療はなく、理学療法、作業療法によりある程度機能改善が得られることがある。
ゼスチャーを理解すること、単純な模倣訓練、Training of details、誤反応のFeedback などを日常場面において自発的な動作発現するまで繰りかえす。


視覚失認:脳の器質的な障害により、要素的な感覚障害がみられないのに、その感覚を介し、対象の意味、認知が失われた状態を失認症という。視覚失認は、眼前のなじみのあるものがはっきり見えているのに、それが何であるか分からない、見たことがあるかどうかも分からない、その使用法、機能を示したり説明することもできない。しかし、触れる、音を聞く、嗅ぐ、味わうなど、視覚以外の感覚を介すると直ぐそれとわかる病態。文字の場合も同様で、音読、黙読ができないが運動感覚や聴覚を介すると即座に読むことができる。例えば、音、訓、部首を言う―図画のズ、文字を書くのカク、ヤカタと書いて難と読みますか―即座に図書館と反応することができる病態。
視覚失認には、視覚物体失認、相貌失認、純粋失読、色彩失認、街並み失認がある。

相貌失認:視覚対象失認、純粋失読に比べ、障害は重度であり、発症数年を経てもなじみのある人の同定はできない。顔につけた付属物のリボン、上方、髭などは何となく認識できる。また、眼、口、鼻などの顔の部分を述べることができ、顔の特徴(眉毛が濃い、額が広い、頭髪が薄い、頬が張っている、団子鼻など)を表現することができるが同定することができない。男女の区別もできないし、老若の判断もできないし、喜怒哀楽の表情も判断できない。

診断にあたっては、当該患者には視覚対象の認知を妨げるような視力・視野障害を含む視知覚障害や失語症や知的障害、視覚注意障害が無いことを確認しておく。
同時失認は視覚失認でも合併することがあるが、これは視覚注意性障害であり、責任病巣も異なり、高次視覚障害の範疇に入れるが狭義の視覚失認ではない。半側視空間無視も同様で狭義の視覚失認ではない。

Farahは島角型をさらに細分化してその中で背側型、腹側型同時失認を記載している。

視覚失認と区別が必要な類似症候に視覚失語がある。
いずれも視覚対象の呼称ができないが、視覚失認はそれが何かわからない。視覚失語は何であるかわかっているが名前が分からない。名前を喚起できない状態である。呼称の誤りに特徴があり、視覚失認では、形態類似の誤りが、視覚失語は迂言(呼称が出来ず、遠回しに機能、使用法を説明する)、意味類似の誤りがみられる。

Jpn J Rehabil Med 2008;45:728-737

サッチャー錯視:上下を反転させた倒立顔において、局所的特徴の変化の検出が困難になる現症。同一の変化は、正立顔では簡単に検出できる。
 

顔知覚には特別な心理的な過程が働いており、正立顔が特に効率的な処理を受けるためであると考えられている。顔はそれぞれの類似性が極めて高いにもかかわらず、ある顔がほかの顔と同じように見えることはない。我々は、顔を区別するための特別な過程を発達させており、顔処理の過程は全体的な配置(顔にある個々の特徴的な構造的な関係)と同様に、目、鼻、口などの個々の特徴の細部に依存していると推測される。顔が倒立した時には、配置についての処理は生じないため、小さな違いであっても検出するのはより困難になる。こうした効果は、相貌失認の患者では生じない。

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

2019年8月22日 木曜日

復職に向けて 痙縮治療 佐々木信幸先生

2019年6月2日 
演題「復職に向けて リハビリテーション医学の立場から」
演者: 慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座 佐々木 信幸 先生
場所:品川区立総合区民会館 きゅりあん
内容及び補足「
復職に当たり考えるべきこととして以下のものが挙げられる。
1. 移動能力や作業能力はどの程度か
痙縮治療
装具療法
2. 会話や適切な記憶・判断はできるのか
アパシー
失語症
記憶障害
前頭葉機能障害

まず、『痙縮治療』について述べる。

痙縮:筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくかったり、勝手に動いてしまう状態。
思い通りに動かせない随意性低下と筋緊張の亢進(痙縮)の状態である。
運動には以下のように9段階の階層があると考えられている。


伸張反射: stretch reflex 骨格筋を急に引き延ばした際に神経を介した縮みかえす反射
筋線維の隙間にある筋紡錘muscle spindleと呼ばれる数mmの長さの装置が筋線維の走行に沿っていくつも埋まっている。両端が隣接する筋線維細胞の鞘(さや)に連結している真ん中が膨らんだ紡錘形をしている。
筋紡錘は、周りの筋線維よりも細い数本の錘内筋線維とその外側にある錘外筋線維からなり、錘内筋線維の中央部部分は筋としての性質はなく、弾力性により一定の長さを保っている特殊な構造があり赤道部Equatorial regionと呼ばれる。筋紡錘が引き伸ばされたときに実際に伸びる部分でもあり、この部分につながっている求心性神経線維(1a群求心線維と2群求心線維)に興奮信号が発生する。
筋肉が何らかの原因で両端方向に引っ張られると、錘外筋が引き伸ばされると赤道部分がのばされる。赤道部から興奮信号が求心性神経を伝わり脊髄に入り、遠心性ニューロンefferent neuronであるAα運動ニューロンalpha motorneuronに興奮信号を伝え、その支配下の錘外筋線維が神経筋接合部neuromuscular junctionを経て、一斉に収縮する。
この反射にかかわる求心性線維も遠心性線維も、最も太い有髄神経線維であるので、それなりに時間がかかる(潜時:latency)反射である。
随意運動で、脳からの指令のままに筋肉が伸びている間は、赤道部の長さは一定で、むやみに引き延ばされないように調節されている。筋が縮む場合も筋内線維がたるまないように刻々調節されている。
筋を短縮させて関節を動かしている時、筋紡錘は脳の指令に従って常に筋の長さ変化を監視している。力を入れて何かを持ち上げようとした時、予想尾通りの重さだった場合には、筋紡錘は特段働きはしない。しかし、予想とは異なり重い場合には、脳が想定したほど筋肉は縮まない。一方で別の神経の指令を受けている筋紡錘だけはあらかじめ計算された長さに縮んでいる最中である。筋紡錘は縮もうとしているのに睡外筋はそれほど縮まないため、睡内筋線維の赤道部が引き伸ばされ、強い興奮信号が出て、その筋をもう少し強く収縮させることになる。
https://gozasso.com/kikkenlab/044-stretch-reflex/

筋の伸張は2種類の求心性線維に脊髄に伝えられ、脊髄では、それらの求心性線維がα運動細胞と興奮性に結合して筋が収縮する。求心性線維は1a群線維と2群線維があり、筋の伸張のされ方により発射様式が異なる。
1a群線維は主に伸張速度に比例し、2群線維は筋の長さに比例して発射する。伸張反射の制御には、筋紡錘の紡錘内筋線維の支配を行うγ運動ニューロンが大きな役割をしている。γ運動ニューロンは、錘内筋線維の両端にシナプス結合し、錘内筋線維に対し遠心性の支配を行っている。γ運動ニューロンには、動的応答に対するγ運動ニューロンと静的応答に対するγ運動ニューロンがあり、筋の伸張速度・筋の長さの変化に応答し、筋紡錘の感受性を制御し、α運動ニューロンとともに運動の調節を行っている。
筋紡錘は、錘内筋線維が遠心性の支配を受けることにより、筋紡錘自身の感度を中枢性に変化させることができる。逆に、錘内筋線維の適度な収縮(予備緊張:pretensioning)が、筋紡錘内の伸展受容器の閾値(筋紡錘の感度)を任意に変えることができ、睡外筋線維の筋緊張(姿勢・運動時)をコントロールしている。


姿勢反射:姿勢調節は主に脳幹にある姿勢反射中枢で行われ、脊髄反射も姿勢維持に働いていて、小脳・大脳ともに姿勢制御に関与している。姿勢調節には、フィードバック式の調節およびフィードフォワード式の調節がある。
フィードフォワード式調節は、これから行う運動に伴う外乱を事前に予測し補正する機構で、大脳皮質運動野から脊髄へ下降する皮質脊髄路が脳幹網様体で軸索側枝を投射し、網様体脊髄路細胞を活性化する経路が考えられている。事前予測時の「姿勢の構え」が筋緊張の調節に関与している。


筋緊張の検査は、受動的な筋の伸張を中心に、視診・触診・動作による観察で行われている。客観的評価方法として、痙縮の評価においてはModified Ashworth Scale、Fugl-Meyer評価法などがある。
筋緊張異常の要因には、一次的障害(神経原性因子)と二次的障害(非神経原性因子)があり、脳血管障害においては、いくつかの問題が組み合わさっていることが多い。


筋緊張異常の検査方法
第1:静止時筋緊張検査
第2:他動運動での筋緊張検査
第3:動作時筋緊張検査
第4:深部腱反射による検査
が行われるが、第1と第2の検査は、一次的障害と二次的障害の両者が含まれており、第3と第4の検査はより一次的である弛緩・痙縮・筋固縮の影響を反映している。

上位運動ニューロン障害に対する治療法:
フェノールやアルコールの局所注射によるモーターポイントブロックや抗痙攣薬、化学的脱神経剤としてのボツリヌスとキリンの局所注射、外科的治療、リハビリテーションなどがある。


脳血管障害片麻痺の筋緊張コントロール
1. 姿勢と運動の調節(自動的調節)
我々が姿勢保持や運動を行う際、大脳皮質をはじめとする行為中枢がその発現と調節を行っているが、姿勢・動作・その他生態に起こる身体の調節系(呼吸・心臓血管系・嚥下・咳など)は、自動性の性格が強い運動(特別に意識しなくて行われる運動)が多い。そのような運動は、脊髄や脳幹の反射中枢を介しての反射によりまかなわれ(パターンジェネレーター)、それをより高位中枢が制御している。脳は運動の制御に対し階層性を形成しており、より自動性の性格の強い定型的な運動パターンは、階層性の最下層をなす。脳血管障害の場合、適切な感覚入力が低下し、このパターン化された機能を制御することが困難になる。その原因の一つに筋緊張のコントロール低下がある。


2. 臨床面からみた筋緊張の分類
筋緊張は、脳障害そのものによる神経原性因子とそれ以外の非神経原性因子に分類される。
a) 筋・皮膚などの軟部組織のバイオメカニカルな変化(連合反応や代償活動により筋が常に同じ収縮や刺激を受ける場合や、低緊張や弛緩のように筋線維に変化が起こりにくい状況下では、筋節の増大および減少、コラーゲンの増大といった筋線維にバイオメカニカルな変化)が生じ、大きな問題となる。さらにそれらが、b)代償・誤動作、c)環境との問題により症状を複雑かつ難解化させることが多い。


3. 治療の階層性
脳血管障害の急性期は、筋が比較的弛緩している状態が多く、肩甲帯及び骨盤帯の後退が起こりやすい。それ以降、痙性期に向かうつれ痙縮筋の出現により上肢は屈筋群、下肢は心筋群の筋緊張が亢進する場合が多く認められる。正しいポジショニング、適切な介護・介助、適切な移動動作の学習がなされていないと、非麻痺側上下肢および体幹筋群の過剰な代償を導き、結果的に連合反応の支配下に陥る場合が少なくない。この状態を長く経過すると、筋や皮膚のバイオメカニカルな変化が生じ、短縮・拘縮などが出現し、痙縮の状態に拍車をかけることになる。


この状態になると移動は多大な代償を必要とし、ウエルニッケマン肢位や外分廻し歩行のような片麻痺症状特有の姿勢を導く。経過が長くなるほどこのような姿勢・動作が習慣化され、ADL能力を低下させる。したがって、肩甲帯・骨盤帯の後退防止、四肢・体幹の関節可動域の維持、過剰代償動作の抑制が筋緊張のコントロールには大変重要である。非神経原性因子を作り出さないことが筋緊張のコントロールの基本的に重要であり、脳の回復に伴い感覚系に対しより適切な入力を行いながら、筋弛緩に対しては促通を、痙性筋に対しては抑制を、患者自らがコントロールできるように導くことが重要である。


4. 筋緊張のコントロール
1) 相反抑制・相反神経支配と連合反応
相反抑制とは、求心性線維である1a群線維が、拮抗筋の1a群線維のシナプスにシナプス前抑制として結合し、拮抗筋の脊髄神経機構を抑制させること。また、相反神経支配とは、健全な生体において、相反抑制をより高位中枢機能の働きにより調節し、協調的な運動を行うのに働く機構である。四肢・体幹の様々な部位(主動作筋・拮抗筋・共同筋群)にこの相反神経支配が働くことで、姿勢の保持・協調的(段階的)動作・平衡の維持などに関与している。
一方、連合反応は、ある筋に強い収縮を出現させたとき、他の筋に筋収縮を誘発させる現象である。脳血管障害片麻痺患者にみられることが多く、非麻痺側上下肢や上部体幹・腰背部筋群などの過剰な代償活動で、麻痺側上下肢に無意識的に筋収縮が誘発する現象(強い手指の屈曲や足部の内反など)はよくみられる。痙縮筋に顕著に出現する。患者の過度の努力や異常な精神状態において痙縮をより亢進させ、動作の遂行を妨げる反応となる。この反応は、正常な相反神経支配機構が、高位中枢の制御が不十分なことにより起こると考えられる。治療としては、適切は環境設定(治療場面・生活場面)を準備することが必要である。


2) 神経原性因子に対するコントロール
痙縮等、筋緊張の亢進している場合は抑制(減弱)、弛緩している場合は促通、そして失調やバランス障害に対しては協調的(段階的)収縮の獲得が基本である。
動作能力の追及を主体に行うと、過剰な代償活動を導き、連合反応の出現などにより正常な相反神経支配を構成できず、協調的(段階的)動作(リズミカルな動作)は困難になる。また、他動的手技(ストレッチ・モビライゼーション等)による効果は静的場面の状況に過ぎず、動的場面のコントロールは随意的(自動的)動作の中で行うことが必要である。過剰な代償動作を抑制し、症状に応じて随意的(自動的)動作の中で感覚入力を行いながら治療を行う必要がある。
3) 非神経原性因子に対するコントロール
a) 筋や皮膚などの軟部組織の問題に対しては、柔軟な組織になるように治療することが重要
b) 環境には、治療場面の設定・治療の選択・治療手技等、治療に関するものと、患者本人の状態・個人的情報(性別・性格などに起因する)などに関係するものがある。
c) 正常動作を学習するとき、脳の回復状況により代償動作は必要である。適切な代償動作を学習させることが重要である。絶えず適切に評価し、誤動作を指導・治療しないように気をつけることが重要である。
4) 筋緊張のコントロールに必要な基本的な動作と介助
  a) ポジショニング:急性期弛緩期から常に治療場面や患者の生活場面において、適切なポジションの設定は重要。適切な肢位や姿勢がセットされていないと、正常な相反神経支配機構の崩壊による神経機能回復の低下、非神経原性因子の構成の危険がある。注意点としては、頭頚部伸展、肩甲帯の後退や上肢の下垂、肘関節の屈曲と前腕の回内、手関節・手指関節の屈曲、骨盤帯の後退、股関節の外旋、足関節底屈、足部内反がある。
  b) 基本動作:非麻痺側優位の動作による麻痺側の後退と過剰代償動作の予防が必要。常に麻痺側を無視しない動作(麻痺側上下肢の動作への参加)と動作時の頭頚部の動きに注意が必要。頭頚部の動きは、体幹筋の活動に影響を及ぼすため、正常動作を充分に理解したうえで、急性期から適切に介助や治療を行うことが重要。
  c) セラピストの技術
        操作(タッチ)の方法:不快感(痛み・違和感など)を与えないこと
        他動的治療(操作):非神経原性因子を除き、神経原性因子に対しては他動的に誘導しすぎない。患者の随意的(自動的)動作の中でコントロールさせることが重要。
        コマンド(指示・命令):過剰な声掛けは患者を混乱させる。声のトーン・大きさ・声掛けの方法(叱る・幼稚な声掛けなど)なども精神面(環境要素)に影響を及ぼすので注意が必要
       介助:介助量は過大すぎると十分な筋活動が発揮できなくなる。恐怖感を与えない適切な位置での介助が必要。適切なファシリテーションテクニックやそのハンドリングはより正しい反応を出現させ、筋緊張をより適切にコントロールさせることができる。

相反神経支配の観点から筋緊張のバランスのとり方
1 同側(麻痺側)
a) 麻痺側の肩甲帯の後退:僧帽筋上・中部線維、大胸筋、肩甲下筋等の筋緊張亢進
  ↕
麻痺側の三角筋、小円筋、棘下筋(肩関節屈曲・外転等)、前鋸筋、広背筋、上腕三頭筋、大小菱形筋(肩甲骨上方回旋・外転・下制・内転)等の筋緊張低下
  b)腹筋群(腹斜筋・腹横筋)、抗重力伸筋(下肢)の筋緊張低下
    ↕
腰背部筋群。腰方形筋(骨盤拳上筋)の過剰代償
2 対側(麻痺側と非麻痺側との関係)
a) 麻痺側腹筋群の筋緊張低下
    ↕
非麻痺側脊柱起立・筋非麻痺側肩甲帯・肩関節周囲筋(肩の拳上)・頚筋群の過剰代償
b) 麻痺側上肢帯の後退(上記痙性筋と低緊張筋)
    ↕
非麻痺側上肢帯の屈曲・上方回旋筋および頚筋群による過剰代償
c) 麻痺側腹筋群の筋緊張低下(骨盤後退)
    ↕
非麻痺側腰背部筋・股関節屈筋群・骨盤拳上筋・腹筋群の過剰代償(骨盤前方位)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/3/0/3_0_21/_pdf

大脳から運動をする指令が出た際に、筋が受動的に引き延ばされると、筋紡錘が活動し、求心性の1a感覚ニューロンから脊髄の反射中枢へ情報が伝達され、脊髄から遠心性のα運動ニューロンへ情報が伝達され、筋肉を収縮させる。伸張反射と同時に拮抗筋へ向かうα運動ニューロンの活動を抑制し、拮抗筋の収縮を起こりにくくして伸張反射を助ける。

https://www.study-channel.com/2015/07/stretch-reflex.html

通常脊髄の反射回路の興奮性は、上位運動ニューロンにより、促進と抑制のバランスが保たれるように制御されているので、腱反射が消失したり、過度に亢進することはない。
通常脊髄の反射回路は、促通性と抑制性の上位運動ニューロンにより制御されているが、脳卒中などの病変が生じると、上位運動入論の促通と抑制のバランスが崩れ、痙縮が発症する。
上位運動ニューロンとは、脊髄を制御する下行性経路(Desending pathway)をいい、視蓋脊髄路Tectospinal tract、赤核脊髄路Rubrospinal tract、皮質脊髄路Corticospinal tract(CST)、脊髄網様体路Reticulospinal tract(RST)と前庭脊髄路Vestibular spinal tract(VST)がある。
視蓋脊髄路:中脳の上丘に起源があり、主に眼球運動の方向づけに関与。

赤核脊髄路:中脳の赤核に起源があり、四肢の遠位筋に関与する。人ではほとんど使用されていないが、脳卒中後の機能回復に寄与していることが示され、最近話題になっている。
皮質脊髄路:運動野を起源とし、放線冠、内包後脚、大脳脚、橋、延髄の錘体路を通る経路。錐体で対側へ交差し、外側皮質脊髄路として脊髄の側索を下行する。
1968年LawrenceとKuypersはサルの皮質脊髄路を切断し、健常児と同じように、立つ、座る、歩くという動作は可能であったが、目的物に手を伸ばして握ることが出来ず、指を個別に動かすことが困難となることを示した。末梢の巧緻性に関与しており、立つ、歩くという行動には関与していないこをと示した(Brain. 1968 Mar;91(1):15-36)。その後、皮質脊髄路は、主に末梢の運動の分離に寄与すること、外側皮質脊髄路は望まない菌の収縮が行われないように抑制性のニューロンを興奮させることにより運動を分離させている。
ヒトのラクナ梗塞のケーススタディより筋の弱化は認めたが痙縮は認められなかった。(J Neurol Sci. 2000 Apr 15;175(2):145-55)


脊髄網様体路:延髄の網様体に起源をもち、延髄網様体は背側網様体脊髄路を介して四肢の筋緊張を制御する役割を担っており、その機能は大脳皮質からの皮質網様体路によって制御されている。


LawrenceとKuypersはサルの皮質網様体路を損傷させ、その結果、体幹や近位筋の制御が困難になり、歩くことや立つことができなくなり、筋緊張の亢進が認められた。
ヒトにおいても病態モデルから下行性経路の役割を調査した結果、運動前野や皮質網様体路の損傷により痙縮が生じることが示されている(Brain. 1993 Apr;116 ( Pt 2):369-82)。
運動前野や非汁網様体路が損傷されると、延髄網様体の抑制機能が働かなくなり、背側網様体脊髄路を通じて脊髄の反射回路の興奮性を抑制することができなくなり、脱抑制となった脊髄の反射回路の興奮性は高まり、筋緊張の亢進が生ずる。


前庭脊髄路:橋から延髄にある外側前庭核を起源とし、前庭器官からの重力情報に反応して、頚部、体幹、下肢の筋緊張に関与している。


前庭脊髄路の脊髄の反射回路への関与は、前庭電気刺激(Galvanic Vestibular Stimulation:GVS)を用いた研究により解明された。
GSVは、微弱な電気刺激により非侵襲的に前庭脊髄路を促通したり、抑制することができる。
GVSにより前庭脊髄路を興奮させるとヒラメ筋のH波の振幅は増大するが、抑制では、H波の振幅は変わらない。

前庭脊髄路は足関節底屈筋の反射回路の興奮性を促通させる機能がある。
重力方向の変化を前庭器官が感知すると、前庭脊髄路は興奮し、脊髄の反射回路の興奮性を促通する。わずかな頭部の変位に応じて、前庭脊髄路が重心を規定面内に維持させる様に抗重力筋の興奮を促通してくれているから安定した立位を保つことができる。

ヒトは急に大きな音を聞いて驚くと背筋がピンと伸びて、下肢の抗重力筋の筋緊張が反射的に亢進する。このような反応は、驚愕反射といわれ、音による巨額反射を聴覚性驚愕反射:Audiogenic Startle Reflex (ASR)と言う。
また、網様体脊髄路のもう一つの下行路である内側網様体脊髄路は、橋の網様体に起源をもち、体幹や近位筋の緊張の制御に関与している。

錘体路を損傷した急性期の脳卒中患者を対象にASRによる反応も見てみると、弛緩性麻痺にもかかわらず筋緊張の亢進を認め(Neurology. 1997 Aug;49(2):470-3)、さらに痙縮のある脳卒中患者では、ASRによる過度の筋緊張亢進がみられている(Neurology. 2004 Jan 13;62(1):114-6)。
筋緊張を反映する脊髄の反射回路の興奮性は、橋・延髄の外側前庭核に起源をもつ前庭脊髄路と、橋の網様体に起源をもつ内側網様体脊髄路の2つの下行路による促通機能と、延髄の網様体に起源をもつ外側網様体脊髄路による抑制機能によってバランスが保たれている。前庭脊髄路、内側網様体脊髄路ともに大脳皮質の関与は受けておらず、大脳皮質の関与を受けているのは、皮質網様体路を介して制御されている脊髄の反射回路を抑制する外側網様体脊髄路のみである。

除脳硬直を発症させるのは、橋・延髄より上の中脳レベルでの大きな損傷であり、皮質網様体路のみが損傷され、大脳皮質と連結のない前庭脊髄路や内側網様体路は影響を受けず、結果として皮質網様体路の損傷による延髄網様体機能不全により脊髄の反射回路は脱抑制となっている状態となる。さらに、大脳皮質から影響を受けない前庭脊髄路と内側網様体脊髄路は、脊髄の反射回路の校風性を促通し続けるため、除脳硬直の特異的な状態である過剰な体幹進展や下肢の伸展パターンが形成される。



参:H反射(脊髄の興奮性を表す指標)
脊髄の興奮性は脳から抑制が働いているが、脳卒中などにより錘体路や錐体外路酒害があると、脳からの抑制が弱まるため、脊髄の興奮性が高まる。そのため、腱を叩くと筋の収縮が過度に生じ、筋収縮や関節運動の変化から腱反射の亢進状態が分かる。
Paul Hoffmannは打腱器の代わりに電気刺激を用い、筋収縮や関節運動の評価を筋電図により評価した。筋に電気刺激を与えると、太く興奮しやすい感覚神経である1a線維が刺激され、刺激は上行し脊髄内に届く。電気刺激は、脊髄内でシナプスを介してα運動ニューロンに伝わり、α運動線維を下行して筋に到達し、筋収縮が生じる。この筋収縮を筋電図波形(H)として評価する。

H波の振幅や潜時の増減により脊髄の興奮性の変化を示すことができる。
筋電図を用いることにより、腱反射よりも詳細に客観的に評価でき、運動時にも測定できるのでリハビリテーション医療に大いに役立っている。
立位姿勢を維持する際に、僅かであるが前後に体が揺れて(Ankle Strategy)いて、その為の筋肉の動きを制御しているのは、測定感覚からの情報を、H反射を介して、重心(COM)の揺れを足圧中心(COP)を移動させて姿勢を維持している。COMとCOPは同じ奇跡を示している。

立位時のCOPの前後の変位、ヒラメ筋の筋電図所見、H反射を同時に測定してみると下図のようになり、COPが前方変位した際、ヒラメ筋の筋活動の増加とH反射の振幅の増加がみられる。

立位時のCOPの前方変位の際に、測定感覚の入力部位が前方へ移動し、その入力が脊髄の興奮性を高めた結果、H反射が増大し、ヒラメ筋の筋活動による制御が働いたと推測される。

https://www.rehabilimemo.com/entry/2016/09/18/124502
https://www.rehabilimemo.com/entry/2016/10/04/163409
https://www.rehabilimemo.com/entry/2016/09/29/150855


https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnhum.2015.00192/full

Burnnstrom Recovery Stage:スウェーデンのSigne Brunnstromにより考案された評価法。
脳卒中の運動麻痺の回復過程を順序により判断するために考案された尺度。
Stage 1:弛緩性麻痺(完全麻痺) 筋肉がだらっと緩んでしまっている状態で、自分では全く動かせず、脳卒中発症早期に見られる。
Stage 2:連合反応の出現 連合反応が誘発され、体の一部を強く働かせると、他の麻痺した部位まで筋収縮や運動がおこる。例として、「あくび」や「くしゃみ」をした途端、上肢では腕や指が曲がり、下肢では足がピクンと真っ直ぐに伸びる。
Stage 3:共同運動パターンの出現 共動運動では、個々の筋肉だけを動かそうとしても、付随する他の筋肉まで一緒になって動いてしまう(一定の運動パターン以外の運動ができない)。共同運動には、屈筋共同運動(足や手が全体的に屈曲方向に曲がってしまう)と伸筋共同運動(足や手が全体的に伸びてしまう)の2種類の運動パターンがある。
Stage 4:分離運動の出現 共同運動のように全体的に動いてしまうのに対して、それぞれの関節が少し分離して動くようになる。
Stage 5:分離運動の進行 共同運動・痙性の出現が弱くなり、より多くの(分離)運動が可能になる。
Stage 6:さらに分離が進み正常に近づく 共同運動・痙性の影響がほとんどなくなり、運動の協調性や速度も正常に近づき、個々の関節がかなり自由になるが少しぎこちない状態。


ゴルジ腱器官の反射:
筋腱に持続的な伸張が加わるとその筋の収縮を抑制する反射:1b抑制、自原反射ともいう。
健が伸張されると筋腱移行部にある受容器(ゴルジ腱器官)が活動して、求心性の1b感覚ニューロン、脊髄の抑制性介在ニューロンの順に興奮が伝わる。次に抑制性介在ニューロンが遠心性のα運動ニューロンを抑制し、その筋の活動を妨げる。その一方で拮抗筋には運動ニューロンを興奮させるような反射が起こり、筋活動が促通される。
筋伸張に対し、筋紡錘は収縮指令をだし、関節の破壊を防ごうとするが、もっと強い筋伸張に対し、ゴルジ腱器官は弛緩指令を出して禁断列を防ぐ。
麻痺があると、筋肉が短縮され、1a発火閾値が低下し、1b発火閾値が上昇し、伸張反射が増強され、不使用増悪をきたすことになる。

痙縮に対する治療は不可逆性が可逆性、全身性か限局性の二つの軸で考えることができる。

Eur J Neurol 2002 9 Suppl 1 48-52

ボツリヌス療法:神経筋切望部で神経終末に作用し、アセチルコリンの放出を抑制する没リス毒素製剤を施注する治療法。アセチルコリンを介した筋収縮が阻害され、菌の緊張が改善する。臨床効果は、2~3日で現れ、1~2週間で安定し、3~4か月程度持続する。

毒素の注入により、筋の痙縮を取り、筋伸張を行い伸張反射の閾値を上げてリセットを行う。
  

装具をつける時は足関節角度と装具の硬さが重要である。


抗痙攣薬:
中枢神経に作用するものや神経筋接合部に作用するものがあるが希望する部位にのみ選択的に作用しないのが問題点である。
モーターポイントブロック
運動神経に薬物を直接作用させる治療法で、筋肉内のモーターポイントにフェノールやアルコールの注射を行う。
バクロフェン髄腔内投与
体内ポンプを植え込み、抗痙攣薬の1つであるバクフォフェンを持続的に髄腔内に投与する方法
外科的治療
選択的後根切断術、末梢神経縮小術などの脳神経外科的治療や腱延長術などの整形外科的な治療がある。

経頭蓋磁気刺激 Transcranial Magnetic Stimulation(TMS)
主に8の字型の電磁石によって生み出される急激な磁場の変化によって弱い電流を組織内に誘起させることで、脳内のニューロンを興奮させる非侵襲的な方法。最小限の不快感で脳活動を引き起こし、脳の回路接続の機能が調べられる。
  

反復経頭蓋磁気刺激法はrTMS(Repetitive Transcranial magnetic stimulation)と略され、脳に長期的な変化を与える。頭痛、脳梗塞、パーキンソン症候群、ジストニア、耳鳴りなどの神経症状やうつ病や幻聴などの精神疾患に有効な治療法であることが示されている。
慢性期脳卒中症例の患者においてかなりの改善がみられている。

脳梗塞病巣においては、急性期と慢性期では病態が異なる。急性期において主病巣は、組織の壊死に陥っているが、周囲は血流障害や浮腫などにより、機能的抑制に陥っているだけでまだ神経死には至っていない。

脳卒中による麻痺で使えない・使わないことにより、神経ハッカ頻度が減少し、代謝が減少し、神経死に至る。リハビリで、強制的に使ったり、いろいろな刺激で感覚入力を増強し、病巣周囲まで神経発火を起こさせ、代謝を増加させて神経保護を行っている。

麻痺側を訓練しようとすると、健常側の脳が、損傷した側の脳の働きを過剰に抑制しようとするため、その回復を妨げ、結果的に麻痺した側の訓練や回復を邪魔することが分かり、健常側上肢を三角筋などで使えないようにしたうえで麻痺したほうだけを使う訓練を集中的に行う治療法(CI療法)などが試みられている。
rTMSで「1秒に1刺激」という低頻度刺激を健常側脳に与えると、刺激を受けた部位の神経の活動は抑制され、検束から病側にかかる半球間抑制が低下する。この低頻度刺激により間接的に脳の損傷した部位周囲を活発に機能させ、脳の持つ回復力を最大限に引き出す治療である。

北斗病院HPより


脳梗塞モデルラットにおけるrTMS病巣伸展阻害効果やPETによりアポトーシスの阻害効果が確認されている。


F波は末梢運動神経の最大上電気刺激によるインパルスが求心性に脊髄に伝わり、再び遠心性に筋まで伝導して誘発される。その経路はいずれもα運動ニューロンであり、下位運動ニューロンのみならず上位運動ニューロンの興奮性を反映する。また上位ニューロン損傷後の慢性期において、痙縮が増加している症例においては、F波の出現率が正常群に比較して増加している。TMSにより、大脳皮質内に誘導電流を起こして脳組織を刺激するとF波の出現率は有意に低下し、F/M比が脳卒中後症例で上昇していたがTMSで減少した。
  



日本大学医学部総合医学研究所紀要 Vol.1 (2013) pp.129-132

投稿者 川村内科診療所 | 記事URL

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